「あの会社は東京の会社だけど、大阪にもサテライトオフィスがあるんだよ。」
「空港をご利用の方は、サテライトターミナルから連絡通路を使ってお越しください。」
上述のように、「サテライト」という言葉を目にすることはありませんか?
「サテライト」は本来「衛星」を意味する言葉ですが、そこから派生して、特にビジネスシーンにおいて色んな意味で使われるようになりました。
そこでこの記事では、カタカナ英語やビジネスシーンで使われる「サテライト」の意味、そしてその元となっている英語の”satellite”の意味をそれぞれ紹介します。
サテライトの日本語の意味
日本で使われるカタカナの「サテライト」は、「サテライトオフィス」という言葉で使われることが多いです。
サテライトオフィスとは
「サテライトオフィス」とは、日本語にすると「支店」「支所」の意味で使われます。
「支店」であれば、例えば創業したときのお店や、最も売上を多く出しているお店など、お店の中心となる「本拠地」を「本店」とするのに対して、地方や本店の外の都市部に出店しているお店を「支店」と呼びますね。
「支所」であれば、お仕事の中心として拠点を置いている「本部」の他に、本部の仕事をサポートする第二第三の拠点を「支所」と呼びます。
中心となる「本店」や「本部」を支える、「支店」や「支所」を指して「サテライトオフィス」と呼ぶわけですね。
どうして「サテライトオフィス」と呼ぶの?
「支店」や「支部」のことをなぜ「サテライトオフィス」と呼ぶのでしょうか?
それは「サテライト」の元となる英語の”satellite”が、ある星を中心として回る「衛星」を意味しているからです。
例えば、私たちが住んでいる地球を含んだ、太陽を中心として回る衛星のことをまとめて「太陽系」と呼びますよね。
太陽を中心に回る、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星は、それぞれが「太陽の衛星」と言えるわけですね。
また太陽の衛星の一つである、私たちが住む「地球」も、「月」という衛星があります。
以上のように、ある星を中心に回る星のことを「衛星」と呼び、その「衛星」を英語で”satellite”(サテライト)と言うわけですね。
そして、「本店」や「本部」を中心に、周りを支える「支店」や「支部」を「衛星」のようにイメージして「サテライトオフィス」と呼ぶわけですね。
「サテライト」のビジネスシーンでの使われ方
上述した「サテライトオフィス」の他にも、ビジネスシーンで「サテライト」の言葉を「衛星」の他の意味で見かけることも多いです。
代表的なものを挙げてみましょう。
空港
空港では「〇〇サテライト」や「サテライトターミナル」の言葉で「サテライト」を目にすることがあります。
特に国際線が通っているような大きい空港は、航空機の離着陸や荷物の管理、飛行機への搭乗口などで、大変広く大きい場所を必要とします。
そこで、公共交通機関のターミナルや、飛行機に乗る搭乗ゲートを「別棟」として扱うわけです。
公共交通機関のターミナルや搭乗ゲートとして使われる「別棟」を、「〇〇サテライト」や「サテライトターミナル」と呼ぶわけですね。
大学
大学の学舎(キャンパス)にも「サテライトキャンパス」があります。
「サテライトキャンパス」とは、拠点となるメインのキャンパスの他に建っているキャンパスを指して使われます。
都心にある大学が地方にサテライトキャンパスを建てる場合もありますし、その逆で地方にある大学が中心街にサテライトキャンパスを建てる場合もありますね。
例えば、有名大学である早稲田大学は東京都の早稲田キャンパスだけでなく、埼玉県の所沢キャンパスや、福岡県の北九州キャンパスなど、東京都の外にもサテライトキャンパスを持っています。
早稲田大学の他にも、学部や学科でキャンパスが分けられている大学や、大学院をサテライトキャンパスで持っている大学もあります。
最近では学舎を建てずに、オフィスビルなどの部屋を借りてサテライトキャンパスにする大学もありますね。
病院
病院も「サテライト病院」という言葉で「サテライト」を使う場合があります。
上述した「サテライトオフィス」や「サテライトキャンパス」のように、大規模な病院が地方や都心などに小規模な病院やクリニックを出して「サテライト病院」とする場合が多いですね。(「サテライト病院」の他に、「〇〇医療センター」と呼ばれることもあります。)
サテライト病院は外来診療のニーズに応えるために建てられることが多いですが、入院患者さんのための病室を確保する役割もありますね。
英語のsatelliteはどんな意味?
前項でカタカナの「サテライト」の意味と使い方を紹介しました。
それでは、英語の”satellite”はどんな意味で使われるのでしょうか?
カタカナの「サテライト」と重なる”satellite”の意味
前述したカタカナの「サテライト」と、英語の”satellite”は同じ意味として使われる場合も多いです。
例えば、「サテライトオフィス」や「サテライトキャンパス」がそうですね。
【例文】
- The university has several satellite campuses in different cities to accommodate more students.
その大学には、より多くの学生を収容するために、別の都市にいくつかサテライトキャンパスがある。 - The company decided to open a satellite office in the suburbs to reduce the commute time for employees.
会社は従業員の通勤時間を減らすため、郊外にサテライトオフィスを開設することにした。
カタカナの「サテライト」と同じく、「本店や本部を中心に回る、衛星のようなイメージ」で”satellite”を使っています。
その他の”satellite”の意味と表現
「サテライトオフィス」や「サテライトキャンパス」の他にも、英語の”satellite”には色んな使われ方があります。
衛星
“satellite”は本来「衛星」の意味を持ちますから、そのまま天体の「衛星」の意味で使われます。
前項でお伝えした「太陽系」や「地球を中心に回る月」を”satellite”と呼ぶイメージです。
また、気象などを観測している「人工衛星」はそのまま”artificial satellite”(artificialが「人工」の意味)と呼びますが、artificialを省略してそのまま”satellite”と言う方が一般的です。
【例文】
- The satellite provides weather data that helps predict storms and other natural disasters.
衛星は嵐やその他の自然災害を予測するための気象データを提供している。 - The artificial satellite was launched into orbit to study the Earth’s atmosphere.
人工衛星が地球の大気を研究するために軌道に打ち上げられました。
都市を取りまく郊外
”satellite”は「都市を取りまく郊外」を意味して使われる場合もあります。
例えば、「雇用を求めて仕事を都市でこなしているけれど、プライベートでは自然を楽しむために郊外に暮らしている」ようなイメージですね。
日本語では「ベッドタウン」と呼ばれるようなイメージです。
この場合、「都市を取りまく郊外」は、経済的に都市の影響を受けていることが多いですから、都市を中心に回る「衛星」のようにイメージされるのでしょう。
【例文】
- The development of satellite towns has helped to alleviate the congestion in the city center.
周辺都市の開発は、市の中心部の混雑を緩和するのに役立ちます。 - The satellite town has its own shopping centers and parks, providing residents with all the necessary amenities.
その周辺都市にはショッピングセンターや公園があり、住民に必要なすべての設備を提供しています。
大国の周辺国
歴史や外交の話題では、「大国の周辺国」の意味で”satellite”が使われることもあります。
例えば、現在のロシアにあたる旧ソビエト連邦の影響を受けていた東ヨーロッパは、旧ソ連のサテライト国家と呼ばれることもありました。
上述した「サテライト都市(周辺都市)」と似たイメージで、旧ソ連との政治経済の繋がりから、「旧ソ連を中心に回る衛星国家」と呼んでいたわけですね。
【例文】
- During the Cold War, Eastern European countries were often considered Soviet satellites.
冷戦時代、東ヨーロッパの国々はしばしばソ連の衛星国と見なされていた。 - Despite being a satellite state, the country sought to assert more independence in its foreign policy.
衛星国であるにもかかわらず、その国は対外政策において、より独立性を主張しようとした。
まとめ
この記事では、ビジネスシーンで見かける「サテライト」の意味と、英語の”satellite”の意味をそれぞれ解説しました。
ここまでお読みのあなたは、ビジネスシーンで使われる「サテライト」と、英語の”satellite”の両方の意味を、それぞれ適切に使い分けることができるでしょう。
この記事でお伝えした内容が、あなたのお役に立てられれば幸いです。
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