「英単語や英文法は得意だったけど、英語の長文になると、どうしても躓(つまず)いてしまう!」
「単語の意味はわかるものばかりなのに、長文になると読めなくなってしまう!」
そんな悩みをお持ちではないでしょうか?
英語の長文読解力は、英単語力と英文法力を掛け合わせることで養われます。
しかし、英語の長文読解が得意になるためには、英単語力と英文法力を「適切に長文読解に活かす力」もまた養う必要があります。
この記事では、英語の長文読解を得意になるための問題集、そして勉強法についてお伝えしていきます。
この記事を読み終わる頃には、英語の長文読解が得意になるまでのプロセスをイメージできるようになり、どの問題集にどんな取り組み方をすれば良いのかまで理解しているので、ぜひ最後まで読んでください。
英語長文読解のコツ
まず、英語長文読解のコツについて6つのキーポイントを解説します。
1. 設問を先に読む
長文問題で、語数が長ければ長いほど、圧倒されてしまうという人が多いでしょうが、まず設問に目を通しましょう。設問の疑問詞に注意しながら、設問で何をきいているのかを確認します。
設問できいていることを先に把握してから、長文を読み始めた方が、効率よく長文読解に取り組めます。
2. 制限時間を設けて 速読を意識しながら読む
英語の試験は、長文だけが出題されることはほとんどなくて、単語・熟語、文法、長文読解といった具合に、いくつのパートから構成されています。
長文読解にできるだけ長く時間が充てられるように、単語・熟語や文法の問題をできるだけ速く解くということも重要ですが、日頃から制限時間を設けて、速読を意識しながら読む訓練をしておくと、本番で役に立ちます。
300語、500語、700語、1000語と長文の長さによって、制限時間も変わってきますが、長文読解の問題集に制限時間の目安が書いてあることも多いので、その時間を目安にして問題を解くように訓練しましょう。
3. 意味上のかたまりを見抜く(スラッシュ・リーディング)
「語 words」「句 phrases」「節 clauses」という英文を構成する単位を理解するようにしましょう。
意味上のかたまりを見抜くには、長文読解をしながら、スラッシュを入れていくやり方が効果的です。
スラッシュを入れながら長文を読んでいく方法を、スラッシュ・リーディングといいます。限られた時間の中で速読していかなければならないので、あまり細かくスラッシュを入れる必要はありません。長い主語、同格を表す部分、関係代名詞や関係副詞から始まる節などに、スラッシュを入れていくと、意味上のかたまりが分かりやすくなります。
4. 文の要素の理解
長文中に、長い一文や節が出てくることも多く、そういった文や節では、文の要素が何を表しているか、読み解いていくことも重要になってきます。
英語の文型は、5つあります。第1文型(S+V)、第2文型(S+V+C)、第3文型(S+V+O)、第4文型(S+V+O+O)、第5文型(S+V+O+C)を理解して長文読解することで、意味がとりやすくなります。
S(主語)、V(動詞)、C(補語)、O(目的語)のどれにも該当しない修飾語(M)には、Mと書き込むのもいいです。
読んですぐに文構造が分かる短い文には、何も書き込む必要がないですが、長い一文や節には、文の要素を書き込んでおくと、後で見直したときにも分かりやすくなります。
5. 接続詞を意識する
接続詞に注意しながら、読むことで、長文の内容が理解しやすくなります。
注目すべき接続詞は、逆説と順接の2つです。
- 逆説:but, however, nevertheless など
- 順接:and, so, therefore など
特に「逆説」の接続詞はとても重要で、それが入ることによって、文の流れが一気に変わりますし、その流れの変化についての設問がよく出題されています。
6.各段落の要約も意識する
英語長文読解で、要約 (Summary) を求められる問題が少しずつ増えてきています。
大学入試でも英語長文の要約問題を出題する大学がありますし、英検でも2024年度から要約問題が出題されます。
英語長文を日本語で要約するのか、英語で要約するのかという違いはありますが、どちらの言語で要約するかにかかわらす、共通しているのは、各段落の要約を意識することです。
各段落の要約をする上で、キーセンテンスはどれかを意識して、段落ごとにそのキーセンテンスを中心に要約していくと、全体的にうまくまとまった要約ができるので、ぜひ実践してみましょう。
Which of the six key points of long English reading comprehension do you think is the most important?
訳)英語長文読解の6つのキーポイントの中で、あなたが最も重要だと思うものはどれ?
Hmmm, that’s a tough question. All six key points are important.
訳)う~ん、難しい質問だね。6つのキーポイントすべてが重要だよ。
英語長文読解に本当に役立つ問題集8選!
本気で英語長文の読解力を伸ばせる問題集を8つ厳選しました。
レベル別に紹介していきます。
初級レベル
まずは初級レベルからです。
初級レベルとは言っても、「これまで読解プロセスを学んだことが無い!」という方にもぜひ取り組んでもらいたい問題集たちです。
現にこれを書いている筆者も、TOEICのスコアが700を超えてからこれらの書籍を読んで、読解プロセスの深掘りをしました。
その結果、後述する「精読」の精度がグンと伸びた実感があります。
ぜひ参考にしてください。
英文読解入門 基本はここだ!
「英単語や英文法は得意だったのに、長文読解になるとちょっと…」という方ほど、この問題集が刺さります。
なぜなら、英単語のレベルも英文法のレベルも中学レベルの英文なのに、「なぜか読めない、読みづらい英文」を取り扱って、読者の理解を促(うなが)すからです。
特に、「なんとなく、感覚で」英文を読んでしまっている方、「知っている単語を片っ端から日本語訳して」読んでいる方にはおすすめです。
今まで「なんとなく」で済ませていた文構造がクリアにわかることで、英文をスムーズに読めるようになり、少ない時間、少ないストレスで英文が読めるようになります。
英文の読み方が、それまでとは180度変わったような感覚を得られるでしょう。
また、本のサイズはB5程度で、ボリュームも150ページ程度とコンパクトで薄いことが特徴です。
コンパクトで薄いことで、心理的な負荷が少なく、サラッと取り組めてサラッと周回がしやすくなります。
その薄さや解説のわかりやすさからは想像が出来ないほど内容は濃密なので、最低3周はして、長文読解が得意な人の読解プロセスを身につけてしまいましょう。
入門 英文解釈の技術70
「自習室や図書館、自宅や喫茶店などで腰を据えて勉強したい。」という方には「入門 英文解釈の技術 70」がおすすめです。
先述の「英文読解入門 基本はここだ!」よりも少しだけ厚い書籍で、同じレベルの問題集としてよく挙げられます。
「基本はここだ!」が50項目だったのに対して、こちらは70項目を扱っており、加えて各項目の後に演習用の文章も用意されているので、腰を据えて勉強するだけのボリュームがあります。
書店に出向いて「基本はここだ!」と「英文解釈の技術70」を手にとって、実際に見比べてご自分に合いそうな方に取り組んでみてください。
学研出版のこの問題集は、300語程度の長文を中心に、読解力や頻出の設問形式への解答力をイチから鍛えることを目指して作られています。基礎から大学共通テストレベルの長文を取り扱っています。
DAY 1からDAY 15までの15日完成で、各日300語程度の長文を読んで、問題を解きながら、長文読解力を無理なくつけていけます。
目次の後に、「長文読解力を鍛える10の鉄則」という見開きのページがあり、ぜひここを読んでから、問題を解いていただきたい。長文を読むときに必要な鉄則がそこに書かれており、確かにそうだなと思える鉄則です。
長文問題は一度解いたらそれで終わりになってしまいがちですが、この問題集は反復型を目指しています。音読練習に欠かせない「英文読み上げCD」と、音読用英文・大意・入試頻出単語リストを掲載した「トレーニングブック(別冊)」が付属しているので、効果的に復習ができます。
中級レベル
「TOEICでハイスコアを取りたい!」「教養として英語を読めるようになりたい!」という方は、この中級レベルの問題集で完結してOKです。
それだけのことを、この問題集から得られるでしょう。
特にTOEICは、難関大学の入試やTOEFL、IELTSに比べてシンプルな文構造がほとんどを占めています。
ゆえに、この中級レベルをこなせば、十分にハイスコアを狙えると言えます。
基礎 英文解釈の技術100
先述した「入門 英文解釈の技術70」の中級レベル版です。
数ある英文読解本の中でも、この問題集が優れている点は「網羅性」です。
この書籍に書いてある通り、「大学受験初級レベルから難関大学入試レベル」までをしっかり網羅しています。
つまり、この1冊だけで初級レベルから難関大学レベルまでの技術を身につけることが出来るわけです。
その分ボリュームもそこそこ(約300ページ)で少し大変に思えますが、何冊も問題集を往復するよりはずっと楽です。
「基礎 英文解釈の技術100」を3周しているころには、長文読解が得意になっているはずです。
『イチから鍛える英語長文500』は、先ほど紹介した『イチから鍛える英語長文300』の中級レベルの英語長文問題集です。
500語程度の長文を中心に、読解力や頻出の設問形式への解答力をイチから鍛えることを目指しています。大学共通テストから難関大レベルの長文を扱っています。
目次を見ると、難関大の過去問やセンター試験の500語程度の長文問題が厳選されていて、問題を解いていくことで、実戦力が鍛えられそうです。
上級レベル
上級レベルは、「TOEICでハイスコア(700オーバー)が取れるようになってきたけど、英語力の伸びが頭打ちになってきた…」と悩んでいる方におすすめしたい問題集です。
というのも、これを書いている筆者自身が、「英単語がわかってしまうからこそ、文構造を意識する前に『なんとなく、感覚で』読めてしまう状態」に苦しんでいました。
そんな時に役に立ったのが、「上級レベルの読解問題集で、『なんとなくでは解けない問題』に取り組むこと」でした。
上述の悩みを抱えている方は特に、ぜひお役立てください。
イチから鍛える英語長文700
『イチから鍛える英語長文700』は、先ほど紹介した「イチから鍛える英語長文シリーズ」の上級レベル向けの問題集です。
実際の入試問題の700語程度の長文の14問から構成されており、ハイレベルの長文を確実に得点源にすることを目指しています。
「核廃棄物処理の問題」や「オーストラリアの環境問題に対する俗説」など環境問題を扱った長文や、「グローバル化」や「社会的地位を象徴づける服装」など社会問題を扱っている長文もあり、時事問題に関する英語長文を解く練習ができます。
ポレポレ
ポレポレは受験生の間で「英語が難しい最難関大学に、余裕を持って合格するための問題集」「難関大学志望でも、ここまでやる必要はない」と言われる問題集です。
だからこそ、「なんとなくで読めてしまうからこそ、行き詰まっている英語学習者」の救世主になり得ます。
この問題集は、「なんとなくでは絶対に読めない、難問だけど、しっかりとプロセスを踏めばちゃんと解ける問題」を50問厳選してあります。
これに取り組むことで、「なるほど!自分はここを何となく、直感で済ませてしまっていたんだ!」と発見することが出来るわけですね。
初級編で書いた「基本はここだ!」を書いた西きょうじ先生監修の問題集で、コンパクトで薄い冊子となっているので、ぜひこちらも周回したい問題集です。
大学赤本
大学入試向けに、英語長文読解の問題集をお探しの場合、自分の志望校の大学赤本をおすすめします。
入試問題の傾向は年々変わっているので、志望校(志望学部)の最新の赤本を使って、その大学学部の赤本を買って、対策していきましょう。
英語の長文はどんな勉強法をすればいいの?2つの最適解を紹介!
最後に、効果的な長文の勉強法をお伝えします。
長文読解力を養うのに特化した勉強法は、以下の2つを実践すれば間違いないと言って良いです。
ぜひ取り組んでみてください。
精読
精読とは、英文ひとつひとつを正確に読んで翻訳していく勉強法です。
これを行うことで、「なんとなく読解、直感で読解」を排除した読解力を養うことが期待できます。
「ここまでが主語、ここが動詞で、ここからが目的語、前置詞があるから自動詞が前置詞とセットになって他動詞の役割をしてて…」と、しっかりと正確に読むことが大切です。
英語の5文型、第1文型から第5文型までを理解しておくことは、英語長文を読むうえで非常に役に立ちます。
長文を読んでいる中で、知らない単語も出てくるでしょうが、文型を理解していると、詳細が分からなくても、筆者の言いたいことが分かったりすることがよくあります。
正確に読んでいくことで、英文構造のパターンを覚えることができ、英文を読むスピードも上がります。
音読
精読が板についたら、今度は音読をしてみましょう。
音読では、精読で行っていたプロセスを、自分が音読するスピードで理解する意識で行います。
最初はゆっくりでOKです。徐々にスピードを上げていきましょう。
これを行うことで、時間の制限が厳しいTOEICの長文も、時間に余裕を持って読めるくらいのスピードが養われます。
この精読、音読の、2つのプロセスを正しく踏むことで、英語上級者も驚くほどの読解力を身につけることが出来ますよ。
まとめ
この記事では、英語の長文読解を得意にする方法をお伝えしました。
ここまでお読みのあなたは、既に「英文読解が得意な人の読解プロセス」に至るため必要なことが既にわかっています。
この記事でお伝えしたことを活かして、ぜひご自身の英語の表現力をより豊かにしていただければ幸いです。