「命令」を英語で言うと真っ先に思い浮かぶのは「order(オーダー)」かと思います。

ビジネスシーンでは上司からの「命令」で仕事が動いたり、学校でも先生から「~しなさい」という命令口調で会話がされることもあります。

こうした「命令」は、英会話では「order(オーダー)」以外にも色んな言い方で表現されます。この記事を読むと、”order”だけではない「命令する」を意味にする英語表現が学べます。その単語について聞いたことがあったけれど、使い方がよく分かっていなかった単語も含まれるのではないでしょうか。

この記事では、そんな「命令」を表す英語表現を例文付きで紹介し、また「~しなさい」、「~するな」という命令口調を英語で表現する方法を紹介します。

「命令する」を意味する英語表現まとめ

「命令する」を意味する英語表現まとめ

「命令する」を英語で表すには、主に以下の英語表現が使えます。

order

「命令する」の英訳として真っ先に思い浮かぶのが「order(オーダー)」です。

日本でもカタカナ英語で「料理をオーダーする」や「サンプルをオーダーする」といった感じで使われるのを耳にしたことがあるのではないでしょうか?

動詞の”order”には2つの意味があります。

”order”の1つめの意味は、料理の「オーダー」やサンプルの「オーダー」は、日本語では少し丁寧に「お願いする」のニュアンスで、「注文する」と訳されます。この場合は”request”に近い意味で使われます。

Aさん
Can I take an order now?
訳)注文を取ってもいいですか。

Bさん
Yes. I’ll have the cream sauce pasta.
訳)はい。クリームソースパスタを頂きます。

”order”のもう1つの意味は、「命令する」のニュアンスで使われます。

「order(オーダー)」は中学校レベルの基本的な英単語ではありますが、初心者から初中級者の段階では英会話などでとっさに出てこないことも多いので、しっかり覚えておきたいですね。

例文

I ordered them to leave the room.
私は彼らに部屋を出るように命じた。

It’s not a request. It’s an order.
これは要請ではない、命令だ。

The boss ordered his men to follow his advice.
その上司は彼の部下に彼のアドバイスに従うように命令した、

direct

「direct(ディレクト、ダイレクト)」も「命令する」を意味する英語表現です。

テレビ番組を作る会社に「ディレクター」と呼ばれる役職の方がいます。

ディレクターはテレビ番組の企画を面白く成立させるために、演者さんや照明さん、音声さんなどに様々な「指示」を出しますよね。

「指示」することは、「命令」とも言い換えることができ、結果「direct(ディレクト、ダイレクト)」が「命令する」の意味で使われるわけです。

例文

He directed the children to do their homework
彼は、宿題するよう子供に指示した(命じた)。

There’s an order directing us to go back to the country immediately.
「ただちに帰還せよ」との命令が私たちに出ている。

The supervisor will direct you on how to complete the task.
監督者は、あなたにそのタスクの完了方法に関して指示するだろう。

2つめの例文では、”an order directing us to …” となっており、「私たちに…することを命じる命令」となっています。

direct(ディレクト、ダイレクト)は、direction(ディレクション、ダイレクション)から来ていて、「方向」や「指し示す」といったニュアンスを持っています。

「方向、指し示すこと」が転じて、「誰かに行くべき方向を指し示す→指示する→命令する」のイメージで、「命令する」の意味でも使われるわけです。

command

「command(コマンド)」も「命令する」を意味する英語表現です。

プログラミングに詳しい方は馴染みがあるでしょう。「コマンドを入力する」というのは、コンピューターに対しての「命令」を入力しているわけです。

また、テレビゲームをプレイしたことがある方も、「たたかうコマンド」や「にげるコマンド」、「アイテムコマンド」などの表示に見覚えがあるのではないでしょうか。

テレビゲームのプレイヤーである私たちが「たたかうコマンド」を選べば、キャラクターは戦ってくれますし、「にげるコマンド」を選べば、キャラクターは逃げ出して戦いを回避してくれます。

つまり、私たちゲームプレイヤーが、「キャラクターにコマンド(命令)している」と言えるわけですね。

例文

He commanded me to shut the gate.
彼は私に「門を閉じろ」と命令した。

The troops commanded the local people to follow their orders.
兵士達は地元の人達に彼らの命令に従うように命令した。

command(コマンド)の持つ「命令する」には、「指揮官が兵士に対して命令を下す」というニュアンスがあります。

“command”は、「権威」”authority”を持って誰かに命令する場合によく使われる語です。

The police commanded the driver to pull over the speeding car.
警察はその運転手にスピード違反の車を脇に寄せて止めるように命令した。

日本で例えると、戦国時代の戦いで、旗を持った将軍のことを英語では「commander(コマンダー)」と呼び、兵士たちに「進め」や「戦え」といった感じで「指揮をしている=命令を下している」イメージです。”command”は「権威」を持っている人が、部下などに命令を下す場合に使われます。

こうしたニュアンスを含んでいることから、command(コマンド)の意味する「命令」には、「強制力の高い命令」をイメージさせる意味を持っているといえます。

mandate

次に少しだけ難易度高めの英単語「mandate(マンデイト)」が表す「命令する」の表現を紹介します。

mandate(マンデイト)は「義務」を意味する「mandatory(マンダトリー)」から来ていて、「人に何かを義務づける=命令する」というイメージで使われます。

order(オーダー)やdirect(ディレクト、ダイレクト)ほど普段使いはしませんが、オフィシャルな言葉遣いが好まれる書き言葉での表現、特に新聞記事やビジネス書類で使われ、日本で最も有力な英語試験の1つであるTOEICでも頻出表現として使われるので、覚えておいて損のない表現ですよ。

例文

How is this sales mandate being enforced?
この販売命令はどのように実施されるんですか?

The international treaty mandates the elimination of certain types of weapons.
国際条約は、ある種の兵器の廃絶を義務づけています。

The policy mandates that all employees must attend annual training sessions.
その方針は、全従業員が年1回のトレーニングに参加することを義務づけています。

上記の2番目と3番目の例にあるように、”mandate”は「義務づける」という意味で使われることが多いです。

 

instruct

最後に紹介する “instruct”は、「指示する」「指導する」というニュアンスですが、「命令する」に近い意味で使われます。例文を見ていきましょう。

例文

The teacher will instruct the students on how to complete the experiment.
教師は生徒に実験のやり方を指示するだろう。

The coach will instruct the players on the new strategy.
そのコーチはプレーヤーに新しい戦略に関して指示するだろう。

The manual will instruct you on how to assemble the furniture.
その説明書には家具の組み立て方をあなたに指導するだろう。

「命令文」を使って英語で命令を出す

「命令文」を使って英語で命令を出す

「命令」や「命令する」を英語で言う以外にも、「命令文」と呼ばれる構文を使って、命令を英語で出すことができます。

命令文は日本語で言う「〇〇をしてください」「〇〇をしなさい」「〇〇をしろ」といった言い方のことです。

英語で命令文を使うときは、主語を省略して動詞から英語をスタートさせることで表現できます。

例文

  1. Be quiet!
    静かに!

  2. Send the completed form by the end of this week as an attachment to an email.
    今週末までに記入した書類を、メールに添付して送りなさい。

  3. Fill in that form without skipping any mandatory fields.

    必須項目を飛ばさずに、そのフォームに記入しなさい。

1.の例文 “Be quiet!” は、Be動詞の原形であるBeが文頭に来ていますよね。

本当は静かにしてほしい相手、例えば「あなた」に静かにしてほしい場合は、”You are quiet.”(あなたは静かだ。)の主語である “You”を省略して、動詞である “are”を原形に直して “Be quiet!”=「(あなたは)静かにしろ」と言っているわけですね。

2.の例文も、文章の骨格は “Send the form.”です。書類を送って欲しい相手が「あなた」だとしたら、 “(You) send the form.”=あなたは書類を送ります。の「You」を省略して、「書類を送りなさい」になっていますよね。

3.  の例文では、先ほど紹介した”mandatory”を含む表現 ”mandatory fields”「必須項目」が入っており、フォームに記入を促す場合によく使われる表現です。

このように、「主語を省略して動詞を強調する」ことで、「〜しなさい」という命令の表現ができるというわけです。

【補足】

命令文は意外なところにも使われていて、別れの挨拶である “Have a nice day.”も実は命令文で表現されていることがわかります。

“(You) have a nice day.”=「あなたは良い日を送ります。」の主語が省略されて、”Have a nice day.=良い日を送ってくださいね。」を表現しているわけです。

直訳すれば「良い日を送れ!」という強めの文章になってしまいますが、定型表現として「良い日を送ってね」くらいのニュアンスで使われています。

「~するな」という禁止の命令文

「~しろ」という命令文の作り方を紹介しましたが、「~するな」という禁止の命令文を作る場合には、”Don’t …” という表現を使います。”Don’t” の後には常に動詞の原形が来ます。

例文を見てみましょう。

  1. Don’t be late for the meeting tomorrow.
    明日のミーティングに遅れるな。

  2. Don’t worry about what others think.
    他人が考えることを心配するな。

  3. Don’t make promises you can’t keep.
    守れない約束をするな。

まとめ

この記事では、「命令する」を表す英語表現を例文付きで紹介し、また「~しなさい」や「~するな」という命令口調を英語で表現する方法を紹介しました。

「命令する」に使える英語表現はいくつかあって、本記事では、一般的な「命令する」の英語表現や「義務づける」などの意味を持つ表現などについて紹介しました。例文もたくさん紹介していますので、その表現の使い方について、ご理解いただけたのではないでしょうか。

ここまでお読みのあなたは、実際の英会話で外国人が使うさまざまな「命令」についての表現を聞き逃すことがグッと減っていて、なおかつあなた自身も適切に使えるようになっているでしょう。

この記事でお伝えした内容が、あなたの英語表現をより豊かにできれば幸いです。