言語の違う人とコミュニケーションをとるときに気を付けたいのが「常識の違い」です。自分の文化の中での常識が、相手の文化では非常識になることもあります。いわゆる、カルチャーショックですね。
自分では普通に行動しているつもりでも、周りから白い目を向けられることもあります。そんなときには「あ、ごめん、日本ではこれが普通なんだけど…」と言えると少し誤解も解けるかも。
今回は、「常識」「当たり前」「当然」に関係した英語を勉強していきましょう。
「常識」を表す3つの言い方
常識には3種類あります。人間として生きていたら当たり前のこと、知識として知っていること、そしてマナーです。
common sense
学校などで習う「常識」はこのイディオムかですね。common は「共通の」、sense は「感覚」という意味があります。
common sense は、命綱なしでバンジージャンプをするのは危険だ、熱いやかんに触ったらやけどをする、など子どもに教えるような、人間としていたら当たり前に学習していく世界共通の「常識」です。
したがって、相手に気づかせるような場面で使うことが多いです。「常識で考えたらわかるでしょ?」というような場面ですね。
Hey, don’t leave knives there. Kids can reach here. It is common sense.
訳)ちょっと、こんなとこに包丁おきっぱなしにしないでよ。子供たちの手が届くじゃない。常識的に考えたらわかるでしょ?
common knowledge
knowledgeは「知識」という意味です。
common knowledge は「みんなが知っている情報」というパターンの常識で、学校で当たり前に習うことや、地域情報、広まっている噂にも使えます。
You don’t want to walk around that area by yourself, there are lots of crazy people.
訳)あそこのエリアは一人で歩かない方がいいよ、危ない人がいっぱいいるから。
common courtesy
最後はマナーについてです。社会人として、大人としてするべきマナーについて表す common courtesy です。courtesy は「礼儀作法」という意味があります。
ドアを開けてもらったらお礼を言ったり、間違ったらごめんなさいを言えたりするような、常識人としてのふるまいを表します。
It is common courtesy that when someone is having a conversation, you don’t interrupt.
訳)誰かが会話しているときに、邪魔をしないのは当たり前のことです。
日常会話で使いやすい「常識」「非常識」の言い方
英語をしばらく勉強しているとおなじみになってきますが、イディオムの他にも日常会話であればもっと言いやすいような言い方が「常識」にも存在するので確認していきましょう。
“We” / “Everyone” / “All” know(s)
「常識」をかみ砕いて考えると、「みんなが知っていること」なので、主語を大きくすればいいのです。
We all know that Japan will have a big disaster in some future again.
訳)日本で何かしらの大きな災害が繰り返し起こることはみんな理解している。
usually / naturally / generally / normally / typically
同じような感覚で、頻度を表す副詞や、普通を表す副詞も使うことができます。
Generally, we have a 15-minute coffee break when you work more than 4 hours.
訳)4時間以上働くときには15分のコーヒー休憩をはさむことが当たり前だ。
manner / etiquette
常識とマナーは非常に近い関係にありますね。したがって、文化的な常識を説明するときには manner や etiquette という単語もとても使いやすいです。
It is a manner not to stick chopsticks into foods.
訳)食べ物にお箸を刺さないのはマナーです。
rational / sensible
「彼は常識人だ」という表現が日本語にありますね。みんなを不快な思いにさせず、一般的なマナーや礼儀を理解して行動してくれる人のことです。
He is rational and we feel good having him around.
訳)彼は常識人なので、彼と一緒にいるのは心地がいい。
inappropriate / offensive
「非常識」も確認しておきましょう。常識が不足している、と言う意味で、lack of common sense と言うこともできなくはないですが、それこそ少し攻撃的で非常識に聞こえなくもないので、最後の最後まで取っておきましょう。
もっと一般的な表現を考えると、行動が不適切だ、という意味で inappropriate、非常識な人を見て気分を害したのであれば offensive あたりがよく聞く表現です。
Language! It was inappropriate.
訳)言葉に気をつけなさい。非常識ですよ。
What you just did is very offensive.
訳)あなたがしたことはとても不愉快です。
常識が通じなくてイライラする、ときはこんな表現はどうでしょう?
It is too hard to make him understand what is “normal”.
訳)彼に普通のことをわからせるのは無理っぽい。
海外の常識・非常識を知る
海外と言っても国や地域によってそれぞれの文化がありますから、その国に沿った基本的なマナーを勉強してください。
サクッと検索したり、YouTubeを見たりして、旅行に行く前に10分だけ時間を割いて基本的なマナーを勉強していきましょう。きっと現地に行っても気持ちよく観光や生活を楽しめますよ。
今回はアメリカの日本とは違う常識を少しご紹介します。
日本のような丁寧なサービスを一般的なお店で期待しない
日本のお店はアルバイトやパートでも、”プロフェッショナル”な仕事ぶりを求められます。アメリカの店員はプロフェッショナルではない、と言いたいわけではありません。プロフェッショナルのレベルが違うのです。
一般的に言って、日本の店員の迅速さ、丁寧さ、知識量の深さなどは桁違いです。例えば、日本で「新築の家」という大きな買い物をして、もしそこに1本のねじがないことに気づいたら、工務店に電話をすれば1本のねじのために急いで来て丁寧に謝罪し、修復してくれるでしょう。
しかし、アメリカでは、ねじの1本、多少のペンキ撥ねや剥がれ、ドアの立て付けなどの問題があっても、工務店に報告することはほとんどありません。自分で直すか、専門の業者に連絡します。もともとの期待値が違うんですね。
もちろん悪いことばかりではなく、上下の関係がないからこそ、お互いに改善の提案がしやすかったり、できないことは「できない」と言いやすい環境ではあります。
屋内と屋外の境界があいまい
「玄関で靴を脱ぐ」ことは日本人にとっては当たり前ですね。常識です。でも、アメリカでは各家庭によってそれぞれですし、靴を脱いだとしても、屋内と屋外の感覚に明確なボーダーラインははっきりしていません。
日本では玄関で靴を脱ぐことを勉強してきてくれたアメリカ人でも、靴を玄関で脱いだ後、その場で足を下ろし、玄関エリアをそのまま歩いて部屋に上がってくることもよくあります。
日本人の感覚ではそれを見ると頭を掻きむしりたくなるのですが、なかなかこれをわかってもらうのは難しいようなので、一種のゲームとして靴を脱いだらジャンプしてね!と言ってみるのもいいかもしれません。
Ok, when you come in my house, we have “genkan area”.
訳)いい?私の家に入ったら、「玄関」っていうエリアがあるの。
OK, I learned it from internet, we should take off our shoes there!
訳)あ、それインターネットで勉強してきた!そこで靴を脱ぐんだよね。
Correct! Plus, when you take your shoes off, you don’t want to step on the genkan area anymore and jump to the room area!
訳)正解!それにプラスして、靴を脱いだら、それ以上玄関には足をつけずに部屋までジャンプしてきてね。
OK…?
訳)なるほど?
You can think it is a game. I’ll show you first, no worries, it is our house rule.
訳)ゲームみたいなものよ。最初に私がやって見せるから大丈夫、心配しないで。おうちのルールなの。
お互いが気持ちよく交流するためには、事前にしっかり説明しておくことが重要です!
正直に話し合ってみることが大切
日本では周りと同じように行動することが暗黙の了解で求められているので、それと変わった行動をすると少し浮いてしまうことがよくありますね。
海外のお友達を連れて日本を旅行するときは、事前に日本のマナーを教えてあげたり、周りの日本人にそのお友達の国の事情を教えてあげたりして、橋渡しになってあげましょう。
もちろん、「郷に入っては郷に従え」がいつも通じるわけではありませんが、お互いの文化を尊重する気持ちをベースに持っているといいですよね。