フランス中部、ブルゴーニュ地方の小高い丘の上に、ロマネスク建築の傑作と称される教会があります。それが、ヴェズレー村にあるサント=マドレーヌ大聖堂(Basilica of Sainte-Marie-Madeleine)。
この教会は、9世紀に建てられ、マグダラのマリア(Saint Mary Magdalene)の聖遺物が祀られていたと伝えられています。そのため中世には多くの巡礼者がこの地を訪れました。特に入口の上部にある彫刻「使徒に使命を与えるキリスト」は、宗教芸術の最高傑作の一つとも言われ、今もなお人々の心を引きつけています。
ヴェズレーの教会と丘とは?

ヴェズレーは、パリから南東約230kmにあるヨンヌ県の古都です。9世紀、イエスの死と復活を見届けたとされるマグダラのマリアの聖遺体が南仏のサン=マクシマンからこの地に運ばれたと伝えられ、修道士たちによって教会が建てられました。
その後、ヴェズレーはサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の通過点として発展。11世紀以降は巡礼の地として名声を高め、12世紀には人口が増加。イングランド王リチャード1世やフランス王ルイ9世などもこの地から十字軍遠征に出発したと記録されています。
村全体が美術館のよう:歴史ある街並み
ヴェズレーの村には、12世紀以降のロマネスク様式やルネサンス様式の家々が立ち並びます。ブルゴーニュ地方独特の褐色の平瓦と石造りの家々が軒を連ねています。
この村はまた、多くの芸術家や文化人に愛されてきました。
思想家ジョルジュ・バタイユは晩年をこの村で過ごし、村の墓地に眠っています。ノーベル文学賞を受賞したロマン・ロランの旧邸は現在、博物館として公開されています。
その他にも、知日派としても知られる詩人ポール・クローデルや、建築家ル・コルビュジエなど、芸術を愛する人々がこの静かな村に魅了されてきました。
サント=マドレーヌ大聖堂の建築と美術
この大聖堂は、9世紀末にベネディクト会修道士によって建てられました。当初はバシリカ式でしたが、12世紀の火災後にロマネスク様式で再建されました。
正面玄関の中央扉上部には、12世紀前半に制作されたロマネスク様式の見事なティンパヌム彫刻があります。この彫刻は、「使徒に使命を与えるキリスト(Christ in Majesty sending the Apostles)」とも解釈されるテーマを描いています。
身廊(中央の通路)と側廊の柱頭には、聖書の物語を描いた彫刻がずらりと並びます。中でも有名なのが「神秘の粉挽き(The Mystical Mill)」。
左には旧約の預言者モーセ、右には新約の使徒パウロが描かれ、中央の粉挽き器で旧約の律法が新約の教えへと象徴的に受け継がれる様子が表現されています。この彫刻は、聖書の流れを視覚的に示す美術として高く評価されています。
再評価と復活:ヴィオレ・ル・デュックの功績
サント・マドレーヌ大聖堂は一時荒廃しましたが、19世紀に建築家ヴィオレ・ル・デュックによって修復され、20世紀には再び巡礼地として人気になります。
世界遺産としての価値
ヴェズレーの教会と丘は、Vézelay, Church and Hillの名称で1979年にユネスコ世界遺産に登録され、2007年には範囲が拡張されました。
なお、ヴェズレーの教会と丘は、「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(フランスの道)」(1998年に世界遺産に登録)の構成資産に含まれています。
登録理由は?
その価値は、宗教的・歴史的な重要性に加え、建築様式や美術作品の完成度の高さにもあります。
主に次のような点を評価されました。
- サント=マドレーヌ教会はブルゴーニュ地方のロマネスク様式の傑作である
- ヴェズレーの丘は、中世のキリスト教の巡礼地でもあり、巡礼者に加えて、十字軍も訪れる場所であった
覚えておきたい英会話フレーズ
ヴェズレーの教会と丘を訪れたら、各国から訪れている観光客や現地の人たちと、感動を共有したいですね。旅行の際に役立つ英語フレーズを紹介します。
訳)この教会、想像以上に美しいわ。ティンパヌムの細部が本当にすごい。
訳)うん、「使徒に使命を与えるキリスト」の彫刻、すごいよね。石なのに、まるで動いているみたいだよ。
訳)ここが中世のフランスで最も重要な巡礼地のひとつだったって知ってた?
訳)本当に?それは知らなかったよ。それなら、建築がこんなに荘厳で象徴的なのも納得だね。
訳)見て、あの景色!ブルゴーニュの平野が一望できるわ。
訳)息をのむ美しさだね。空気もすごく澄んでるし、この静けさには神聖さを感じるよ。
おすすめの見どころ

おすすめの見どころは、サント・マドレーヌ大聖堂のほか、丘の上の展望台から見渡せるヴェズレーの村の美しい景色です。
ヴェズレーの丘の上からの景色
ヴェズレーの丘の上からの景色も忘れてはなりません。頂上付近には展望台のテラスもあり、眼下に広がる、ブルゴーニュの大平野の素晴らしい眺めを一望できます。空の色、風景、澄んだ空気が、深く静かな感動を与えてくれるでしょう。
特に、教会裏の展望テラスから眺める澄んだ空と静寂な風景は、訪れる人の心を静かに揺さぶります。
訳)ヴェズレーの丘の上の展望台のテラスからは、ブルゴーニュの眺めが一望できます!
ヴェズレーの村
また村のメインストリートには、地元のワインやチーズを扱うショップ、手作り雑貨の店、カフェやレストランも多く、散策にもぴったり。季節ごとに変わる景色や市場も旅の楽しみのひとつです。
アクセス方法と観光のヒント
パリから日帰りも可能。以下のルートがおすすめです:
パリ → ディジョン(TGVで約1時間半)→ ヴェズレー(バスまたはレンタカーで約1時間)
※公共交通の本数は少なめなので、ツアーの利用やレンタカーも便利です。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
フランスの静かな丘の上にあるヴェズレーは、歴史、信仰、芸術が融合した世界遺産です。
サント=マドレーヌ大聖堂のロマネスク彫刻に感動し、石畳の村を歩き、美しい景色を眺めながら、時を超えた旅に出てみませんか?
旅先で英語フレーズを使いながら、自分だけの世界遺産体験を楽しんでみてください。
