アラブ首長国連邦(UAE)といえば、ドバイの高層ビル群や豪華なリゾートが思い浮かぶかもしれませんが、この国にも世界遺産があります。それが、UAE東部に位置するアル・アインとその周辺に点在する「アル・アインの文化的遺跡群(Cultural Sites of Al Ain)」です。
本記事では、アル・アインの文化的遺跡群の歴史や見どころを英語を交えながら紹介します。
アル・アインの文化的遺跡群とは?

2025年6月現在、UAEで唯一のユネスコ世界遺産であり、計17件の遺跡が含まれています。
訳)このオアシス都市には5000年の歴史が詰まっているんです。
アル・アインとは?
アル・アインはUAEの東部、オマーンとの国境近くにある都市で、アブダビ首長国の第2の都市としても知られています。“Al Ain” はアラビア語で「泉」を意味し、砂漠に湧き出るオアシスの存在を象徴しています。
広大な砂漠に囲まれたこの地では珍しく温泉が湧き出ます。また、ナツメヤシが茂る緑のオアシスや伝統的なラクダ市などが今も残っており、UAEの文化的な原風景が体感できる場所です。
特に「グリーン・ムバザラ公園」には足湯もできる天然温泉が湧き出しており、観光客にも人気です。
また、「アル・アイン」という名前は市販のミネラルウォーターにも使われており、水の豊富なイメージが強い場所でもあります。
訳)アル・アインは、砂漠のオアシスと言える街です。
狩猟から農業への移り変わり
アル・アインの遺跡群では、人類が狩猟採集から農耕社会へと移行していった歴史を読み取ることができます。石器から鉄器への道具の進化や、灌漑技術の発展など、人類の暮らしの変化がこの地に刻まれているのです。
注目すべきは、紀元前2500年頃の石造りの円形墓や、日干し煉瓦で作られた建造物、そして古代の灌漑施設。アル・アイン・オアシスでは、ファラジ(Falaj)と呼ばれる地下水路が発見されており、これは世界最古級の灌漑システムとされています。
アクセス
日本からアル・アインへ行くには、まずドバイ国際空港まで飛行機で約9時間。その後は現地のツアーや車で約1時間半〜2時間ほどでアル・アインに到着します。日帰りツアーでも訪れることが可能で、観光地としても整備されています。
アル・アインの歴史
アル・アインの人類活動の痕跡は、紀元前5000年頃にまで遡ります。これは、メソポタミアのウルク期(紀元前4000年頃)よりも古く、当初はメソポタミア文明との接点はあまりありませんでした。
しかし、ハフィート期(紀元前3200〜2600年頃)に入ると状況は一変。副葬品としてメソポタミア製の土器が出土し、交流の証拠が見つかるようになります。
その後、この地域はウンム・アン=ナール文化(紀元前2800〜前2000年)を迎え、特にアブダビのウンム・アン=ナール島を中心に都市文明が栄えました。アル・アインはこの文化の一部として、交易と農耕の中継地として繁栄しました。
世界遺産としての価値
「アル・アインの文化的遺跡群」(ハフィート、ヒーリー、ビダー・ビント・サウドとオアシス群):Cultural Sites of Al Ain (Hafit, Hili, Bidaa Bint Saud and Oases Areas)は、2011年にユネスコ世界遺産に登録されました。
登録理由は?
次のような理由で世界的に評価されました。
- 人類の農耕・定住の歴史を示す貴重な証拠
- 砂漠地帯における灌漑技術と水利用の知恵
- メソポタミアなどとの交流を示す考古遺物
こうした文化的・技術的遺産が、過酷な自然環境の中でどのように維持されてきたかを知ることで、人類の創造性と適応力を実感できます。
訳)これらの遺跡は、人類が砂漠に適応してきた歴史を語ってくれます。
覚えておきたい英会話フレーズ
旅先で使える英語表現を覚えておくと、現地での体験がさらに楽しくなります。
訳)本当に4000年前に人が住んでいたの?
訳)はい、この場所は青銅器時代から人が住んでいました。
訳)昔の人たちはどうやって砂漠で生きていたの?
訳)地下水路を使って持続可能な農業システムを築いたんだ。
訳)この場所も世界遺産の一部なの?
訳)はい、アル・アインにある17の文化遺産のひとつです。
主な構成資産を紹介

アル・アインの文化的遺跡群の主な見どころを紹介します。
ハフィート遺跡群
ハフィート山は標高1,240メートルで、UAEの中でも珍しい山岳地帯です。この山の周辺で発見された石積みの墳墓群は、アラビア半島最古の石造建築とされ、ハフィート期の名の由来にもなっています。
訳)この蜂の巣型の墓は4000年以上前のものなんですよ。
ヒーリー遺跡群
ヒーリー考古学公園を中心とするこの遺跡群は、青銅器時代初期から鉄器時代末期(紀元前3000年〜前300年頃)までの長い期間にわたる文化の痕跡をとどめています。
ビダー・ビンド・サウド
1995年に発掘されたこの青銅器時代の集落跡では、4000年以上前の遺物が見つかっており、現在は整備されて緑あふれる庭園や噴水が市民の憩いの場にもなっています。
オアシス群
アル・アイン・オアシスをはじめ、複数のオアシスでは古代から続く灌漑システム「ファラジ」が使われていました。これにより、厳しい砂漠の中でも農耕が可能となり、都市が発展していったのです。
訳)このオアシスは何千年もの間、人々の命を支えてきました。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
アル・アインは、近代的なUAEとはまた違った、深い歴史と自然、文化が融合した特別な場所です。英語で世界遺産を旅することで、ガイドとの会話が広がったり、海外からの旅行者とも交流が生まれたりと、旅の楽しさが何倍にも広がります。
訳)英語を使って旅すれば、歴史とも人ともつながれますよ。
これからも、楽しく英語を学んでいってくださいね!
