「英文法で冠詞ってよく見かけるけど、そもそも冠詞ってなんなの?」

そんな疑問をお持ちではないでしょうか?

確かに冠詞は日本語にはない要素なので、少しとっつきにくさがあるかと思います。

しかし、冠詞は英語を読んだり話したりする上で、かなりの頻度で登場するので、しっかりと理解しておくと安心して英語を使うことができます。

この記事では、そんな冠詞について、その働きから使い分け方について例文付きで紹介します。

そもそも冠詞って何?どんな働きがあるの?

冠詞は名詞の前につき、名詞がどんな性質であるかを明確にする働きがあります。

冠詞をひと言で説明しようとするとこんな説明になります。

「ちょっと何言ってるかピンと来ない」ですよね。

しかし、大丈夫です。
具体的な例を挙げればイメージがつきやすくなります。

冠詞はたったの3つ!

冠詞は全部でたった3つしかありません。

  • A
  • An
  • The

This is a pen.やThis is an apple. 、The catなど、よく見知った単語ですよね?

AがつくことでPenの性質を、AnがつくことでAppleの性質を、そしてTheがつくことでCatの性質を明確にしているわけです。

それでは、冠詞が表す名詞の「性質」とはどんなものなのでしょうか?

こちらも3つに分けられます。

  • 定冠詞(The)
  • 不定冠詞(A/An)
  • 無冠詞

順番に見ていきましょう。

定冠詞(The)

Theは定冠詞と呼ばれ、「多数の中でたった一つの」を表します。

例を挙げてみましょう。

Aさん
Will you pass me the yellow book in that shelf?
訳)あの棚から黄色い本を取ってきてくれませんか?

この例文では、「yellow book」の性質を「The」が表現しています。

Theは「多数の中でたった一つの」を表すので、「あの棚の中の(他の本ではないあの)黄色い本を取ってきて下さい。」のニュアンスがあるわけです。

「うーん…ちょっとピンと来ないかも…?」という方は、後述の「不定冠詞」と比較することでわかりやすくなるので、合わせて読んでみてください。

不定冠詞(A / An)

AやAnは不定冠詞と呼ばれ、「多数の中から、なんでも良いから一つ」を表します。

AとAnには意味や役割の違いはなく、不定冠詞の次に来る単語の発音が母音なら、発音を区別するためにAnを使っているだけです。(例:A appleは言いにくいのでAn apple、 A eagleは言いにくいのでAn eagleなど)

定冠詞と不定冠詞の役割をわかりやすく比較するため、先ほど定冠詞で挙げた例と比較してみましょう。

定冠詞と不定冠詞の違いとは?

Aさん
Will you pass me the yellow book in that shelf?
訳)あの棚から黄色い本を取ってきてくれませんか?
Aさん
Will you pass me a yellow book in that shelf?
訳)あの棚から黄色い本を取ってきてくれませんか?

上の二つの例文を見比べてみてください。

冠詞のTheとA以外は全く同じ英文なのがわかりますよね?

両者の違いはなんなのでしょうか?

では、定冠詞と不定冠詞のそれぞれの役割を思い出してみましょう。

  • 定冠詞(The):「多数の中でたった一つの」を表す
  • 不定冠詞(A、An):「多数の中から、なんでも良いから一つ」を表す

定冠詞と不定冠詞の役割を、先ほどの例文に当てはめてみましょう。

定冠詞(The)は「多数の中で、たった一つの」を表します。

つまり「棚の中にはいくつか本があるけれど、その中に一冊だけある”あの”黄色い本が欲しいんだ!」というニュアンスになります。
「とても強い限定」のニュアンスがあるということですね。

対して不定冠詞(A / An) は、「棚の中にはいくつか本があるけれど、その中から”黄色い本ならなんでもいいから”取ってきて欲しい」というニュアンスです。

このように、定冠詞のTheと不定冠詞のA / An とでは、直後に来る名詞が強く限定されているか弱く限定されているかの違いがあると言えます。

定冠詞を使うパターン

定冠詞を使うパターン

定冠詞には、「こんな時には定冠詞を使う」というパターンがある程度決まっています。

定冠詞は限定性の高い名詞に付く冠詞でしたね。

その性質から、以下のようなものを表すときに使われます。

他には存在しない、唯一無二性を持ったもの

  • The sun(太陽)
  • The moon(月)
  • The earth(地球)

海、川、砂漠、森などの名称

  • the Mediterranean sea(地中海)
  • The Nile river(ナイル川)
  • The Sahara(サハラ砂漠)

State、 republic、 Kingdomがつく国の名前

  • The United States of America(アメリカ)
  • The United Kingdom(イギリス)
  • The Republic of Singapore(シンガポール)

冠詞がつかない場合

冠詞がつかない場合

ここまでで、冠詞(The、A、An)の役割や種類、冠詞がつくパターンについてお伝えしてきましたが、「この場合は冠詞がつかない」という法則もあります

可算名詞の複数形

可算名詞の複数形には、冠詞が用いられません。

可算名詞とは、数えられる名詞の事を指します。(例:Dogs、Cats、Booksなど)

Aさん
I saw cute cats over there.
訳)私は向こうでたくさんのかわいいネコを見た
Aさん
He bought two books.
訳)彼は本を2冊買った
Aさん
I ate strawberries too much.
訳)イチゴを食べすぎた

不可算名詞

不可算名詞にも冠詞を用いることはありません。

不可算名詞とは、数えられない名詞のことを指します。(例:Water, Money, Paperなど)

日本語では数えられると考えられているもの(紙など)も、英語では数えられない名詞として扱われるものもあるので注意が必要です。(一枚の紙はpiece of paper, 一杯の水はa cup of waterと表現します。英語ならではの表現です。)

Aさん
I need to give some water to my tulips.
訳)チューリップに水を与えなければいけない
Aさん
Butter and cheese are made from milk.
訳)バターやチーズは牛乳から作られる
Aさん
Money isn’t everything.
訳)お金がすべてではない

その他冠詞をつけない場合

可算名詞の複数形と不可算名詞以外にも、「この場合は冠詞を用いない」という場合もありますので、以下にその例をまとめておきます。

国の名前

「定冠詞を使うパターン」の項で「State, republic, Kingdomがつく国の名前はTheがつく」とお伝えしましたが、それ以外の国の名前には冠詞がつきません。

例:Japan, Canada, Australia, New Zealandなど

言語

「日本語」や「英語」、「フランス語」など、言語にも冠詞はつきません。

例:Japanese, English, French, Chineseなど

競技

スポーツの競技名にも冠詞がつきません。

例:Baseball, Football, Tennisなど

月や曜日、季節など

月や曜日も冠詞がつかないので注意が必要です。

例:Monday, Tuesday, January, February, spring, summerなど

まとめ

この記事では、冠詞という日本語にはない、少しとっつきにくい品詞についてお伝えしてきました。

ここまでお読みのあなたは、冠詞とは何か、どんな種類があるのか、正しく使い分けるため方法など、十分に知識がついているでしょう。

この記事でお伝えした内容が、あなたの英語表現をより豊かにできれば幸いです。