”department”と聞いて、みなさんは何を想像しますか?
きっと多くの方が、百貨店の「デパート」をイメージしたのではないでしょうか。
高島屋や伊勢丹などいわゆる「デパート」は、”department store”の略で、一単語で”department”とは言いません。
”department”は、会社の部署名や大学の学部のことを指して使われるとても一般的な英語です。
今回は、「デパート」と間違いやすい英語”department”について、正しい意味と使い方に加え、類義語との違いも解説していきます。
”department”の意味
”department”とは、企業や大学での専門分野ごとに分けられた組織のことを指した名詞です。
辞書では以下のように定義されています。
a part of an organization such as a school, business, or government that deals with a particular area of study or work
学校、企業、政府などの組織の一部で、特定の研究分野や仕事分野を扱うもの
”particular area”(特定の分野)とあることから、大きな組織の中で細分化された特定の専門分野を指しているのが重要なポイントです。
学校、とりわけ大学における”department”は、それぞれの専攻分野を教育・研究するのに必要な組織「〇〇学部」や「〇〇学科」を意味します。
企業や法人団体における”department”は、特定の機能や業務、責任を持っている「〇〇部(部門)」や「〇〇課」と訳されます。
”department”はデパートではない
「デパート」は、”department store”(デパートメントストア)を省略した言葉です。
百貨店のような大型の商業施設が”department store”と呼ばれるようになったのは、多種多様な商品を異なる「部門」ごとにフロアを分けて販売する形態が理由といわれています。
食品から洋服、雑貨、家具、書籍まで、さまざまな商品を”department”に区切って販売している”store”だから、”department store”なのです。
以下の2つの例文を見てみると、その違いがよくわかるのではないでしょうか。
訳)ウォルマートは、この辺りで一番安いデパートです。
訳)ネクタイは5階の紳士服売り場にあります。
”department”の類義語
”department”は、「学部」や「学科」、「部」や「課」を意味する名詞ですが、英語では同じような意味を持つ単語がほかにもいろいろあります。
特に”division”や”major”は、”department”との違いがよくわからないと悩んでしまいがちな単語です。
”department”の類義語を、組織の大きさ順に表にまとめたので確認してみましょう。
企業 | 大学 | |
division (略:Div.) |
官庁や大企業の事業部、部門 | 大学全体の主要な区分 |
faculty | 該当なし | 大学の特定の学問分野や学部 (おもにイギリス英語で) |
department (略:Dept.) |
一般企業の部門、部署、課 | 特定の学問分野を細分化した学科または講座 |
section (略:Sec.) |
課、グループ | 特定のテーマで研究・教育活動する講座またはグループ |
major | 該当なし | 専攻する特定の学問分野・領域 (おもにアメリカ英語で) |
ビジネスでは、”department”、”division”、”section”が、「部」や「課」を表す代表的な単語です。
しかし、使い分けに厳密なルールはないため、非常に区別が難しく、国や官公庁、企業の規模によって異なります。
大学内の組織でいうと、一般的には、”division”が大学全体の大きな区分、”department”とイギリス英語の”faculty”が学部・学科を表します。
さらに細かい学問分野や専門講座などは、”section”や”major”で表現されます。
”department”を使った例文
企業の部・課、大学の学部・学科、行政の省・局など、さまざまな意味を持つ、”department”の使い方を例文で紹介します。
企業の「部」や「課」
訳)彼は、小さなソフトウェア会社で、営業部の責任者として勤務していました。
訳)このプロジェクトが失敗すれば、わたしたちの部署だけでなく、組織全体に影響が及びます。
訳)来週の水曜までに、旅費の請求書を経理部に提出しなければなりません。
訳)これらの店舗は、マーケティング活動や内部管理を容易にするため、別々の部門に編成されています。
”department head”や”department manager”は、「部長」や「部のトップ」を意味します。
訳)これらの決定は部長によって行われます。
大学の「学部」や「学科」
訳)大学の学部は、一般的に研究の質によって判断されます。
訳)美術学部と本科大学は別々の建物にあります。
訳)生物学部のメンバーは全員、積極的に研究に取り組んでいます。
訳)彼女は歯科部門で働いていますが、以前は大学の薬学部の講師でした。
まとめ
「デパート」と誤解しやすい英語”department”について、正しい意味と使い方に加え、類義語との違いを解説しました。
”department”は、企業や大学において専門分野で分けられた組織単位を指した名詞です。
大学における”department”は、専攻分野を教育・研究するのに必要な組織である学部や学科を、企業や法人団体における”department”は、特定の業務を行い責任を負う「部」や「課」を表します。
”department”と似たような意味の単語には、”division”や”section”、国によって違う”faculty”や”major”などがあります。
組織の規模や官公庁の種類などによっても言い方が異なるので、その場の状況や文脈から判断し、適切な単語を選んでいきましょう。
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