ハワイと聞けば、美しいビーチやリゾート地を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、アメリカ合衆国の世界遺産の中でも特に有名な存在として知られるのが、ハワイ火山国立公園(Hawai’i Volcanoes National Park)です。ここでは、地球の鼓動を肌で感じるような、ダイナミックな自然の営みを体験することができます。この記事ではハワイ火山国立公園の魅力について英語を交えて解説します。

ハワイ火山国立公園とは?

ハワイ火山国立公園は、ハワイ島(ビッグアイランド)に位置し、1987年にユネスコの世界遺産に登録されました。公園の面積は約1,309平方キロメートルにも及び、二つの活火山、キラウエア火山とマウナ・ロア火山を含んでいます。
この国立公園は、地質学的・生態学的・文化的な観点からも極めて重要で、地球の形成過程をリアルタイムで観察できる数少ない場所です。

キラウエア火山の見どころ:歩いて巡る神話と火の大地

キラウエア火山の見どころ:歩いて巡る神話と火の大地

ハワイ火山国立公園の中心的存在であるキラウエア火山には、地質学的にも文化的にも魅力的な見どころが点在しています。訪れることで、自然の息吹とハワイの神話に触れることができます。

1. キラウエア・ビジター・センターと火山芸術センター

公園の入り口にあるビジター・センターは、観光の出発点として最適です。ここでは地元のスタッフが火山活動や安全情報を提供しており、展示パネルで基礎知識を学べます。すぐそばには火山芸術センター(Volcano Art Center)があり、キラウエア火山をモチーフにした絵画、写真、陶器、木工芸品などが展示・販売されています。自然舞台では、ハワイの伝統舞踊・フラの実演も楽しめます。

2. クレーター・リム・ドライブ:火山の歴史と絶景の宝庫

キラウエア火山をぐるりと囲むように走るクレーター・リム・ドライブは、数々の観光スポットが集中するルートです。

  • 蒸気の噴気孔(スチームベント):地下の熱で温められた水蒸気が噴き出す様子を間近に観察できます。
  • キラウエア米軍キャンプ:第二次世界大戦中、日系アメリカ人リーダーが収容された歴史があり、説明板で当時の背景を学べます。
  • ジャガー博物館(Thomas A. Jaggar Museum):火山活動やハワイ神話、女神ペレの物語を詳しく紹介。隣接する展望台(Overlook)からは、ハレマウマウ火口の噴煙を眺めることができます。
  • ボルケーノ・ハウス(Volcano House):宿泊・レストラン施設。夜はレストランからハレマウマウ火口の赤い輝きを見ながらディナーを楽しむことができます。

3. キラウエアイキ火口とサーストン溶岩洞

クレーター・リム・ドライブ東側では、以下の見どころが広がります。

  • キラウエアイキ火口:1959年の大噴火で形成された巨大な火口。展望ポイントから火口底までトレッキングコースが整備されており、溶岩の上を歩く貴重な体験ができます。
  • サーストン溶岩洞(Thurston Lava Tube):周囲に熱帯植物が生い茂る階段を下りると、溶岩のトンネル内部を散策できます。自然が創り出した不思議な造形美に驚かされることでしょう。

4. チェーン・オブ・クレーターズ・ロード:火山地形の博物館

キラウエアイキ火口の南側からは、チェーン・オブ・クレーターズ・ロードが太平洋へと続いています。このルートは約20マイル(32km)あり、かつての火口や溶岩原を間近に見ながらドライブできます。

マウナ・ウル火口やプウ・オオ火口周辺には、ナパウ火口トレイルが伸びており、火山活動の現場を歩いて体感できます。

  • プウ・ロア・ペトログリフ:古代ハワイ人が溶岩の岩面に刻んだ神聖な岩絵。生と祈りの痕跡が今も残っています。
  • ホレイ・シーアーチ:溶岩が海と接して削られた結果できた自然の海食アーチ。チェーン・オブ・クレーターズ・ロードの終点です。

マウナ・ロア火山:世界最大級のたて状火山

ハワイ火山国立公園にはもう一つの巨大火山、マウナ・ロア火山があります。マウナ・ロアは、地球上でもっとも体積の大きな火山として知られており、その雄大なスケールは圧巻です。
標高4,169m、海底からの高さを含めると実質的にはエベレストを超える世界最高峰の山ともいわれています。この火山もまた活火山で、過去に幾度も大噴火を起こし、ハワイ島の地形を大きく変えてきました。

マウナ・ロア火山の見どころ:地球最大の山を体感する冒険

マウナ・ロア(Mauna Loa)は、ハワイ島の40%以上を占める広大な楯状火山で、その体積は地球上で最大級。標高は4,169m、海底からの高さで測ればエベレストをもしのぐ約10,000mに達します。その壮大なスケールを体感できる見どころを紹介します。

1. マウナ・ロア・ルックアウト(Mauna Loa Lookout)

標高約2,000m地点にある展望ポイント。ここまではヒリナ・パリ・ロード(Hilina Pali Road)を経てアクセスでき、マウナ・ロアの山腹から大地を見渡す大パノラマの絶景が楽しめます。

2. マウナ・ロア・オブザバトリー・ロード(Mauna Loa Observatory Road)

気象観測所(Mauna Loa Observatory)へ続く道で、一般車でのアクセスには注意が必要ですが、ここからは火山の斜面の広がりや溶岩流の痕跡を間近に感じられます。標高が上がるにつれ、森林から火山岩の荒野へと景観が変化し、まるで別世界のようです。

3. マウナ・ロア・トレイル(Mauna Loa Trail)

ハワイ島屈指の冒険コースで、全長約60km。標高2,000m以上の長距離トレッキングを通じて、火山の構造と地質を全身で体験できます。途中には山小屋(キャビン)もあり、数日に分けて歩くことも可能です。
高山病や気候変動に注意が必要なため、装備や計画をしっかりと立てた上での挑戦が必要です。

4. 夜空と天文観測の聖地

標高の高さと大気の透明度から、マウナ・ロアは世界有数の天体観測地でもあります。周囲に人工の灯りがないため、夜には満天の星空が広がり、天の川や流星群もくっきりと見えることがあります。天文ファンにとっては聖地とも言える場所です。

ハワイ火山国立公園の歴史を英語で解説

ハワイ火山国立公園の歴史を英語で解説

History and Protection(歴史と保護指定)

1916: Hawaii Volcanoes National Park was created, along with the Haleakalā area (on Maui island).
(1916年:ハレアカラ山域(マウイ島)と共に、ハワイ火山国立公園が指定されました。)

1961: The Haleakalā area became a separate park called Haleakalā National Park.
(1961年:ハレアカラ山域は分離され、ハレアカラ国立公園として独立しました。)

1980: Hawaii Volcanoes National Park, together with Haleakalā National Park, was made part of UNESCO’s “Hawaiian Islands Biosphere Reserve.”
(1980年:ハワイ火山国立公園は、ハレアカラ国立公園と共に、ユネスコの「ハワイ諸島生物圏保護区」に指定されました。)

1987: It became a UNESCO World Heritage Site (for its natural features).
(1987年:ユネスコの世界遺産自然遺産に登録されました。)

参考:Wikipedia

まとめ:大地の鼓動を感じる場所

この場所は自然の神秘と文化的背景が融合する、唯一無二の観光地です。ハワイを訪れる際は、ビーチリゾートだけでなく、地球の伊吹を感じられる火山散策も行ってみてはどうでしょうか?