ピラミッドやスフィンクス、そしてツタンカーメンなど歴代ファラオの墳墓(ふんぼ)が集中している王家の谷などなど、エジプトは多くの旅行者を魅了する建造物の宝庫です。そのエジプトの首都、カイロの一部地区が世界遺産に登録されていることをご存知ですか?
この記事では、エジプトの世界遺産「カイロ歴史地区」を紹介します。長い歴史を持つエジプトの旧市街の魅力を英語の表現とともにみていきましょう。
エジプト「カイロ歴史地区」の基本情報

読者の皆さんのなかにも、エジプトを訪れたことがあるという方がいるかもしれませんね。まずは、カイロ歴史地区がどのようなエリアなのか基本情報をみていきます。
カイロ歴史地区の情報
エジプト(エジプト・アラブ共和国/Arab Republic of Egypt)は、アフリカ大陸の北東端に位置する国です。北には地中海、東は紅海があり、スエズ運河を使用することでヨーロッパとアジアとの海上輸送や貿易が促進されてきました。
エジプトの首都はカイロ(Cairo)であり、本記事で紹介する世界遺産「カイロ歴史地区」は、特にカイロの歴史的価値の高い地区を指しています。この歴史的価値とは、例えば、中世イスラム期の建築的・歴史的に価値のある建物や街並みが集中していることだったり、人類の歴史と文化を伝える具体的な証拠が残っていることなどが挙がります。
カイロ歴史地区と中世イスラム時代
中世イスラム時代(6~16世紀)、イスラム勢力がバビロン城を陥落し、軍事都市として発展したエリアがカイロ歴史地区です。特に、10世紀にはオールド・カイロが形成され、マルムーク時代(13~16世紀)に世界最大のイスラム都市として繁栄したという歴史を持っています。繁栄したという意味で、カイロ歴史地区はイスラム世界の学術、経済、文化の中心地であったのです。すでに、カイロ歴史地区の歴史的な重要さを感じますね。
カイロ歴史地区の英語フレーズを紹介

では、カイロ歴史地区を英語にするとどのようなフレーズになるのか説明しましょう。
カイロ歴史地区の英語表現
カイロ歴史地区は英語で”Historic Cairo”です。Historic CairoはOld CairoやMedieval Cairoと呼ばれることもあります。
訳)カイロ歴史地区は中世のカイロとも呼ばれ、10世紀にイスラム世界の新しい中心地として建設され、14世紀に黄金期を迎えました。
海外の歴史を見るとき、Medievalという単語を目にすることがよくあります。Medievalは「中世」という意味であり、この例文でもMedieval Cairo(中世のカイロ)として登場しています。
カイロ歴史地区はカイロのどこ?
エジプトといえば、全長6,695キロもあるナイル川(the river Nile)が有名ですね。エジプト以外に9ケ国もの流域国があります。カイロでは、ナイル川東岸にあるのがカイロ歴史地区です。
訳)エジプトのカイロは、カイロ歴史地区を網羅し、ナイル川の東岸に位置しています。
カイロ歴史地区が世界遺産になった年や理由は?

ひとつの建物ではなく、ある地域一帯が世界遺産になっている状態の歴史地区は世界に多くあります。歴史地区は世界遺産の「文化遺産」に分類されます。
ここで、カイロ歴史地区が世界遺産に登録された年や理由をみていきます。
カイロ歴史地区が世界遺産になった年
訳)カイロ歴史地区は、1979年にユネスコの世界遺産に登録されました。
カイロ歴史地区が世界遺産になった理由
続けて、カイロ歴史地区が世界遺産に登録された理由を3つ紹介しましょう。
訳)カイロ歴史地区の偉大なモニュメントは、カイロの空にそびえ立つ建築と芸術傑作のユニークなアンサンブルです。
訳)カイロ歴史地区は、長い間異なる文化が共存し、人間と環境の相互作用を表現してきた、まとまりのある都市構造の傑出した例です。
訳)カイロの歴史的中心部は、中世におけるこの都市の政治的、戦略的、知的、商業的レベルの国際的重要性を示す印象的な物証となっています。
カイロ歴史地区の歴史的背景として、641年にイスラム教徒による征服でカイロの起源「フスタート市」が築かれたことを付け加えておきましょう。
「カイロ歴史地区」は、建築的傑作、人類の居住形態の例、文化的価値の証拠としての普遍性が認められ、世界遺産に登録されました。
引用:UNESCO World Heritage Centre
カイロの歴史と王朝を紹介
さてカイロを見る際、いくつかの王朝が存在したことを知っておくべきでしょう。
カイロを繁栄させた王朝
641年にフスタート市が築かれた後のカイロには、以下の王朝が存在していました。
969年には、ファーティマ朝が現在のカイロである「アル・カーヒラ(勝利の都)」を創建。それ以降、アイユーブ朝、マルムーク朝、オスマン帝国といったイスラム王朝が続きました。カイロの繁栄は数世紀に渡り、アフリカの中心都市としての役割を果たします。
カイロ歴史地区の魅力とは?
歴史的な価値があるカイロ歴史地区ですが、ここではこのエリアで実際に観ることができる魅力について紹介しましょう。
カイロ歴史地区の魅力を紹介
カイロ歴史地区は約5.23平方キロメートル、東京ドームの約111個分の広さです。このなかで、モスクなどの代表的建築、約500を超えるモスク・マドラサ(神学校)、霊廟、浴場、そして歴史的市場であるスークや城門や城壁がこの地域に詰まっています。この状態は奇跡的と評されるほど、貴重な地区となっています。
訳)カイロ歴史地区には、例えばスルタン・ハッサン・モスクとマドラサ、アル・アクマル・モスクなど、魅力的な場所が多くあります。
カイロ歴史地区にはとにかく見どころが多く、日本人にとっては異文化にたっぷり浸れる機会となるでしょう。
中世の雰囲気が残った路地や市場を楽しむ

カイロ歴史地区の魅力は歴史的建築物にとどまりません。住民たちの生活を垣間見る街そのものも魅力です。
中世を感じるカイロ歴史地区
カイロ歴史地区内は細い路地が張り巡らされ、散策を楽しめます。ハーン・エルハリーリ・バザールという歴史的スークは、市場が開かれた14世紀末の当時そのままの状態が保存されています。
訳)ハーン・エル・ハリーリは、地元の職人と出会ったり、このバザールを忘れがたいものにしている活気ある魅力に浸ることができるカイロ歴史地区にある有名なバザールです。
まとめ
本記事では、1979年に登録されたエジプトの世界遺産「カイロ歴史地区/Historic Cairo」を紹介しました。イスラム世界の学術、経済、文化の中心地であったエリアが奇跡的に保存されている旧市街の魅力をお届けしました。
【関連記事】

