モーリシャス(Mauritius)は、マダガスカルの東、およそ800kmの位置に浮かぶ島国で、イギリス連邦に加盟しています。首都はポートルイス(Port Louis)

青いラグーン、白い砂浜、緑あふれる山々という、まさに楽園のような風景が広がっています。

その美しい景観のなかでも、ひときわ存在感を放つのがル・モーン山(Le Morne Brabant)。ハネムーンやリゾート旅行の定番スポットでもありますが、実はここには、「自由のために戦った人々の記憶」が刻まれています。

ル・モーンの文化的景観とは?

ル・モーンの文化的景観とは?

モーリシャスの南西部に広がる小さな半島にそびえるのが、標高556mのル・モーン山です。

切り立った崖に囲まれたこの場所は、かつて奴隷制度が存在していた18〜19世紀に、自由を求めて逃げてきた奴隷たち「マルーン(Maroons)」と呼ばれる人々の隠れ家となっていました。

山は断崖絶壁に囲まれており、人目につきにくい洞窟や密林に覆われた地形でした。ここに奴隷たちは集落を作り、慎ましくも自由な生活を送っていたのです。

彼らが造った住居跡からは、アフリカ本土やインド、東南アジアの文化とつながる遺物も見つかっており、多様な背景を持つ人々がここで共に生きていたことが分かります。

Wikipedia

自由のための戦い

1835年、モーリシャスがイギリスの植民地だった時代に、奴隷制度は正式に廃止されました。

政府はその知らせを伝えるため、ル・モーン山へ警官隊を送りました。しかし、隠れて暮らしていたマルーンたちは、彼らが「再び捕まえに来た」と誤解し、恐怖のあまり崖から身を投げてしまったといわれています。

アクセス情報

ル・モーン山へは、サー・シウサガル・ラングーラム国際空港から約50km、車で約1時間15分ほど。個人でレンタカーを借りるか、ツアーを利用するのが一般的です。

ル・モーンの歴史

モーリシャス島は16世紀にポルトガル人によって「発見」され、その後オランダ、フランス、そしてイギリスによって支配されてきました。

特に17世紀から19世紀にかけては、アフリカやアジアから多くの奴隷が連れてこられ、過酷な労働を強いられていたのです。

しかし、一部の奴隷たちはその生活から逃れ、山岳地帯や密林に身を隠しました。ル・モーンもその一つであり、「マルーン共和国」とも呼ばれる小さな共同体が生まれました。

世界遺産としての価値

ル・モーンの文化的景観(Le Morne Cultural Landscape)は、2008年にユネスコの世界遺産に登録されました。

Aさん
Le Morne Cultural Landscape was designated as a UNESCO World Heritage Site in 2008.
訳)ル・モーンの文化的景観は、2008年にユネスコの世界遺産に登録されました。

登録の理由

その理由は主に以下の点です。

  • 奴隷制度の記憶を保存し、未来に伝える場所であること
  • 「マルーン」と呼ばれる逃亡奴隷たちが身を隠していた場所であり、自由を求めた逃亡奴隷たちの「記憶の地」であること

ユネスコは、この場所を次のように評価しています。

Aさん
Le Morne is an exceptional testimony to the Maroonage and the fight for freedom.
訳)ル・モーンは、マルーンたちの闘争と自由への希求を示す特別な証言の地です。

UNESCO World Heritage Convention:Le Morne Cultural Landscape

覚えておきたい英語フレーズ

英語を楽しく学ぶ読者のために、今回の記事に出てきた印象的な英語フレーズをいくつかピックアップします。

Aさん
Mauritius is a paradise island in the Indian Ocean.
訳)モーリシャスはインド洋に浮かぶ楽園のような島です。
Aさん
Le Morne is not just beautiful—it has a powerful history behind it.
訳)ル・モーンは美しいだけでなく、深い歴史を秘めた場所です。
Aさん
The mountain has become a symbol of the fight for freedom.
訳)この山は自由を求めた闘いの象徴となっています。
Aさん
Visiting Le Morne made me think deeply about human rights and dignity.
訳)ル・モーンを訪れて、人権や尊厳について深く考えさせられました。

ル・モーンの文化的景観のおすすめスポット

ル・モーンの文化的景観のおすすめスポット

ル・モーン半島は、歴史・自然・レジャーのすべてを楽しめる、モーリシャス屈指の観光スポットです。ここでは、文化的景観を構成する見どころや、おすすめの体験を紹介します。

ル・モーン山(Le Morne Brabant)

半島の中心にそびえるのが、標高556メートルのル・モーン山。切り立った崖と緑の植生に覆われた姿は、まさに自然の要塞のようです。

ハイキングコースは整備されていて、途中には奴隷たちが身を寄せていたとされる洞窟跡も点在しています。2〜3時間ほどで往復可能で、山頂からはコバルトブルーのラグーンが一望できます。

奴隷記念碑(The Slave Route Monument)

山のふもとには、奴隷制度の歴史を伝える記念碑が建てられています。この地で命を落とした多くの逃亡奴隷たちの記憶をとどめ、彼らの勇気と苦難を象徴する場所です。

絶景のビーチとラグーン(The Beach & Lagoon)

白砂のビーチとターコイズブルーのラグーンは、世界中の観光客を惹きつけます。海の透明度が高く、美しい風景が広がっています。

ビーチでのんびり過ごすのも、シュノーケリングやサップ(スタンドアップパドル)を楽しむのもおすすめ。とくに夕暮れ時のビーチから見上げるル・モーン山は、神秘的で感動的な風景です。

マリンスポーツ体験(Water Activities)

この地域ではウィンドサーフィンやカイトサーフィンなどのマリンスポーツも盛ん。特にル・モーンの海は風が安定していて、サーファーたちにも人気があります。

インストラクターと一緒に初心者でもトライできるので、アクティブな旅をしたい人にもおすすめです。

高級リゾートホテルでの滞在(Stay at a Resort)

ル・モーン半島には世界的なラグジュアリーホテルが点在しており、ハネムーンや記念日の旅行先としても人気です。オーシャンビューのヴィラやスパ付きのスイートルームに滞在して、リゾートライフを満喫できます。

夕食は地元のシーフードを使ったクレオール料理や、フランス料理のコースも楽しめます。ロマンティックな雰囲気の中で特別なひとときを過ごせます。

Aさん
We stayed at a resort in Le Morne—it was pure luxury.
訳)ル・モーンのリゾートに泊まったけど、本当に贅沢だったよ。

まとめ:英語で広がる世界遺産の旅

ル・モーンでは、奴隷として生きた人々の記憶をたどりながら、英語を通してその意味を深く理解することができます。ぜひ、訪れてみてください。

英語で学ぶことで、きっと世界への理解が一段と深まることでしょう。