英語の聞き流しは、場合によって効果的な時とそうでない時に分かれます。

この記事では、なぜ英語の聞き流しが「効果ナシ」と言われるのか、どんな聞き流し勉強法ならリスニングが上達するのかを紹介します。

そもそも英語の「聞き流し」とは?

英語の「聞き流し」とは、英文を聞き取ろうとせずに、英語の音声を耳に入れることを指します。

英語のリスニングと違って、英語の意味を理解しようと集中して聞くこととは区別されるわけですね。

例えば、車の運転中や、学校の授業の予習復習、仕事のちょっとした雑務などを、ラジオを聞きながらやっていた人も多いのではないでしょうか?

この感覚でラジオを聞いていた場合、意識の大部分は車の運転、授業の予習復習、仕事の雑務に割かれていて、ラジオのパーソナリティの話す言葉や、流れる音楽はたいてい意識の外にあったことでしょう。

英語の聞き流しも、運転中、予習復習中、仕事の雑務中のラジオのように、英語の音声を意識の外で耳に入れるようなイメージだといえるでしょう。

※ただし、「聞き流し」に辞書的な意味があるわけではなく、あくまで「英語学習者の間でこの認識で通っている」というイメージです。

英語の聞き流しはリスニングの上達に効果はある?

英語の聞き流しがリスニング力の上達に効果的かどうかは、「場合による」といえます。

場合によって、英語の聞き流しがリスニング力の向上に役に立つこともあれば、そうでないこともあるからです。

英語の聞き流しがリスニングの上達に効果があるかどうかは、以下の要因で決まります。

  • 英語音声の予備知識があるか
  • 英語音声を理解するだけのリスニング力が備わっているかどうか

この2つの要素は、そのまま「聞き流す音声を、無意識に脳がどれだけ理解できるか」を意味しているといえます。

例えば、英語を始めて間もない人が、予備知識がまったくない状態でネイティブスピーカー同士の日常的なやり取りを聞き流していても、リスニング力の向上には全く意味を成さないでしょう。

英語を「英語」として認識出来ない以上、それは英語ではなく生活音などと一緒の「雑音」でしかないからです。

対して、リスニングをある程度勉強した経験がある人が、「これはカフェでの一幕」という予備知識を持って聞き流しを行えば、リスニング力の向上に効果をもたらすでしょう。

意識の外で聞いていても、聞こえてくる音声を「英語」だと認識できるので、無意識のレベルで英語の発音や構文パターンなどを脳が認識するからです。

以上のことから、英語の聞き流しがリスニングの上達に効果があるかどうかは「英語音声の予備知識があるか」と「英語音声を理解するだけのリスニング力が備わっているか」によるといえます。

聞き流しでリスニングが上達しない要因

聞き流しでリスニングが上達しない要因

もし聞き流し英語でリスニングが上達しないのなら、主に以下の要因が挙げられます。

単語力・文法力の不足

聞き流し英語でリスニングが上達しない要因の一つとして、「単語力・文法力の不足」が挙げられます。

なぜなら、単語力と文法力が不足していたら、「そもそも何を言っているのかわからない」からです。

例えば……

  • He is proud of his educational background.
    彼は自分の学歴を誇りに思っている。

↑という英文を聞き取れたとします。

しかし、Educational backgroundの意味がわからなかったり、Be proud ofが一つの動詞として機能している(群動詞)ことを知らなければ、その意味を理解できないでしょう。

意味を理解できなければ、聞き流していてもリスニング力の向上にあまり貢献しません。

英語の発音の理解不足

聞き流し英語でリスニングが上達しない要因の一つとして、「英語の発音の理解不足」が挙げられます。

英語の発音は日本語の発音とは全く異なります。

例えば、ローマ字で「Apple」と書かれていても、英語ではこれを「アポゥ」と発音します。

しかし、「Apple」を「アップル」として認識していると、いざ英会話で「Apple」と発音されても、それを「Apple」だと認識できないでしょう。

したがって、英語の発音の理解不足は、聞き流し英語でリスニング力の上達を大きく妨げる要因の一つだといえます。

聞き流しで効果的にリスニングを上達するための勉強法

聞き流し英語で効果的にリスニングを上達させるためには、以下の勉強法が効果的です。

発音を学ぶ

発音を学ぶことで、正しく英語を聞き取ることができます。

例えば……

  • I think〜(私は〜と思う)
  • I sink〜(私は〜を沈める)

この2つは意味が大きく違いますが、日本語の感覚で「アイ シンク」と認識していると、聞き分けることが難しいです。

しかし、Sの発音とTHの発音には明確な違いがあります。

SとTHの発音を学べば、ThinkとSinkをしっかりと聞き分けることができるでしょう。

そして正しく英語を聞き分けることで、聞き流し英語の場面でも、脳が無意識に英語を正しく聞き取ろうとし、結果聞き流していても脳がハッキリと区別して、リスニング力の向上に貢献するでしょう。

語彙(ごい)力をつける

語彙(ごい)力が身につけば、聞き取った英語から意味を理解することができます。

また、全く知らない単語が多いと、そもそもどこまでが一語かさえわからずに、余計混乱してしまいます。

語彙(ごい)力を身につけることで、単語の切れ目もわかるようになり、正確に聞き取る助けになります。

英語の語順に慣れる

英語の語順は日本語と大きく異なります。

これによって、英語を読む時に「返り読み」をする人も多いでしょう。

「返り読み」とは、一度英文を文末(ピリオド)まで読んで、それから日本語の語順に直すためにもう一度読み返すことを指します。

この方法はよく学校で英語を学ぶ際に教えられる手法です。これまでの学校英語ではあまりリスニングを重視されてこなかったからです。

しかし、英会話やリスニングでは返り読みをしている余裕はありません。返り読みをする間もなく英語が流れていくからです。

聞き流し英語によるリスニングの上達を狙うには、英語の語順に慣れ、英語を英語のまま理解する力が必要だといえます。

レベル別おすすめリスニングアプリ

レベル別おすすめリスニングアプリ

リスニングを上達させるためにおすすめのアプリをレベル別に紹介します。

全く聞き取れない人向け

全く聞き取れない人には「バイリンガルニュース」がおすすめです。

「バイリンガルニュース」は、日本語と英語で交互にニュースが読み上げられる大人気ポッドキャスト番組のアプリ版です。

英語と日本語で交互に読み上げられるので、英語の聞き取りに自信がない人でも安心して取り組むことができます。

ある程度聞き取れる人向け

ある程度英語の聞き取りができる人には「TED」がおすすめです。

「TED」は、さまざまな専門分野のプレゼンテーションを視聴することができるアプリです。

プレゼンテーションなので、大人数に聞き取ってもらうためにプレゼンターも聞き取りやすいようハキハキと話しますし、社会現象からスポーツ、芸術など、幅広いテーマについて話すので、自分の興味のあるプレゼンテーションを選んで聞くこともできます。)

聞き流しでリスニング学習をする際のポイント

聞き流し英語でリスニングを上達させるためのポイントは以下のとおりです。

自分に合った音声を選ぶ

聞き流し英語は自分に合った音声を選ぶのが大切です。

自分が聞いたことのある内容の音声や、難しすぎない英語で話された音声を選ぶのが良いでしょう。

YouTube動画や英語学習アプリなどで、自分に合った音声を見つけてみましょう。

聞き流し英語をメインの勉強にしない

聞き流し英語はあくまで「サブ」の勉強法です。

新しい英語を学んだり、自分の英語力を1ランクステップアップさせるためには、やはり本腰を入れて英語の勉強に取り組む必要があります。

聞き流し英語はメインの勉強と考えるのではなく、すでに覚えた英語力の定着を目的として取り組んだほうが効果的です。

まとめ

この記事では、英語の聞き流し勉強法について以下の点からお伝えしました。

  • 英語の聞き流しは、音声の予備知識とリスニング力があって始めて効果的になる
  • 英語の聞き流しを効果的にするには、単語力、文法力、発音の知識が必要
  • バイリンガルニュース、TEDなどを使って聞き流しをすると効果的
  • 自分に合った音声と、聞き流し英語をメインの勉強法にしない意識が大切

ここまでお読みのあなたは、聞き流し英語の効果的な勉強法について十分に知識を持ち、実践するだけの理解をしているでしょう。

この記事でお伝えした内容を通して、あなたの英語学習がより豊かになれば幸いです。