「複合関係副詞」という英語の文法項目、初めて聞くとちょっと難しそうに感じるかもしれません。

でも実は、wherever・whenever・howeverのように「○○ever」の形をしているため、英語を勉強した人なら一度は目にしたことのある表現ばかり。

だからこそ「大体の意味はわかる」という人が多いでしょう。

しかし、その“なんとなく理解している”状態が、実は落とし穴。

関係副詞や接続詞との違いが曖昧になってしまい、文法問題で選択肢を見たときに迷ってしまう……なんてことがよく起こります。

つまり、「複合関係副詞」自体は決して“上級者向け”の難解文法ではないものの、TOEICで高スコアを狙う人や、英検準1級以上を目指す中上級者にとってこそ、その正確な使い分けや、文中での役割理解が深く求められる項目になるわけです。

この記事では、「複合関係副詞って何?」「関係副詞とどう違うの?」という基本から、文法問題で問われる使い方のポイントまで、具体例と一緒にわかりやすく解説していきます。

複合関係副詞の3つの意味と使い方

複合関係副詞の3つの意味と使い方

複合関係副詞には、主に以下の3つの意味と使い方があります。

簡単におさらいしておきましょう。

wherever

”wherever”は「どこでも」や「どこで〜しても」の意味で使われる複合関係副詞で、場所に関する条件・譲歩を表します。

例文を見ながら意味と使い方を確認してみましょう。

【例文】

  • Wherever you go, I’ll be with you.
    君がどこへ行こうとも、僕は一緒にいるよ。
  • Sit wherever you like.
    どこでも好きなところに座ってください。

2つの例文のどちらも、「どこに〜しても同じ結果になる」という意味で使われているのがわかりますね。

whenever

”whenever”は「〜する時はいつでも」を意味する複合関係副詞です。

時間に対して条件や譲歩を表します。

文字だけで説明してもわかりづらいので、例文を見ながら意味と使い方を確認してみましょう。

【例文】

  • Come see me whenever you want.
    会いたいときはいつでも来てね。
  • Whenever I hear this song, I remember my childhood.
    この曲を聴くたびに、子どもの頃を思い出すよ。

いつでも同じことが当てはまる」という共通点がポイントです。

however

”however”は「どんなふうに〜しても」と「どんなに〜でも」を意味する複合関係副詞。

いくつか意味があるから少しややこしいですね。複合関係副詞”however”方法・程度・譲歩など、複数の意味を持ちます。

【例文】

  • You can do it however you like.
    好きな方法でやっていいよ。(方法)
  • However hard he works, he never complains.
    どんなに頑張っても、彼は決して文句を言わない。(譲歩)

「However + 形容詞/副詞」で「たとえ〜でも」の意味になる点も覚えておきたいですね。

複合関係副詞の間違えやすいポイント&正しい使い方のコツ

複合関係副詞の間違えやすいポイント&正しい使い方のコツ

複合関係副詞は、意味を覚えるだけなら難しいことではないでしょう。

ただし、英語中級者や上級者になってくると、「複合関係副詞のややこしいところ」に躓(つまず)くようになります。

その「複合関係副詞の間違えやすいポイント」についてお伝えします。

混乱しやすい複合関係副詞と複合関係代名詞

複合関係副詞の「間違えやすいポイント」と言えば、真っ先に浮かぶのが「複合関係代名詞との違い」でしょう。

”○○ever”の”ever”が無い「関係代名詞」と「関係副詞」も英語中級者&英語上級者泣かせですから、押さえておきたいところです。

簡単な見分け方のコツは以下の通りです。

  • 文から「○○ever」の節を取り除いても文が成立する → 複合関係副詞の可能性大!
  • 節を取り除くと主語や目的語が足りなくなる → 複合関係代名詞の可能性大!

文字だけで説明されてもわからないと思いますので、例文を交えながら見てみましょう。

【例文比較】

  1. Whoever comes first gets the prize.
    最初に来た人が賞をもらえる。
    → ”Whoever comes first”が主語。
    → 複合関係代名詞(名詞節)
  2. Wherever he goes, people recognize him.
    彼がどこに行っても、人々は彼に気づく。
    → ”Wherever he goes”を除いても “People recognize him.” と文が成立。
    → 複合関係副詞(副詞節)

最初の(1.)の例文は、whoeverが「主語」になっていますよね。

英語のルールでは、「主語」になるには「名詞」や「代名詞」など、名詞の役割をする語句でなくてはいけませんよね?

「名詞の働き」ですから、この”whoever”は「複合関係代名詞」であるのがわかります。

対して次(2.)の例文では、”Wherever he goes”を除いても “People recognize him.” だけでも文が成立します。

「副詞」は、「動詞」や「文章全体」を「構文の外側から修飾」するので、取り除いても文章は成立するのが特徴でしたね。

ですから、”Wherever he goes”を除いても “People recognize him.” だけでも文が成立するのを見て、「これは複合関係副詞だな」と判断できますね。

混乱しやすい接続詞と複合関係副詞の違い

複合関係副詞は、接続詞とも混乱しやすいので、意識して覚えておきたいポイントです。

たとえば、特に混乱しやすいのが以下のような文

  • Whenever there is a delay, please notify the manager immediately.
    遅延がある場合は、すぐにマネージャーに知らせてください。

一見すると、例文の”whenever”は、接続詞の”when”や”if”と置き換えられるので「接続詞」だと判断しがちです。

しかし、この例文では”whenever”が複合関係副詞として使われています。

”whenever”は「不特定なタイミングの繰り返し」、つまり「いつでも」という意味を「そういうことが起こるたびに」というニュアンスを表すのに対し、”when”や”if”はそれぞれ特定の時点や条件、つまり「そういう状況になったら」を示す接続詞です。

なので、「一見した構造が接続詞に見えても、wheneverが持っているニュアンスと接続詞の持っているニュアンスは違うので、複合関係副詞として使われている」と言えるわけです。

つまり、日本語訳が似た意味になっても、ニュアンスや使い方には違いがあるので、試験ではこの微妙な差を見抜く力が問わるわけです。

文構造が似ているからこそ、「どの語が最も適切か」を、特に試験の文法問題では判断されるわけですね。

英語の中上級者がつまずくポイントがここに集中しているわけです。

まとめ

この記事では、複合関係副詞について以下の点からお伝えしました。

  • 複合関係副詞は主に「wherever / whenever / however」の3種類
  • 「〜するたび」「〜でも」「〜な場合すべて」を表現できる
  • 接続詞や複合関係代名詞との違いに注意!副詞節を導くのがポイント

この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより豊かにできれば幸いです。