フィンランドの中西部にある、小さな村ペタヤヴェシ。そこに佇む一つの教会は、時が止まったような静けさと、木の温もりを感じさせてくれます。この「ペタヤヴェシの古い教会」は、18世紀に建てられた伝統的な木造建築で、北欧の宗教的・建築的伝統が息づく場所です。
教会は、スカンディナヴィアの建築様式を基にしながらも、独自の工夫が随所に凝らされており、19世紀に増築された鐘楼や、魚の鱗のような屋根の木片などがその象徴です。
1994年にはユネスコ世界遺産に登録されました。この記事では、この教会の歴史、建築、見どころを英語を交えながら紹介します。
ペタヤヴェシの古い教会とは?

フィンランドの首都ヘルシンキから北へ約300km。森と湖に囲まれた自然豊かな場所に、小さな村「ペタヤヴェシ(Petäjävesi)」はあります。その静かな村に建てられたのが、「ペタヤヴェシの古い教会(Petäjävesi Old Church)」です。
建築されたのは1763年から1765年にかけて。地元の棟梁ヤーコ・クレメッティ・レッパネンによって設計・建造されたこの教会は、プロテスタントの一派であるルーテル派の礼拝堂として機能していました。
教会はギリシャ十字形(十字の4本の腕がすべて同じ長さ)の構造を持ち、当時としてはとても珍しく、芸術的な工夫が光るデザインでした。
そして19世紀に入ると、レッパネンの孫、エルッキ・レッパネンによって鐘楼が建て増しされ、現在の姿になりました。
建築の特徴
教会は白いギリシャ十字形の土台に、八角形の丸天井(ドーム型天井)が載っているという独特の構造です。建材には主に地元の松(pine)が使われており、木のぬくもりが感じられる素朴な仕上がりです。
屋根の内側には、赤いオークル色の塗料が中世以来の伝統に従って塗られており、温かみを演出しています。
また、屋根の木材にはこの建築に携わった大工たちのイニシャルが刻まれており、その一つひとつが職人たちの誇りを感じさせます。
アクセス方法
「ちょっと行きにくそう…」と心配されるかもしれませんが、実は意外とアクセスは便利です。
ヘルシンキ駅から、フィンランド中部の都市ユヴァスキュラまで列車で移動し、そこからオウル方面のバスに乗り、Jämsäで下車。そこからは徒歩約10分で教会に到着します。
世界遺産としての価値
「ペタヤヴェシの古い教会(Petäjävesi Old Church)」は、1994年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。木造建築でありながら、ヨーロッパのキリスト教建築の伝統をしっかりと受け継いでいる点が評価されています。
この教会は、スカンディナヴィアの木造宗教建築の優れた例であり、石造りの大聖堂を模しながらも、地元資源を活かして独自の解釈で形づくられた貴重な遺産なのです。
登録理由とは?
ユネスコは次のような点を評価しました。
- 文化の融合:木造でありながら、ルネッサンス様式やゴシック様式の要素を取り入れている点。
- 地域性と独創性:地元の職人たちによる手作りの要素が多く、文化的価値が高い。
- 保存状態:18世紀から現在まで、大きく改築されずに良好な保存状態を保っている。
覚えておきたい英会話フレーズ
ここでは、ペタヤヴェシの古い教会を訪れたときの感動を共有する英会話例をご紹介します。
訳)この教会、本当に美しいね。全部木でできてるなんて信じられない!
訳)うん、石の大聖堂とは違って、温かみと静けさがあるね。
訳)木に刻まれたイニシャル、見た?
訳)うん、まるで大工さんたちがサインを残していったみたいだよね。
訳)あの天井の形、すごくユニークで素敵!
訳)あれは八角形の丸天井だよ。木造教会では珍しいんだ。
訳)こんなのを手作業だけで造るの、大変だっただろうね。
訳)その通り。釘も金属も使ってないって、本物の職人技だよ。
訳)ここまで来て本当によかった。来る価値あったね。
訳)うん、今まで訪れた場所の中でも、特に静かで心が落ち着いたよ。
ペタヤヴェシの古い教会の見どころ

ペタヤヴェシの古い教会は、素朴で美しい木造建築が魅力。説教壇や天井、建築構造など、手作業の温もりを感じる見どころが満載です。
独創的な説教壇
教会内に入ると、まず目を引くのが、素朴で独創的な説教壇。土台を支えているのは手彫りの聖人の像で、壇の側面には天使や使徒たちの姿が散りばめられています。
これらはすべて、キリスト教の正式な教育を受けていない地元の職人たちが、想像力を働かせて創り上げたもの。素朴ながら温かみがあり、多くの来訪者が足を止める名所となっています。
後ろの壁には、画家カール・フレデリック・ブロムによる「聖なる堅信」や、モーゼ、マルティン・ルターの肖像画が飾られており、宗教的・歴史的価値も高いです。
八角形の丸天井
教会の天井は、八角形に設計されたドーム型。そこには1764年の年号がくっきりと彫られており、建築当時の雰囲気をそのまま伝えてくれます。
また、天井や梁(はり)には、建築に関わった大工たちのイニシャルが刻まれており、中には逆さ文字になっているものもあり、当時の文化や表現が垣間見える貴重な資料です。
建築構造の魅力
この教会は、ストックホルムの石造りのイタリア式教会を参考にしながら、地元の材料で独自に再現したものです。
建材にはすべて地元の松を使用し、ルネッサンス様式やゴシック様式の要素を組み合わせた、ハイブリッドなデザイン。特に大きな三角屋根は遠くからでも目を引き、北欧建築の独創性を体現しています。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
ペタヤヴェシの古い教会には、地元の人々が築いてきた信仰、建築技術、文化が詰まっています。
英語を学びながら、世界のこうした場所を旅することは、語学力だけでなく、視野を広げることにもつながります。
世界遺産を巡る旅を通じて、ことばと文化の橋を架けてみませんか?
