青く広がる空、白い砂浜、どこまでも続く緑の棚田。インドネシアのバリ島は、その美しさから「神々の島(Island of the Gods)」とも呼ばれています。
この島には、自然の恵みを生かしたユニークな灌漑システム「スバック(Subak)」と、バリ・ヒンドゥー哲学「トリ・ヒタ・カラナ(Tri Hita Karana)」に基づく棚田の景観が広がっています。
これらは、ユネスコの世界遺産に登録されています。この記事では、その魅力を英語フレーズを交えながらご紹介します。
バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナ哲学に基づくスバック灌漑システムとは

美しい景観は、トリ・ヒタ・カラナというバリのヒンドゥー哲学と、スバックというバリ島の伝統的な灌漑システムによって維持されてきました。
トリ・ヒタ・カラナとは?
「Tri Hita Karana」とは、サンスクリット語で「三つの幸せの源」という意味です。具体的には以下の3つの調和を指します:
- 神と人との調和(Parahyangan)
- 人と人との調和(Pawongan)
- 人と自然との調和(Palemahan)
トリ・ヒタ・カラナは、宗教・社会・自然の三位一体を大切にする、バリ島の暮らしと文化の根幹にある哲学です。
スバックとは?
「Subak(スバック)」とは、9世紀ごろから存在する水利組合制度のことです。山の湧水を人工的な水路で分配し、農家が公平に水を使えるようにしています。
たとえば、あるスバックは50~400の農家が協力して管理しています。リーダー的存在の「スバック長」がいて、水の流れをコントロールするだけでなく、宗教的な儀式も取り仕切ります。
このシステムにより、バリ島の棚田は、1000年以上もの間、美しさと実りを保ってきました。
バリ島ってどんなところ?
バリ島はインドネシアの中でも特に人気のリゾート地です。美しいビーチ、豊かな自然、神秘的な寺院」が魅力で、観光客にも人気があります。
ヒンドゥー教の寺院が多く、「ガムラン音楽」や「ケチャダンス」など、伝統文化も色濃く残っています。
アクセス・見学方法
日本からデンパサル国際空港までは直行便で約8時間。そこから世界遺産の棚田があるエリアへは、車で1〜2時間かかります。
とくにタマン・アユン寺院は、クタなどの観光地から比較的アクセスしやすく、最初に訪れるのにぴったりのスポットです。
ガイド付きのオプショナルツアーを利用すると、歴史や文化の背景がより深く理解できます。
バリ文化景観の歴史
バリのスバック制度は、9世紀ごろにはすでに始まっていたとされます。特筆すべき歴史的出来事としては、1634年、タマン・アユン寺院が建設され、1926年にバトゥール火山が噴火し、ウルン・ダヌ・バトゥール寺院が再建されました。
水と信仰がバリ文化に深く根づいていることがよくわかります。
覚えておきたい英語フレーズ

訳)わあ、この棚田の景色すごい!こんなの見たことないよ。
訳)この棚田は、1000年以上の歴史があるスバック灌漑システムの一部なんだよ。
訳)バリの人々は、人と自然、神の調和を大切にしていて、それをトリ・ヒタ・カラナって呼ぶのよ。
訳)ガイド付きツアーに参加して、バリの寺院や稲作についてたくさん学んだわ。
次回バリに行くとき、ぜひ現地で使ってみてください!
世界遺産としての価値とは?
正式名称は以下のようになります。
Cultural Landscape of Bali Province: the Subak System as a Manifestation of the Tri Hita Karana Philosophy
バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナ哲学に基づくスバック灌漑システム
登録年は?
Cultural Landscape of Bali Province: the Subak System as a Manifestation of the Tri Hita Karana Philosophy was designated as a UNESCO World Heritage Site in 2012.
訳)バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナ哲学に基づくスバック灌漑システムは、2012年にユネスコの世界遺産に登録されました。
登録理由は?
世界遺産に登録された主な理由は次のような点です。
- スバックシステムによって、水の寺院や儀式、棚田などバリの景観を形作ってきたこと
- スバックシステムのおかげで、バリにある5つの景観のような景観を1000年にわたって形作ってきたこと
- トリ・ヒタ・カラナ哲学によってスバック・システムが生まれ、地域の景観が発展・管理されてきたこと
観光で訪れたい!5つの構成資産をめぐる旅

バトゥカル山のスバック景観(The Cultural Landscape of Catur Angga Batukaru:Jatiluwih Village)
広大な棚田が広がり、絶景です。稲作の規模、生物多様性、水管理のレベルも非常に高いです。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院(Ulun Danu Batur Temple)
水の神「デウィ・ウルン・ダヌ」を祀る寺院。1926年の火山噴火の後、再建されました。バトゥール湖の湖畔に建つ美しい水上寺院は、写真映えも抜群です。
バトゥール湖(Lake Batur)
「バリの水がめ」と呼ばれるカルデラ湖。ここから多くの川や泉が生まれており、スバックの命とも言える存在です。
タマン・アユン寺院( Taman Ayun Temple)
18世紀初めに建てられた王族の寺院。塔のような建築「メル」が並ぶ景観が特徴的。バリでいちばん美しい寺院といわれています。
ペクリサン川流域のスバック景観( The Subak Landscape of the Pakerisan Watershed)
神秘的なティルタ・エンプル寺院(Tirta Empul Temple)が有名。参拝者が聖水で沐浴する姿は、バリならではの宗教儀式のひとつです。
まとめ:英語で広がる世界遺産の旅
バリ島の文化的景観は、「自然・文化・人間のつながり」を感じることができる特別な場所です。英語で説明するときは、ぜひこんな表現を使ってみてください。
“The Subak system shows how people live in harmony with nature, guided by the Tri Hita Karana philosophy.”
世界遺産を英語で学べば、旅の楽しみも、英語の表現力も広がっていきます。

