春の訪れとともに、イランでは「サマヌー」という特別なお菓子が登場します。
とろりと甘くて素朴な味わいのこのお菓子、実は深い歴史と文化的意味を持っているんです。
今回の記事では、このイランのサマヌーを英語でなんて言うのか、またその名前の由来や歴史を紹介します。
サマヌーにまつわる英会話も併せて紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
サマヌーとは?

サマヌーとは、発芽させた小麦をすり潰し、エキスにしたものを小麦粉と一緒に長時間煮詰めて作る甘いペースト状のお菓子です。
その見かけは溶かしたチョコレートのようで、お砂糖を全く入れていないのに、麦芽の優しい甘さが感じられます。
サマヌーは、イランで最も大事な行事であるノウルーズ(春のお正月)に飾られる7つの縁起物のひとつです。
富のシンボルともされるこのサマヌーは、麦芽から作られるだけあってビタミンE、B軍を豊富に含んでいます。
原料となる麦芽は癌の予防や皮膚トラブル、高コレステロールや筋肉痛にも良いとされており、栄養面でも優れた食品です。
ノウルーズとは?
ノウルーズ(نوروز、nowrūz)とは、ペルシャ語で「新しい日」という意味があり、イラン歴の元日にあたる日のことです。
3月20日から21日で太陽が春分点を通過する時間、分、秒まで正確に発表され、その瞬間に新年をお祝いします。
ノウルーズには、ペルシャ語のアルファベット「س(スィーン)(S)」から始まる次の7つの食べ物を縁起物として飾るのが習慣です。
- 麦の新芽(Sabzeh) :復活、成長を表す
- サマヌー(Samanu) :力、強さ
- りんご(Seeb):美
- にんにく(Seer):健康
- 酢(Serkeh):忍耐
- ナナカマド(Senjed):愛とやさしさ
- ハゼの実の粉末(Somag):日の出、希望
上記の7つは伝統的なもので、この他にも金運を願って貨幣(Sekke)を飾る家庭も増えているそうです。
ちなみに酢が忍耐を表すのは、作るまでに長い時間がかかることが理由だそうです。
外国の習慣も知ってみるととても興味深いですよね。
サマヌーは英語でなんという?
サマヌーは英語でも「Samanu」と表現します。
日本の寿司(Sushi)や抹茶(Macha)と同じで、その国の文化を大切に考え、固有名詞としているんですね。
ただ、サマヌーを知らない人にとっては「Samanu」と言っても「?」となってしまうでしょうから、説明が必要です。
ここではサマヌーを英語でどう説明したら分かりやすいか、会話形式で確認してみましょう。
サマヌーの歴史

サマヌーの歴史は古く、2,500年以上前から行われているノウルーズでずっと作り続けられている縁起物です。
ノウルーズがユネスコの無形文化遺産にも登録されている、イラン国民にとって最大の年中行事であることからも、それに欠かせないサマヌーが特別なものであることは間違いないでしょう。
ノウルーズの際には、驚くほど大きな鍋を使って、交替しながら、また歌いながら10時間とも12時間ともいわれる長い時間をかけてサマヌーが作られます。
機会があれば、ぜひノウルーズの時期に合わせてイランを訪れ、その光景を見てみたいですね。
サマヌーの名前の由来は?
サマヌーの名前の由来は諸説ありますが、古代ペルシャ語の「samanu」=甘いが元になったとされています。
お砂糖を使っていないのにやさしい甘さが広がるという、このサマヌー。
食べたことがある人にいわせると、日本人好みで病みつきになる美味しさだそうですよ。
ぜひ一度食べてみたいものですね。
サマヌーを作ってみよう

サマヌーの味が気になる方のために、サマヌーの作り方を紹介します。
サマヌーの作り方
<材料>(4人分)
- 小麦粒(Whole wheat grain)
※無精白で芽が出るタイプのもの 500g - 水
芽出し、煮込み時に使います - 小麦粉(Wheat flour) 1.5kg
<作り方>
①小麦粒を発芽させる(2~3日かかります)
小麦粒をよく洗い、一晩水に浸す
きれいな布に包み、お盆などに載せて比較的暖かい場所に置く
乾燥を防ぐため1日に1~2回水をかけ、発芽を促す
※水が多すぎると発酵しすぎるため、注意しましょう
芽が5~7mmになればOK
②発芽した小麦粒をすり潰して水を加え、ザルなどで漉してエキスをとる
※ブレンダーやミキサーを使ってすり潰すと簡単です
※ザルに残った小麦粒もよく絞ってエキスに加えましょう
③②のエキスにダマにならないよう注意しながら小麦粉を少しずつ加え、混ぜる
※完全に小麦粉が溶けるまで混ぜるのがコツ!
④ペースト状になるまでかき混ぜる
沸騰するまでもそうですが、とにかく鍋の底にくっつきやすいので注意が必要です。
少しずつ水を加え、薄茶色のペースト状になるまでとにかく煮込みましょう。
煮込む時間は状況により異なりますが、6~12時間程度が目安です。
サマヌーの楽しみ方
サマヌーはペースト状のお菓子ですが、どうやって食べれば良いのでしょうか。
実は、サマヌーには色々な楽しみ方があるんです。
基本的にサマヌーはプリンのようにスプーンですくって食べますが、温度によって違った食感が楽しめます。
常温だとスプレッドのようなテクスチャで、そのまま食べても、ナンなどに塗っても美味しいですし、温めればやわらかめのテクスチャになり、クラッカーなどですくって食べれば手が止まらなくなる危険があります。
冷やすとちょっと重めでもったりしたペースト状になるので、サマヌーをガッツリ楽しむには冷やすのもおすすめです。
まとめ
今回はイランの春の訪れを祝う伝統菓子、サマヌーを紹介しました。
サマヌーは、イランの人々にとって単なるお菓子以上の存在。
2,000年を超える歴史を持つノウルーズに欠かせない縁起物として、幸せを願う人々の思いが詰まった特別なものです。
今回紹介したフレーズを使って、たくさんの人にサマヌーを紹介してみましょう。
もちろんサマヌー
に限らず色々な場面で使える表現ばかりなので、どんどん英会話のスキルアップに役立ててくださいね。
サマヌーを手作りして、英会話のトピックにするのもひとつの方法です。
これからも美味しくて使える英語をどんどん紹介しますので、お楽しみに。
See you next time!
【関連記事】

