英会話講師をしていると、よく「日本語の○○は英語で何といいますか?」といった質問を受けます。多くの場合は、一緒に適切な時制や単語を考えながら文を作っていきます。しかし、日本語表現の中には、直訳するのが難しい表現も多くあります。

皆さんも、日本語でよく口にする表現を英語にしようとして、いい英語が思い浮かばず困ってしまったことはありませんか。そこで今回は、私たちがよく口にする日本語表現の中で、英語にするのが難しい表現についてご紹介します

英語にするのが難しい日本語表現を英訳するには?

英語にするのが難しい日本語表現6選

英語にするのが難しい日本語表現の共通点

「お疲れ様です」「よろしくお願いします」などは、英語にするのが難しい日本語表現の代表です。こういった日本語表現の共通点は抽象的であることだと思います。例えば、「お疲れ様です」が使われる場面について考えてみると、仕事終わりの軽い挨拶としてや、相手の労苦に対して労いの言葉として等様々です。

こういった抽象的な日本語表現を、そのまま英語にしようとすると、上手くあてはまる英語表現がなく考え込んでしまいます。では、こういった表現を英語にするにはどうすれば良いのでしょうか。

抽象的な日本語表現は具体的にしてから英訳する

英語では、より具体的な表現が好まれます。そのため、直訳するのが難しいと感じた日本語表現に関しては、伝えたいことをより具体的に表現すると英訳しやすい場合が多いです。例えば、仕事終わりの軽い挨拶としての「お疲れ様です」を具体的に表現しようとすると、「また明日」「良い週末をお過ごしください」などが挙げられます。この様に一旦日本語自体をより具体的な表現にしてから、英訳するとスムーズにいくでしょう。また、ロジカルスピーキングの記事でもお話ししましたが、英語ではより具体的に話す習慣をつけると良いと思います。

英語にするのが難しい日本語表現6選

英語にするのが難しい日本語表現6選

それでは、実際に英語にするのが難しい日本語表現6つを、どのように具体的にして英訳するのか見ていきましょう。

「お疲れ様です」

上で触れた通り、主に「挨拶」「労いの言葉」として使われることが多いと思います。より表現を具体的にすることで、次のような英語で表すことができます。

  • 仕事終わりの挨拶としてSee you tomorrow (また明日), Have a good night (良い夜を) , Have a good weekend (良い週末を)
  • 労いの言葉として:You must be tired (お疲れでしょうね), Thanks for your hard work (一生懸命働いてくれて、ありがとう)

仕事の終わりの挨拶としての会話文

Aさん
Don’t forget we have that quiz in math class tomorrow.
訳)明日の数学の授業で小テストがあるのを忘れないでね。
Bさん
Oh, right! Thanks for reminding me.
訳)ああ、そうだった!思い出させてくれてありがとう。
Aさん
No problem. See you tomorrow!
訳)問題ないよ。また明日ね。

労いの言葉としての会話文

Aさん
I saw how much effort you put into cleaning your room and finishing your homework.
訳)あなたが部屋の掃除や宿題を終わらせるために、どれだけ努力しているか見たわ。
Bさん
Thanks, Mom. I tried to get everything done today.
訳)ありがとう、ママ。今日は全部片付けようとしたんだ。
Aさん
Thank you for your hard work. I’m proud of you.
訳)お疲れ様。よく頑張ったわ。あなたを誇りに思うよ。

「よろしくお願いします」

一般的な挨拶の一部(具体的な意味を持たない)として使う場合は、その場に適した英語の挨拶をすれば「よろしくお願いします」の意は含まれる為、敢えて何か付け加える必要はないと思いますが、状況に応じて、意図することを英訳する場合があります。

しかし、次のような場合はどうでしょうか。オンライン英会話の冒頭に「英語には慣れていないので、よろしくお願いします」と言いたい場合、これをより具体的にして英訳する必要があります。

  • よろしくお願いします→初心者向けのレッスンをしてくださいI just started learning English, so please give me a lesson for beginners.
  • よろしくお願いします→ゆっくり話してください I am a beginner, so could you speak slowly?

上記の様に何かをお願いする際の「よろしくお願いします」は、何をどうしてほしいのかをより具体的にした上で、「please~」「could you~」を用いて表現すると良いでしょう。

Aさん
You are a new student who joined this month, aren’t you?
訳)今月入会した新しい生徒さんですね。
Bさん
Yes. I just started learning English, so please give me a lesson for beginners.
訳)はい。英語を学び始めたばかりです。だから、初心者向けのレッスンで、よろしくお願いします。

次に、ビジネスの挨拶で「よろしくお願いします」を使う場合について考えてみましょう。

  • よろしくお願いします→弊社への支援をお願いします。:We request your continued support for our company.
  • よろしくお願いします→弊社との取引を続けてください。:Please continue to do business with us.
Aさん
Your company has been exceptional in meeting our needs over the last year.
訳)この1年間、御社は私たちのニーズに格別に応えてくれました。
Bさん
Thank you! It’s been a pleasure working with you.
訳)ありがとう! 貴社と一緒に仕事ができてよかった。
Aさん
We’re excited about continuing this partnership.
訳)このパートナーシップを継続できることにワクワクしている。
Bさん
Likewise! We request your continued support as we work together on the upcoming projects.
訳)同様に!これからのプロジェクトを共に進めていくにあたり、貴社の変わらぬご支援をお願いいたします。

「頑張って」

英語にする際は、この言葉に込める想いや伝えたいニュアンスによって表現が違ってきます。どういったニュアンスで「頑張ってください」を言うのかを考えた上で、ぴったりの英語表現を見つけてください。

  • Good luck! (幸運を祈っています/良い結果になりますように)
  • Take it easy, you’ll be all right! (気軽にね、あなたなら大丈夫)
  • Hang in there! (頑張って!)
  • You can do it! (あなたならできる)
  • Do your best / Go for it! (全力を尽くして)
Aさん
I don’t know if I can finish this marathon. I feel it’s impossible.
訳)このマラソンを完走できるかどうかわからない。無理だと思う。
Bさん
Don’t say that! You’ve trained so hard for this. You can do it!
訳)そんなこと言わないで!このために一生懸命練習してきたんだ。あなたならできるよ!
Aさん
Thanks, Jake. I’ll give it my best shot.
訳)ありがとう、ジェイク。ベストを尽くしてみるよ。

“give it my best shot”は「最善を尽くす」という意味です。

「しょうがない/仕方がない」

こちらもよく日本語で使う表現ですが、英語にする場合は使うシチュエーションによって表現が変わってきます。

  • It can’t be helped (それは避けられない。どうしようもない)
  • I have no choice(選択肢が他にない)
  • That’s how it goes (共感:そういうものですよね)
Aさん
Our flight just got delayed by three hours.
訳)私たちのフライトは3時間遅れた。
Bさん
Oh, that’s so bad.
訳)お気の毒に。
Aさん
Yeah, but it can’t be helped. Let’s grab something to eat while we wait.
訳)ああ、でもしょうがない。待っている間に何か食べよう。

「恥ずかしい」

こちらも直訳する前にどういった意味で使うのかを、考える必要のある表現です。照れの恥ずかしさ、何かの失敗などに対する決まりの悪さ、または、悪い行いに対する恥ずかしさなど、主に3通りの表現があります。

  • Don’t be shy (恥ずかしがらないで/遠慮しないで)
  • I’m so embarrassed because my T-shirt was inside out. (T-shirtが裏表でとても恥ずかしかった)
  • I’m ashamed of my mistakes. (私の間違いに対して恥ずかしく思います)

Don’t be shyを使う会話文

Aさん
Hi there! Have you tried the snacks?
訳)こんにちは!お菓子は試してみましたか?
Bさん
Not yet. I wasn’t sure if I should.
訳)まだだよ。そうするべきかどうかわからなかった。
Aさん
Oh, don’t be shy! Help yourself—it’s all here for everyone to enjoy.
訳)恥ずかしがらないで!ここにあるのは、誰もが楽しめるものばかりなのだから。

I’m so embarrassed を使う会話文

Aさん
Oh no, are you okay? You just tripped over that crack in the sidewalk.
訳)大丈夫?歩道の割れ目につまずきましたよ。
Bさん
Yeah, I’m fine… but I’m so embarrassed. Everyone saw that!
訳)ええ、大丈夫です…でも、とても恥ずかしいです。みんなに見られた!
Aさん
Don’t worry, stuff like that happens to everyone
訳)心配しないで、そういうことは誰にでもあることだから。

「いただきます」

自宅または招待された家でご飯をいただく前に、一言「いただきます」と言ってから、食べ始める人がいますが、これを英語にするのが難しいですね。

あえて英語にするなら、次のような表現が考えられます。

  • I’ll have (eat) this meal(私はこの食事をいただきます)
  • Thank you for the meal(その食事に感謝します)
  • Come, Lord Jesus be our guest. Let these gifts, to us be blessed. Amen(来てください、主イエスよ、私たちの客人となってください。これらの賜物を、私たちに祝福させてください。アーメン)

まとめ

いかがでしたでしょうか、英語にするのが難しい日本語表現についてご紹介しました。言いたいことを英語でパッと思い浮かべることができれば一番ですが、やはり「日本語の○○は英語でどのように表現するのか」と訳を考えることも多いと思います。

直訳をするのが難しいと感じた場合、その日本語表現は抽象的過ぎる可能性があります。今回ご紹介した6つの例を参考に、より具体的に伝えたいことを考えてから英訳するようにしてみてください。