英語の音読学習は本質的な英語力を底上げします。
なぜなら、「英語を英語のまま理解する」という英語力の本質に焦点が当たった勉強法だからです。
この記事では、その根拠と、音読の効果を無駄にしない勉強のポイントを紹介します。
英語の音読学習で得られる効果
英語の音読学習で得られる最大の効果は、「英語を英語のまま理解する力を養う」ことにあるといえます。
そして英語を英語のまま理解する力を養うので、「ひとつの勉強法(音読)で、英語の4技能を効果的に養える」といえます。
英語の4技能とは以下を指します。
- リーディング力
- スピーキング力
- リスニング力
- ライティング力
「音読でリーディング力はわかるけど、なんで他の技能も養えるの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
これにはそれぞれ、しっかりと根拠があり、すべて「英語を英語のまま理解する力」に関わってきます。
順番に見ていきましょう。
1.リーディング力
英語の音読学習で、リーディング力(英語の読解力)を養うことができます。
特にリーディング力のうち、以下の2点を効果的に養えます。
- 英文をスピーディに読む力
- 英文を正確に読む力
↑の2点は、英語の音読をする際に「英文の意味を理解しながら読む」ことで養われます。
英文の意味を理解しながら読むことで、※「返り読み」をなくすことができ、結果上述の2点を両立させることができます。
※「返り読み」とは?:英語の意味を理解するため、文末(.ピリオド)まで読んでからもう一度読み返すこと。
ここで少し、英語のテキストを音読しているあなた自身を想像してみてください。
英文を見て音読しているでしょう。
英文を音読するスピードで、英文の意味を理解しようとすると、どうなるでしょうか?
返り読みをする時間的な余裕は全くないでしょう。なぜなら、返り読みをする間もなく音読を終えてしまうからです。
音読をするスピードで英語を理解するには、どうしても「英語を英語のまま(英語の語順のまま)理解する」必要に迫られるでしょう。
英語を英語のまま理解できれば、英語から日本語に変換するプロセスを丸ごとスキップできるようになります。
英語から日本語に変換するプロセスをスキップできると、その分読んで理解するスピードが早くなるだけでなく、英文を読む正確さもグッと増します。
これは、意味を理解するために日本語を仲介する必要がなくなり、脳のエネルギーを意味理解に集中させることができるからです。
以上のことから、英語の音読を「意味を理解しながら」行うことで、英語を英語のまま理解する力が身につき、結果英語を読むスピードと正確さを同時に養われるといえます。
2.スピーキング力
英語の音読をすることで、スピーキング力も養われます。
なぜなら、音読は「発音」の実践演習になるからです。
英語の音読は正しい発音でハキハキと相手に伝わるように実践します。
また、モデルとなる音声(リスニング音声など)を真似ることで、発音だけでなく自然な英語のリズムや抑揚も身につきます。
以上のことから、英語の音読でスピーキング力が養われるといえます。
3.リスニング力
英語を音読することで、リスニング力を養うことができます。
なぜなら、正しい発音ができると、それだけ敏感に発音を聞き分けることができるからです。
例えば、日本人の感覚では、SとThを区別しません。同じ「サ行」として認識する人がほとんどです。
その結果、以下2つの英文を聞き分けられる人は少ないです。
- I think ~(私は〜だと思います)
- I sink ~(私は〜を沈めます)
しかし、自分が↑の2つを発音できるようになれば、2つの違いを明確に認識できます。
2つの違いを明確に認識できれば、同じ「サ行」として認識している人よりも、遥かに敏感に聞き分けることが可能です。
以上のことから、英語の音読はモデルの音声を意識することで正しい発音が身につき、正しい発音が身につくことでリスニング力も向上するといえます。
4.ライティング力
英語の音読をすることで、ライティング力(英作文力)も身につきます。
なぜなら、ここにも「英語を英語のまま理解する」ことが関係します。
英語を英語のまま理解する、いわゆる※「英語脳」が身につけば、日本語よりも先に英語の語順やルールで文章が浮かぶようになります。
音読によって英語脳が身につくことで、英語のルールに則(のっと)ったライティング力も向上するわけです。
※「英語脳」とは?:日本語よりも先に英語が出てくる脳の状態。
英語で音読学習するメリット
英語で音読学習するメリットは、「自由度の高さ」だといえます。
自由度の高さとは、具体的には以下のとおりです。
- 教材の自由度
- 難易度の自由度
- ハードルの低さ
音読学習は、自分の英語力や興味関心に応じて柔軟に教材を決定できます。
もしあなたがTOEICのスコアアップにだけ興味があるならTOEICの教材や模試、過去問で音読に取り組めますし、もしあなたの職業が薬剤師なのであれば、薬学の英文記事で音読学習をすることもできます。
また教材を自由に選べるので、英文の難易度も柔軟に自分の英語力に合わせられます。
さらに英語の音読学習は、音読する英文と、声が出せる環境があれば、いつでもどこでも勉強を始められます。
問題演習などのように、参考書や問題集を机に開く必要もないですし、英会話のように英語が話せる講師を準備する必要もありません。
以上のことから、勉強開始のハードルの低さと、教材、難易度を柔軟に選択できることから、英語の音読学習は「自由度の高い勉強法」だといえます。
英語音読する際の注意点
英語音読をする際には注意点もあります。
それは、音読する際に「思考停止」に陥りがちだという点です。
先述の通り、英語の音読学習は、以下を意識しながら行うことで各英語スキルが養われます。
- 英語を英語のまま意味を理解する意識
- 正しい英語の発音で口に出す意識
この意識がないまま音読をしても、英語力の上達は見込めません。
後述する「英語音読のやり方・手順」と「英語の音読学習を進めるときのポイント」をしっかり把握すれば、「思考停止」の英語音読を避けることができます。
英語音読のやり方・手順
英語音読の具体的なやり方と手順をお伝えします。
1.LとRとTHの発音を理解しておく
英語音読をするときは、正しい発音を意識することが大切です。
正しい発音を意識することで、スピーキング力とリスニング力を同時に養えるからです。(先述した「英語の音読学習の効果」の通りです。)
発音に苦手意識を持つ日本人は多いですが、実際はLとR、そしてTHの発音を意識するだけでグッと発音が改善されます。
YouTubeで「L R 発音」と検索すれば、実際の音声と非常にわかりやすい解説動画がヒットします。
L、R、THの発音を理解するだけなら、5分〜10分程度で出来るので、音読する前に確認しておくだけで得られる効果が段違いです。
2.音読する英文の単語を把握しておく
音読をする前に、音読する英文の単語を把握しておきましょう。音読する英文の100%とはいかなくても、90%は単語を確認しておきたいです。
なぜなら、意味を知らない英単語が連続すると、一気に脳に負荷がかかって「思考停止」状態になりやすいからです。
音読する際は、無理なく英語の語順のまま意味を理解出来る状態にしておくのがポイントです。
3.モデルの音声を聞いて音読する
いざ音読するときは、教材のCDなどモデルの音声があると非常に効果的です。
なぜなら、モデルの音声がなければ、「手本」となる発音がわからず、どんな発音を目指して音読すべきかがわからないからです。
自分の音読とモデルの音声を聞くのを繰り返して、モデルの音声に寄せていくことがポイントです。
英語の音読学習を進めるときのポイント
英語の音読学習を進めるときは、以下のポイントに注目して進めると良いでしょう。
1.モデルの音声に寄せて音読する
英語の音読学習をするときは、モデルの音声に自分の音読を限りなく真似するイメージで取り組むと、より効果的です。
発音だけでなく、息継ぎのタイミングや、抑揚(よくよう)まで似せるよう意識するとより効果的です。
モデルの音声に限りなく近く真似することで、英語の独特なリズムやイントネーションまで、自然な英語を効果的に身につきます。
2.音読するスピードで意味を理解していく
英語の音読をするときは、自分が音読するスピードで意味を理解していきましょう。
音読するのと同時に意味を理解していくことで、返り読みを克服して、「英語を英語のまま理解する」力が養われていきます。
英語音読のレベル別おすすめ教材
英語の音読は、初心者から上級者まで高い効果を発揮する勉強法です。
ここではレベル別に音読に用いるおすすめ教材を紹介します。
初級:単語帳の例文
まず初級編として、ご自身が取り組んでいる英単語帳の例文に取り組むのがおすすめです。
英単語帳には、単語の意味だけでなく、その単語を使った短い例文も記載されています。
さらに、近年ほとんどの英単語帳にはCDやオンラインでのダウンロードなど、音声が付いています。
英単語の勉強と並行してできるのも魅力です。
中級:模試や問題集のリスニング・長文問題
中級者は模試や問題集のリスニング・長文問題で音読に取り組むのがおすすめです。
TOEICのスコアアップを目指しているならTOEICのリスニング・長文問題を使って、英検の合格を目指しているなら英検のリスニング・長文問題を使って行うのが効果的です。
試験の過去問を使えば、その試験の傾向把握にもつながるので、一石二鳥だといえますね。
上級:速読英単語上級編
上級レベルになったら、速読英単語の上級編がおすすめです。
速読英単語は他の単語帳とは違い、150〜200語の長文問題が載っています。さらにその長文の中に、課題となる単語も含まれている優れものです。
上級編と言うだけあって、少し頭をひねる英語構文も使われているので、上級レベルに相応しいレベルの文章を英語のまま理解する力が養われます。
音読は英語力を総合的に高める効果的な勉強法
ここまでお読みのあなたは、英語の音読が、英語力を総合的に高める効果的な勉強法であり、その理由は「英語を英語のまま理解する」という英語力の本質に焦点が当たった勉強法だからだということを理解されていることでしょう。
さらに、そんな英語の音読のポイントを押さえて、効果的に取り組む術をもうすでにお持ちです。
この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより豊かにできれば幸いです。