ニュースや職場の話題で頻繁に使われる「ハラスメント」という言葉。

「嫌がらせのこと?」「どこからがハラスメント?」「パワハラと同じ意味?」など、なんとなく分かっているようで、正確に説明するのは意外と難しい言葉です。

特に職場では、「指導との違いが分からない」「精神的苦痛ってどこまで?」と判断に迷う場面も少なくありません。

言葉の意味をあいまいなまま使っていると、無意識のうちに加害側・被害側のどちらにもなってしまう可能性があります。

この記事では、「ハラスメント(harassment)」の基本的な意味を整理したうえで、パワハラなどの主な種類や、職場で問題になりやすいポイントまでをわかりやすく解説します。

読み終える頃には、「ハラスメント」という言葉を文脈に応じて正しく理解できるようになるはずです。

それでは、さっそく確認していきましょう!

ハラスメントとは?

ハラスメントとは?

ハラスメント(harassment)とは、相手に対して不快感や苦痛を与える言動や行為を指す言葉です。

英語の “harass”(悩ませる・困らせる・しつこく攻撃する)が語源で、「嫌がらせ」「迷惑行為」といった意味を持ちます。

重要なのは、行為そのものよりも「相手がどう受け取ったか」 が重視される点です。

本人に悪意がなかったとしても、相手が精神的・身体的な苦痛を感じれば、ハラスメントに該当する可能性があります。

Aさん

What does “harassment” actually mean?

ハラスメントって、結局どういう意味?

Bさん

It refers to behavior that causes discomfort or distress to others.

相手に不快感や苦痛を与える行為のことだよ。

英語の harassment の意味とニュアンス

英語の harassment は、「繰り返し相手を悩ませること」「執拗に精神的な圧力をかけること」というニュアンスを含みます。

一度きりの出来事よりも、継続性・しつこさが意識される点が特徴です。日本語では「嫌がらせ」と一言で訳されがちですが、実際には「精神的に追い込む」「尊厳を傷つける」という要素を強く含んでいます。

harassment

the act of annoying or worrying somebody by putting pressure on them or saying or doing unpleasant things to them

相手に圧力をかけたり、不快なことを言ったり行ったりすることで、相手を悩ませたり不安にさせたりする行為

the act of making repeated attacks on an enemy

敵に対して繰り返し攻撃を行う行為

出典:Oxford Learner’s Dictionaries

ハラスメントの主な種類

ハラスメントの主な種類

日本語では、ハラスメントの内容ごとに「〇〇ハラスメント(〇〇ハラ)」という呼び方が広く使われています。

ただし、これらの多くは日本独自に作られた表現(和製英語)であり、英語では同じ言い方がそのまま通じるとは限りません。

ここではまず「〇〇ハラスメントとは何か」をそれぞれ確認し、そのうえで「英語ではどう表現されるのか」を確認していきましょう。

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメント(パワハラ)とは、職場において立場や権限の差を利用して、相手に精神的・身体的な苦痛を与える行為を指します。

上司から部下だけでなく、先輩・同僚間であっても、実質的な力関係があれば成立します。

ただし、「パワーハラスメント(power harassment)」という言い方は、英語では一般的ではなく、日本で生まれた和製英語です。

英語では、状況に応じて次のように表現されます。

  • abuse of authority(権限の乱用)
  • workplace bullying(職場でのいじめ)

具体的には、以下のような行為が該当します。

  1. 人格を否定する発言を繰り返す
  2. 大声で怒鳴る、威圧的な態度を取る
  3. 業務上不要な過度の叱責
  4. 無視や仲間外れにする
  5. 明らかに遂行不可能な業務を押し付ける

セクシュアルハラスメント(セクハラ)

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、性的な言動によって相手に不快感や不利益を与える行為を指します。

冗談のつもりの発言や、悪意のない行動であっても、相手が嫌だと感じれば問題になります。

この「セクシュアルハラスメント(sexual harassment)」は例外的に、英語でもそのまま一般的に使われる表現です。というより、セクシュアルハラスメントが英語から入ってきて、それをもとに他の「○○ハラスメント」が和製英語として作られたという経緯があります。

【Oxford Learner‘s Dictionariesの定義】

sexual harassment

unacceptable physical contact, comments about sex, etc., usually happening at work, that a person finds annoying and offensive

通常は職場で起こる、受け入れがたい身体的接触や性的な発言などで、当事者が不快で侮辱的だと感じる行為

出典:Oxford Learner‘s Dictionaries

モラルハラスメント(モラハラ)

モラルハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度によって相手を精神的に追い詰める嫌がらせを指します。

暴言、無視、皮肉、人格否定などが繰り返されることで、被害者は徐々に自信や判断力を奪われていきます。

モラハラは職場だけでなく、家庭や親密な人間関係の中でも起こり得る点が特徴です。

たとえば、配偶者やパートナーから日常的に見下す発言をされたり、無視されたりするケースも、モラハラに含まれます。

ただし、「モラルハラスメント(moral harassment)」という表現は、英語では一般的ではありません。英語では、状況に応じて次のような言い方で説明されます。

  • workplace bullying(職場でのいじめ)
  • psychological abuse at work / in the workplace(職場での精神的虐待)
  • verbal harassment(言葉によるハラスメント)
  • emotional abuse(感情的虐待)

カスタマーハラスメント(カスハラ)

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客が立場の優位性を利用し、従業員に対して過度な要求や暴言を行うことを指します。

この「カスタマーハラスメント(customer harassment)」も日本独自の呼び方で、英語ではあまり一般的ではありません。英語では、似た状況を以下のように表現します。

  • abusive customers(暴言や攻撃的な態度を取る客)
  • harassment by customers(顧客によるハラスメント)

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメントとは、妊娠・出産・育児を理由に、不利益な扱いを受けることを指します。配置転換の強要や昇進の見送り、心ない発言などが含まれます。

「マタニティハラスメント(maternity harassment)」という言い方も、英語では一般的ではない和製英語です。

英語では主に、pregnancy discrimination(妊娠差別)という表現が使われます。

まとめ

今回は、「ハラスメント」の意味について、基本的な考え方から種類、職場での具体的な問題点までを整理しました。

ハラスメントとは、相手に不快感や精神的苦痛を与える行為の総称であり、悪意の有無よりも「相手がどう受け取ったか」が重要になります。

特に職場では、パワーハラスメントをはじめとするさまざまな形で問題になりやすく、個人だけでなく組織全体に影響を及ぼします。

「これは指導なのか、ハラスメントなのか?」と迷ったときこそ、相手の立場や受け取り方に目を向けることが大切です。言葉の意味を正しく理解することが、トラブルを防ぐ第一歩になります。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!

 

author avatar
dehito 英語コーチ・英語教育ライター / English Coach & Education Writer
英語が苦手な状態から独学で偏差値80まで向上させた経験を持つ英語コーチ。約10年間の指導経験をもとに、「なぜ理解できないのか」を解明する英語学習法を発信している。