乳幼児の午睡中に起こりうるリスクとして、SIDS(乳幼児突然死症候群)は保育現場で常に意識されている重要な課題です。
SIDSは、健康に見えた乳幼児が睡眠中に突然亡くなる原因不明の症候群で、日本でも毎年一定数の報告があります。
特にうつ伏せ寝や呼吸の変化、体調不良に気づくのが遅れたケースでは、事故につながった事例もあり、午睡中の見守り体制は命を守る最後の砦とも言えます。
こうした背景から、日本の多くの保育園・幼稚園では「5分おきの午睡チェック」が基本とされています。
一見すると細かく大変な作業ですが、そこには明確な理由と現場の工夫があります。
5分おきの記録や体調管理の工夫を紹介します

なぜ5分おきのチェックが必要なのか
乳幼児は自分で体調の異変を訴えることができません。呼吸が浅くなっていないか、顔色が変わっていないか、汗の量や体の向きに異常はないかなど、わずかな変化を早期に察知するために、5分という短い間隔での確認が求められます。
また、チェックを「見る」だけでなく、「記録する」ことも重要です。記録が残ることで、万が一の際に対応を振り返ることができ、保育の質や安全管理の向上にもつながります。
実際の午睡チェックで見ているポイント
多くの園では、以下の点を重点的に確認しています。
- 呼吸の有無、リズム、胸や腹部の動き
- 顔色(青白さ、赤み、唇の色)
- 体の向き(うつ伏せになっていないか)
- 発汗や体温の変化
- 寝具が顔を覆っていないか
これらを5分おきに確認し、チェック表やタブレット端末に記録していくことで、「何となく見ている」状態を防ぐことができます。
SIDS対策としての環境づくり
チェックだけでなく、環境面の配慮もSIDS対策には欠かせません。
- 仰向け寝を基本とする
- 柔らかすぎないマットレスを使用する
- 枕やぬいぐるみを置かない
- 室温・湿度を適切に保つ
これらの対策と5分おきの確認を組み合わせることで、リスクを大きく下げることができます。
海外の保育園ではどうしている?
海外では国によって午睡の考え方やチェック体制が異なります。例えば、アメリカやオーストラリアではSIDS対策が非常に重視されており、「Back to Sleep(仰向けで寝かせる)」キャンペーンが広く浸透しています。チェックの間隔は園によって異なりますが、日本ほど細かく記録を残す文化は少ない一方で、モニターやセンサーを併用する園もあります。
ヨーロッパでは、子どもの自立を尊重する文化から、年齢が上がるにつれてチェック頻度が緩やかになる傾向も見られます。しかし、乳児期における安全配慮の重要性は共通しています。
英語での午睡チェック報告文例
外国人保護者がいる園や、バイリンガル保育園では、午睡の様子を英語で伝える場面も増えています。以下はシンプルで使いやすい例です。
- We checked your child every 5 minutes during nap time.
(午睡中は5分おきに確認しました) - Your child slept well and showed normal breathing throughout the nap.
(午睡中、呼吸も安定してよく眠っていました) - We noticed some sweating, so we adjusted the room temperature.
(汗が見られたため、室温を調整しました) - Your child woke up comfortably and is feeling well.
(気持ちよく目覚め、体調も良好です)
安全管理を丁寧に伝えることで、保護者の安心感にもつながります。
午睡チェックに便利な道具・機器

センサー式モニタリングシステム(保育園向け)
保育園やこども園など、多人数・長時間の見守りが必要な現場向けに開発された機器です。人間の目で5分ごとに見守るだけでなく、自動で体動や姿勢を検知し記録・アラートを出すことができます。
● ルクミー午睡チェック(日本)
- 用途:乳幼児の体の向きや体動を検知して自動記録・アラート。
- 使われ方:衣類やおむつにセンサーを付け、園のタブレットアプリに自動記録されます。うつ伏せ・体動静止状態が続いた場合にアラートが出て発見を早めます。
- 導入例:日本の保育施設で複数園に導入されています。保育者の負担を減らしつつ安全確認を強化します。
● 午睡チェックセンサー(CCS SENSOR)
- 用途:おむつに装着するクリップ型センサーで、体動の変化を検知。
- 使われ方:Wi-FiでタブレットやPCに連動し、複数園児の状態を同時に見守れる仕組みです。
- 特徴:自動記録・アラーム機能・チェック表の出力など、手書き作業の省力化にも役立ちます。
カメラ/AIベースのモニターシステム
寝姿勢や体の向きをカメラで視覚的に確認するタイプ。AIによる画像解析と組み合わせて使われることもあります。
● ベビモニ午睡チェックカメラ(日本)
- 用途:天井などに設置したカメラでうつ伏せ寝を検知し、AIが姿勢を自動判定。
- 活用例:保育施設全体で導入され、保育者が別の作業をしている間も安全管理を補助します。
- 利点:センサー装着の手間がなく、複数の園児を一括で管理できます。
● AI画像チェック(実例あり)
- 東京都内の保育所では、AIカメラで体勢を解析し、うつ伏せ寝の危険をタブレットで通知するシステムを導入した例が報じられています。これにより人間のチェックを補完しています。
家庭用/個人向けモニター
保育園ではなく家庭での睡眠見守りにも多くの製品があります。ただし、医療機器としてSIDS防止の効果が科学的に立証されているものは少なく、補助的な安心感を高めるツールとして活用するのが一般的です。
● ウェアラブル睡眠モニター(海外で人気)
- 例:心拍や呼吸、体の動きをモニターする「ソックス型」や「クリップ型」センサー(Owlet、Snuza、Babysenseなど)。
- 使われ方:乳児の足やおむつに装着し、異常をアラームで知らせます。
- 注意点:米国小児科学会(AAP)などは、これらがSIDSを“予防する”という証拠はないとする一方で、補助的なモニタリングとして安心感につながるとする声もあります(ただし、過信は禁物です)。
● スマホ連携センサー
- 一部の製品はスマートフォンアプリと連携し、複数の子どもの状態を一画面でモニタリングしたり、アラート通知が可能です。日本でも「Hoimin」などアプリ連動型システムがあります。
どの国・場面で使われているか
- 日本:保育園向けにセンサー・カメラ型システムが普及し始めています。特に都市部の園ではICTを活用し安全と効率を両立する取り組みが進んでいます。
- 海外:アメリカやヨーロッパでは家庭用モニターが広く使われていますが、医療機関と家庭用で評価が分かれるところもあります。医療専門家は安全な睡眠環境の整備を重視し、機器は補助として使うという意見が一般的です。
- 先進的な保育現場:AIカメラや統合モニタリングシステムは、子どもの数が多い園や人手が限られた現場で特に有効です。カメラ+AI解析は日本の園でも導入例が見られます。
便利な技術や機器は午睡チェックを補完し、保育者や保護者の負担を軽くする強い味方です。
しかし、どの機器にも限界と注意点があり、医療的なSIDS予防策の代替にはならないと心得る必要があります。機器は「安全な睡眠環境+人の目の定期チェック」の両方を支えるツールとして活用しましょう。
まとめ
5分おきの午睡チェックは、確かに手間のかかる業務です。
しかしそれは、事故を未然に防ぎ、子どもの命を守るための大切な時間でもあります。
チェックを義務としてこなすのではなく、「今、この子は安全か」を確認する積み重ねが、信頼される保育につながっていきます。
日々の工夫とチームでの連携によって、午睡チェックはより安全で、無理のないものにしていくことができるでしょう。
