「英語を話すには根拠のない自信も大事だよ。」これは、筆者が留学前に恩師から言われた言葉です。

根拠」は難しい言葉に聞こえますが、実は日常会話ではよく登場します。

例えば、「何を根拠にそんなことを言っているの。」や、「あなたの主張には根拠が足りない。」というような言い方は、誰でも一度は使ったことがあるのではないでしょうか。

今回は、「根拠」を意味する英語を5つ、例文とともに紹介します。それぞれの意味と使い方をマスターして、日常会話だけでなくビジネスや議論の場に役立てましょう。

どんな時に登場する言葉?

議論相手に「その根拠は何ですか?」と言うとき、英語では何と言うのでしょうか。

「Why?(なぜ)」だけでも意味は通じますが、拙く物足りない印象を受けます。特にビジネスの場では、正しい英語を使って相手と対等に議論したいものです。

日本語で「根拠」は、「物事の理由・裏付け」を意味します。例えば、「判断の根拠を示してください。」や「科学的根拠のある広告です。」のように使われます。

堅いイメージのある「根拠」ですが、もちろん日常会話でもカジュアルに使えます。「(噂話に対して)根拠あるの?」や「(何でも信じる友人に対して)何の根拠もないのに。」といった表現をサラッと英語で話せたら、会話のバリエーションもぐっと広がるでしょう。

エビデンスとファクトの違い

エビデンスとファクトの違い

「根拠」を表す英語として「evidence」と「fact」を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。

日本語でもお馴染みの「エビデンス」と「ファクト」は、英語に由来した外来語です。「証拠」や「事実」を意味し、ビジネス用語としてもよく使われます。

evidence

「証拠」を意味する英語として代表的なのが「evidence」です。

同じ意味の英語に「proof」がありますが、「evidence」は、「proof」に比べるとやや決定力に欠けた印象を与えます。決定的な証拠というよりは、証拠資料の中の1つという意味合いが強いです。

ビジネスでは、発言や提案の証拠、検証結果などを指す際に使われます。

Aさん
There’s no evidence that Tom is guilty.
訳)トムが有罪だという証拠は何もない。
Aさん
There was evidence that the records had been tampered with.
訳)その記録には、操作された形跡があった。

fact

fact」は、「(嘘・偽りに対して)実際にあったこと(もの)や、真実、現実」を意味します。ビジネス用語の「ファクト」も、事実に基づいているか、確証がとれているかを表す際に使われます。

Aさん
No one can deny the fact that smoking leads to cancer.
訳)喫煙はがんを誘発するという事実を、誰も否定できない。
Aさん
Mike wrote a novel based on fact last year.
訳)マイクは昨年、事実に基づいた小説を書いた。

「根拠」の言い換え英語

「根拠」の言い換え英語

「根拠」を意味する英語はたくさんあります。

一般的によく使われるのは「basis」や「reasoning」です。

他にも、「grounds」や「foundation」、「proof」などのさまざまな言い方があります。「何かをする、信じる理由」を指し、議論や法的な場面でよく使われます。

英語での言い換えは、「事由」や「理屈」、「基礎」といった「根拠」の類語をイメージすると覚えやすいでしょう。

basis

最も簡単で覚えやすい英語は「basis」です。

その考えの元になったのはどういうもの(こと)ですか?という意味で使われます。

Aさん
What is the basis of your argument?
訳)根拠はあるの?
Aさん
What is your basis for saying that?
訳)それを言った根拠は何?
Aさん
This is the point of view which sufficiently has a basis.
訳)これは十分根拠のある見方だ。

reasoning

物事の理由や原因を指して、会議や議論中、相手に理由を尋ねるときに使います。

Aさん
Do you have any reasoning?
訳)根拠はありますか?
Aさん
What is the reasoning behind what you are saying?
訳)君は何を根拠にそんな事を言っているの?
Aさん
Please tell me the reasoning behind why you think that.
訳)あなたがそう考えた根拠を教えて。

grounds

「reasoning」とほぼ同義で使われますが、「grounds」のほうがより英語慣れしているように聞こえます。

Aさん
What’s your grounds for saying so?
訳)君は何を根拠にそんな事を言っているの?
Aさん
On what grounds are you saying that?
訳)何の根拠があってそんなことを言っているの?

 

さらにカジュアルで簡単な言い方もあります。

Aさん
She’s actually masculine.
訳)彼女って、実は男らしいよ。
Bさん
On what grounds?
訳)何を根拠に?

foundation

基本的には創設や創建、基礎、土台、財団などの意味を持ちますが、根拠を尋ねるときにも使えます。

その主張の根底には何があるの?というニュアンスで覚えておくと分かりやすいでしょう。

Aさん
There is no foundation to your argument.
訳)あなたの主張には根拠がないよ。
Aさん
The foundation of your argument is weak.
訳)あなたの議論、根拠が弱いね。
Aさん
Your idea has no foundation at all.
訳)君の意見には全く根拠がないね。

proof

決定的なゆるぎない証拠や証明のことを意味します。5種類の言い換えの中で最も堅く決定力があり、強めの言い方です。

Aさん
Do you have any proof?
訳)根拠はあるの?
Aさん
That is a product with scientific proof.
訳)それは科学的根拠のある商品だよ。

 

話し始めで断りを入れる言い方も覚えておくと便利です。

Aさん
Not that there is any proof, but…
訳)根拠があるわけではないけど…

「根拠」を意味する英語表現

「根拠」を意味する英語表現

先に挙げた5種類の言い換えの他にも、「evidence」や「reason」、「rationale」など「根拠」を表す英語は多岐にわたります。

「根拠」を用いたよく使う英語表現を紹介します。

根拠がある

Aさん
There is reason to conclude that he is lying.
訳)彼が嘘をついていると断定できる根拠がある。
Aさん
These results were produced with good evidence.
訳)こうした結果になったのは、ちゃんとした根拠があってのことさ。
Aさん
Whether it’s well founded or not, let’s think about it later.
訳)十分な根拠があるかないかは、あとで考えよう。

 

根拠のない

Aさん
Is there no basis for that rumor?
訳)その噂には何の根拠もないの?
Aさん
The rumor was completely without foundation.
訳)その噂には全く根拠がないよ。

 

baseless」と「groundless」も一緒に覚えておくとよいでしょう。

Aさん
I don’t like Tanaka’s baseless confidence.
訳)私は田中の根拠のない自信が大嫌い。
Aさん
The groundless rumor caused me much trouble last year.
訳)根拠のない噂で、私は昨年とても悩まされた。

根拠に基づく

Aさん
I made a well-founded decision.
訳)私はしっかりと根拠に基づく意思決定をした。
Aさん
That hospital is famous for providing evidence-based treatment.
訳)あの病院は根拠に基づく治療を行っていることで有名だ。

根拠に乏しい

Aさん
This judgment has no grounds in remaining letters and records.
訳)残された書籍や記録から、このような判断をするのは根拠に乏しい。
Aさん
Diet articles in the past were also heavily advertised with little scientific basis.
訳)過去のダイエット記事には、科学的根拠に乏しい宣伝がたくさん載っていた。

まとめ

「根拠」を意味する英語5パターンと例文、役立つ表現を紹介しました。

英語で「根拠」は、「basis」「reasoning」「grounds」「foundation」「proof」といろいろな言い方があります。

他にも、evidence」「reason」「rationale」など、文脈と状況によって使い方はさまざまです。

英語を話すとき、日本人はどうしてもすぐに直訳して難しい文章を組み立てがちです。まずは短い例文から暗記し、覚えたら会話の中でどんどん使っていきましょう。

完璧を求めず、間違いも恐れずに。

Confidence without grounds is also important for speaking English!
(英会話には根拠のない自信も大切です!)