ヨーロッパには歴史の長い街が数多くありますが、1000年以上にわたり繁栄を続けてきた「千年の都」はそれほど多くありません。チェコ共和国の首都プラハは、その中でも特別な存在です。

「プラハ歴史地区(Historic Centre of Prague)」は、街の中心部全体が世界遺産になっています。

中世ヨーロッパの美しい建物が今もなお残るプラハは、まさに「中世建築の宝石箱(a jewel box of medieval architecture)」。今回は、この魅力あふれる街を英語のフレーズとともにご紹介します。

プラハ歴史地区とは

プラハ歴史地区とは

チェコは中央ヨーロッパの中心に位置し、ドイツ、オーストリア、スロバキア、ポーランドと国境を接しています。長い歴史の中で、さまざまな文化が交差し融合した結果、プラハは独自の発展を遂げてきました。

「プラハ歴史地区」として登録されているのは、ヴルタヴァ川の東岸に広がる旧市街から新市街、ユダヤ人地区、カレル橋を渡った西岸のマラー・ストラナやフラッチャニ地区にまで及び、総面積は約866haに及びます。

Wikipedia

建物の博物館のような街

プラハを歩いていると、まるで建築の博物館を歩いているような気分になります。ロマネスク様式から、ゴシック、ルネサンス、バロック、アールヌーヴォー、アールデコまで、多様な様式の建物が見事に調和しています。

Aさん
It’s like an open-air museum of architecture.
訳)まるで建築の野外博物館のようです。

ボヘミアングラスとストリートアート

チェコといえば「ボヘミアングラス(Bohemian glass)」。街のあちこちで美しいガラス工芸品が売られており、お土産にも人気です。また、プラハでは大道芸人や人形劇「マリオネット(marionette)」のパフォーマンスにも出会えます。

プラハの歴史をたどる

プラハの歴史は6世紀後半にさかのぼります。スラヴ民族がヴルタヴァ川のほとりに定住し、やがて大きな都市へと発展しました。

14世紀には神聖ローマ皇帝カール4世によって、プラハは神聖ローマ帝国の首都にまでなりました。中世のプラハは「黄金のプラハ(Golden Prague)」と呼ばれ政治、学問、芸術の中心地として栄えました。

その後も、宗教改革や三十年戦争、ハプスブルク家の支配、ナチス・ドイツによる占領、社会主義体制、そして「プラハの春」など、激動の歴史を歩んできました。

1993年にはチェコとスロヴァキアが平和的に分離し、現在のチェコ共和国が誕生

覚えておきたい英語フレーズ

覚えておきたい英語フレーズ

歴史や観光を英語で伝えたい時に使える便利な表現をいくつかご紹介します。

Aさん
Prague is one of the most beautiful cities in the world.
訳)プラハは世界で最も美しい都市のひとつです。
Aさん
Prague has over a thousand years of history.
訳)プラハは1000年以上の歴史があります。
Aさん
The Old Town looks like a fairytale.
訳)旧市街はまるでおとぎ話のようです。
Aさん
Let’s take a walk across the Charles Bridge.
訳)カレル橋を渡ってみましょう。

世界遺産としての価値とは?

プラハ歴史地区の正式名称は以下のようになります。

Historic Centre of Prague

プラハ歴史地区

登録年は?

Aさん
Historic Centre of Prague was designated as a UNESCO World Heritage Site in 1992.
訳)プラハ歴史地区は、1992年にユネスコの世界遺産に登録されました。

登録理由は?

プラハ歴史地区が世界遺産に登録された理由は、以下のような点です。

  • 14世紀以降、中央ヨーロッパの政治、経済、社会、文化の発展において重要な役割を果たし、中央・東ヨーロッパの多くの都市開発における建築や芸術の主要なモデルとなったこと
  • プラハは、個々の記念建造物としても都市景観としても優れた都市建築の集合体であること
  • プラハは、中世における中央ヨーロッパのキリスト教の中心であり、カレル大学によって学問の中心地としての評価を保ち、モーツァルトやフランツ・カフカといった世界的に有名な人物と深く結びついていること

UNESCO World Heritage Convention:Historic Centre of Prague

観光で訪れたい!構成資産をめぐる旅

観光で訪れたい!構成資産をめぐる旅
プラハ歴史地区は、多くの見どころが点在しています。建物や広場、橋を紹介します。

プラハ城(Prague Castle)

「世界最大の城」としてギネスブックにも記録されました。14世紀、神聖ローマ皇帝カール4世(カレル1世)によって整備され、政治と文化の中心となりました。

お城の中にある聖ヴィート大聖堂は必見です。「アマデウス」などの映画の舞台にもなりました。

聖ヴィート大聖堂(St. Vitus Cathedral)

プラハ城の中核をなす大聖堂で、ゴシック様式の傑作です。何世紀にもわたって建設が続けられ、ついには1929年に完成。

内部には、ミュシャ(Alfons Mucha)による鮮やかなステンドグラス「聖キリルと聖メトディウス」があり、思わず息を呑む美しさです。

カレル橋(Charles Bridge)

ヴルタヴァ(モルダウ)川に架かる石橋で、14世紀に建設が始まりました。両端に防衛塔があり、橋の上には30体もの聖人像が並んでいます。ここはフォトスポットとしても人気で、朝日や夕日に照らされる橋は幻想的です。

旧市庁舎と天文時計(Old Town Hall and Astronomical Clock)

旧市街広場にあるゴシック様式の建物。中でも有名なのは、1490年に完成した天文時計(オルロイ)です。毎正時になると、使徒の人形が時計から現れる仕掛けに、観光客からは歓声があがります。

ストラホフ修道院(Strahov Monastery)

静かで落ち着いた雰囲気の修道院には、「哲学の間」「神学の間」と呼ばれる壮麗な図書館があります。天井画や装飾があまりに美しく、「ヨーロッパで最も美しい図書館のひとつ」と称されるのも納得です。

ティーンの聖母教会(Church of Our Lady before Týn)

旧市街広場にそびえるゴシック建築の傑作です。

国民劇場(National Theatre)

チェコ語の文化を守るために建てられた、ネオ・ルネサンス様式の壮麗な劇場

ロブコヴィッツ宮殿(Lobkowicz Palace)

優雅な宮殿で開かれるクラシック音楽のコンサートは、旅のハイライトになることでしょう。

旧市街広場(Old Town Square)

建築の様式美が集まるエリアで、レストランやカフェで一休みしながら歴史に浸れます。

ミュシャ美術館(Mucha Museum)

アールヌーヴォーの巨匠、アルフォンス・ミュシャの作品が堪能できる美術館です。

まとめ:英語で広がる世界遺産の旅

歴史、建築、文化、芸術。そのすべてが詰まった「プラハ歴史地区」は、まさに中世の宝石箱のような街です。英語で旅をすれば、現地での体験や学びもさらに深まります。

ぜひ、プラハ歴史地区に足を運んで感動の体験をしてみてください。

Aさん
Traveling through Prague is like walking through history.
訳)プラハを旅することは、歴史の中を歩くような体験です。