外国人の方が日本で家を探したり、契約をするのはなかなか大変なことです。不動産仲介会社の中には、日本に来た外国人の方を主なお客様としているところもあります。
今回はそんな不動産仲介会社で働いている方のキャリア・レポートです!
はじめに
私の母は自分で英会話教室を開いて英会話を教えています。私が母に英会話を教えてもらい始めたのは小学校2年生の時でした。
元々母が英語を話せることは知っていましたが、ペラペラ話せるということは英会話に入ってから知りました。普段家で見る母の姿とは違い、英語を話している母が格好良くて、とてもキラキラして見えました。小さいながらにも「英語が話せたら私も格好よくなれるかなぁ」と思っていました。
気付いたらどんどん英語の魅力に惹きこまれて、英語が大好きになっていました。小学生のうちに自分でローマ字を覚え始めました。ドリルは母に買ってきてもらい、毎日自分で練習しました。
中学校に上がったら中間テストや期末テストの勉強に加え、筆記体も自分で勉強し始めました。それは、母が様々な書類の署名欄に筆記体でサインしているのが格好良かったからです。
中学の間にもどんどん英語に惹かれていき、もっと好きになって高校は外国語コースがあるところに進学しました。周りは普通に英語が話せるネイティヴの子ばかりいた環境だったので、それに影響を受け、高校の間にもどんどん英語のスキルを吸収していきました。分からないことがあれば授業を中断してでも手を上げて質問したくらいです。
大学も英語を勉強できて留学制度の整っているところに入りました。大学2年制の時にアメリカに留学をし、毎日朝から晩まで勉強しました。その生活が幸せで、「私はやっぱり英語が大好きだ」と改めて気付いたくらいです。
どうしても英語を手放すことを考えられず、英語を活かせる会社を探して出会ったのが今の会社です。今は社宅管理課で海外からの駐在員の方々の社宅や家具家電を管理しています。
今の職業を目指した理由・経緯・きっかけ・なるまで
大学2年生の時に留学をし、帰国して1年経ったら就職活動の時期になりましたが、大学で紹介されている会社はどれも英語が必要なくて入りたいと思えなかったですし、その気持ちから就職活動が進みませんでした。自分でネットを使って“英語を活用できる会社”を調べ始めました。
その時に見つけたのが今勤めている「外国人専門不動産仲介会社」です。仕事内容に一通り目を通し、「不動産の知識はないけどやってみたい!」と思えたのです。ただこの会社は新卒を採用していませんでした。なぜなら転職サイトで見つけた会社だったからです。だからダメ元で電話をして、「面接して欲しいです!」とお願いしました。
「アルバイトからでもいい?一度面接おいで!」と快く引き受けてくれたので早速面接に行きました。自分でも驚くくらい早く最終面接まで進み、最初の面接を受けて3週間後にはこの会社で働き始めていました。勤め始めた時は仲介課にいましたが、今は部署移動をして社宅管理課にいます。
決して小さい頃からこのような会社を目指していたわけではありませんが、会社概要を読んで面接を受けてお話を聞いて、どこの会社よりも英語を使う機会が多くスキルアップできる会社だと思いました。上司の方にも「勤めていれば絶対に英語のスキルは伸びるから」と言われました。
会社の雰囲気も、海外生活が長い人が多いためかみんなフランクで、日本語を話している中にも英語が混じっていて、とても馴染みやすく、この会社に入りたいと思った一つの理由でもあります。この人たちと楽しくお仕事をしていけそうだと思いました。
会社・業種・職種と仕事内容について
弊社は仲介事業部とT社社宅管理課、B社社宅管理課の3つの部署に分かれます。まだ設立されて10年のとても小さい会社ですので、社員数は11人です。この11人には課長も含まれています。代表取締役と総務の人を含めたら15人になります。
全体的な事業内容は、お仕事などのために海外から来た外国人のお部屋を探したり家具家電をお手配したりします。全てのサポートを英語で行います。
仲介事業部
こちらの事業部は、海外から来た方のお部屋探しをお客様の条件に沿って行います。間取りや家賃のご予算、場所などが条件となります。お部屋を見つけたらメールにてお部屋の情報を提供し、お客様が見に行きたいとおっしゃれば無料で物件に案内し、内覧して頂きます。
内覧をしてお客様がそのお部屋を気に入れば契約に移りますし、気に入らなければまた物件検索と情報提供を行います。契約は各UR営業センター、または各不動産会社にて行います。スタッフの方がお話しすること、契約書類に書いてある大事なことは全て英語で通訳します。契約手続きが完了したら次はお部屋の閉栓・開栓も弊社が行います。
お引越し会社を使いたい場合、レンタル家具家電を使いたい場合はそれらもご紹介してお手配します。弊社がもらえるのは物件契約時のあっせん料のみで、もちろんお家賃や公共料金、家具家電は全てお客様負担になります。
お部屋を契約して無事お引越しが終わった後も、何かお部屋の中などで困ったことがあれば対応しています。
T社社宅管理課
こちらの部署はT社専用の社宅管理を行っている部署になります。海外のT社に務めていて日本に来た駐在員の方々のためにお部屋を提供します。T社の社宅管理担当の方から弊社にメールなどでご連絡を頂き、物件を検索します。見つけた物件の情報をメールにてお送りし、OKが出れば契約とレンタル家具家電のお手配、公共設備の開栓手配に移ります。契約書の作成は弊社にて行い、URに発送しています。
駐在員の方がお部屋に入居される前にお部屋を完璧に準備しておきます。入居されてから何か問題が発生すれば、それも弊社にてT社と話し合いながら対応します。お家賃やレンタル家具家電の料金はT社にて負担して頂いております。弊社に入るのはあっせん料とT社からの管理費のみです。
B社社宅管理課
こちらの部署は私が一人で担当しています。仕事内容はT社社宅管理課とほとんど同じで、B社からご依頼を頂き物件検索、お部屋が見つかればB社に情報提供、そのお部屋でOKであれば契約に移ります。契約書の作成、レンタル家具家電のお手配、公共設備のお手配はもちろん弊社で行います。
B社の駐在員が入居される前に準備を全て終わらせておかなければなりません。また、駐在員の殻が入居して何かお部屋の中で不備があればその都度対応します。もしお部屋が汚くなってしまった場合、クリーニングの手配もします。弊社にクリーニングスタッフがいますので、その人を派遣するという形です。
1日のスケジュール
私の部署に外回りなどはありませんので、毎日この仕事の流れになります。
5時:起床
7時45分:家を出る
9時30分:仕事開始 デスクについたらタイムカードを押して、メールをチェックします。
14-15時:お昼休み 私はお弁当を毎日持ってきているので、会社でお弁当を食べてデスクでお昼寝をしています。
18時:退社 課長にその日に行った業務をメールにて報告し、帰宅します。
年収やキャリアデザイン・働き方・初任給
今の会社は入社して半年の時点で有給が支給されるので、何かあったときにはその有給を活用することができ、とても助かります。福利厚生が整っているので産休などもありますし、結婚すれば結婚式のために一日お休みがもらえるのです。
業務量はB社の場合は一人で対応できるくらいの量ですので滅多に残業はありません。基本的には“残業はしない”というのがこの会社のルールです。程よい忙しさでとても充実した勤務時間を送ることができます。分からないことは上司が親切に教えてくれますので、どんどん業務を身に付けていくことが出来る環境です。もちろん英語も教えてくれます。お休みは土日で、仲介事業部は日曜と月曜になります。
私は大卒で新卒として入社しました。初任給は手取り16万円で、年収192万円ほどです。ボーナスは8月と12月に1ヶ月ずつと少し少なめですが、もらうことはできます。1年半ごとに昇給していくシステムになっています。1万円ずつくらいしか上がりませんが、昇給制度はありますので長く続けていくメリットがあります。
またこの会社はダブルワークがOKですので、収入が低い分副業で補っている先輩もいます。副業をすれば確定申告は自分でしないといけませんが、副業をしていいのであれば十分生活していけます。
キャリアデザインとしては、各部署で主任に上がるのが一般的だそうです。人によっては主任から課長に上がった人もいますので、そのようなキャリアデザインもあります。もちろん役職に就けば役職手当もきちんと入ります。
会社の今後の動向など
弊社の目標は、このまま管理物件数を増やしていって売り上げを上げていくことです。物件数を増やしていくことで契約時にあっせん料が入り、それぞれのクライアントの会社から管理費を物件数分もらうことができます。また、B社が利用しているレンタル家具の会社からは広告料も入りますので、とにかく物件数を増やしていくことを目標にしています。
売り上げを上げていって、新しい社員を増やすことを考えています。特にT社社宅管理課は人手が足りていないので、そこに人を増やし、業務をもう少し細かく分担して一人ひとりの業務量を減らします。
弊社では英語が必須になりますので、英語講座も業務内に取り入れることも考えているそうです。私たちは海外生活の経験があるとはいえ、やはりネイティヴではありませんので英語が完璧な人はいません。勉強し続けないとどんどん忘れてしまいます。コミュニケーションを円滑に行うためにも英語をどれだけ使えるかは大事になってきます。私たちの武器をレベルアップさせる目的で英語の先生を呼ぶ方向でいます。
英語の習得について
私は大学の間に4ヶ月だけアメリカに留学していましたが、それ以外は日本でずっと勉強していました。中学校を卒業するまでは母に教えてもらい、高校に入ってからは外国語コースだったので英語を集中的に勉強しました。大学受験のために塾にも通い始め、そこでも英語は徹底的に勉強しました。
お蔭で高校を卒業するまでにかなりの英語の知識が身に付きました。大学に入ってからの英語の勉強は困らなかったです。エッセイを書くのは苦手だったのでエッセイを書く練習はたくさんしました。何度も先生の部屋に行って指導してもらったのを覚えています。
アメリカに留学してからは、リーディング・ライティング・カンバセーション・グラマーをみっちり勉強しました。平日は10時から15時まで授業に行き、クラスが終わったら図書館でひたすら課題をしました。課題が終わるのはだいたい22時過ぎです。平日は10時から22時までみっちり勉強しますが、その代り土日は思い切り遊びました。
友達もほとんど外国人だったので会話は英語でした。それも私の英語スキルをアップさせる材料になったのです。伝えたくても英語が分からない場合はその場で調べて伝えるようにしていたのですが、それがとても勉強になりました。どんどん単語を吸収できたのです。
帰国してからはひたすらTOEICや英検のために勉強をしました。TOEICは卒業までに何回受けたか分からないです。
英語の習得でお金がかかったのは大学受験の時の塾代とアメリカ留学の費用です。塾代は年間およそ30万円かかりました。30万円というのは英語のクラスだけの金額です。アメリカ留学は、飛行機の往復航空券・学費・生活費で約150万円でした。飛行機のチケットが約20万円、学費が100万円、生活費が約30万円です。
私の英語学習は、トータルではほとんど独学に近いです。8歳から英語の勉強を始めて22歳まで、14年間勉強し続けました。これまでに使用した参考書の数は膨大です。参考書の代金はざっと50万円くらいだと思います。
まとめ
現在の仕事にはとても満足しています。入社した時よりも断然英語のスキルは上がっていると自分で実感できていますし、電話対応をスムーズにできるようになりました。
入社前は不安なことしかないと思いますが、ペラペラでない私でさえこの仕事をこなせていますので、事前に英語を勉強してぜひこの職業に臨んで欲しいです。