「〇〇をなくす」と聞くと、どのような言葉を連想するでしょうか。
「(身近な人)を亡くす」や、「(物や事柄を)無くす」など、日本語の「なくす」は、その対象によって意味や使い方が異なります。
では、英語で「なくす」は何と言うか知っていますか。
「pass away(亡くす)」と「lose(無くす)」といった使い分けがされるように、英語も日本語と同様で言い方はさまざまです。
そこで今回は、英語の「亡くす」と「無くす」の使い分け、よく使う英語表現を紹介します。
なくす【亡くす】
「亡くす」を意味する代表的な英語は、「pass away(亡くなる)」や「be gone(逝去する)」です。
一般的に、家族や親友、恋人など身近な人を亡くしたときに使われます。
人が亡くなったときに、「die(死ぬ)」と表現するのは間違いではありません。
しかし、「〇〇は死んだ。」のように直接的なニュアンスがあるため、使い方には注意が必要です。
「die」は、ニュースや新聞記事など死を事実として述べる場合に用いられます。
そのため、感情を込めて会話する場合は避けたほうがよいでしょう。
pass away
「die(死ぬ)」を丁寧な言い方にしたのが「pass away」です。
日本語では「亡くなる」や「他界する」と訳されます。
My grandfather passed away peacefully.
訳)私の祖父は静かに息を引き取った。
My grandparents on my mom’s side have passed away.
訳)私の母方の祖父母は亡くなった。
When did he pass away?
訳)彼はいつお亡くなりになりましたか?
be gone
「be gone」は、「(人がこの世から)去った、死んでしまった」という状況を指します。
「(その場から)いなくなった」という意味もあり、必ずしも人が亡くなったことに限定されないため注意しましょう。
My grandmother was gone three years ago.
訳)私の祖母は3年前に亡くなりました。
I’m sorry, but she’s already gone.
訳)申し訳ないけど、彼女はもう既にこの世にはいないんだ。
なくす【無くす】
日本語の「なくす」にたくさんの意味と表現があるように、英語にもさまざまな言い方があります。
「lose(物を無くす)」や「eliminate(物や事柄を終わらせる)」など、状況に応じていろいろな言い方を覚えておくと、会話のバリエーションも広がります。
lose
落とし物や紛失物のことを示す「無くす」は、「lose」を使います。
lose+〇〇(物)=〇〇(物)を無くす
I’ve lost my wallet, so I’m going to buy a new one.
訳)お財布をなくしちゃったので新しいのを買わなくちゃ。
「物を無くす」は英語で「lose things」ですが、自分の所有物という意味合いで「lose my belongings」とも言います。
He often loses things.
訳)彼はよく物を無くすんだ。
I make sure to put my things in their place because I often lose my belongings.
訳)物を無くすことが多いので、決まった場所に置くことを心がけているの。
eliminate/get rid of/do away with
「終わらせる」や「廃止する」、「取り除く」といった意味の「無くす」には、「eliminate」や「get rid of」、「do away with」が使われます。
We need to eliminate racism.
訳)人種差別をなくす必要がある。
We need to get rid of discrimination.
訳)差別をなくさないと。
We should do away with this regulation.
訳)こんな規制は廃止すべきだ。
use up/run out of
「使い果たす」や「尽きる」という意味の「無くす」は、「use up」や「run out of」を使います。
The toilet paper is used up.
訳)トイレットペーパーがなくなった。
We have run out of coffee.
訳)コーヒーが切れているよ。
be gone
人が亡くなったときだけでなく、お店や会社がなくなったときにも「be gone」を使います。
この場合、「閉店する」や「つぶれる」といった意味になります。
はっきりと廃業が分かっている場合には、「go out of business(廃業する)」や「shut down(閉業する)」を使うのがよいでしょう。
どれも自然な言い回しなので、覚えておくと役立ちます。
Wow, that restaurant is gone!
訳)あのレストランどこ行っちゃったの!?
That store has gone out of business!
訳)あのお店はつぶれちゃったんだ!
The store has shut down!
訳)あのお店は閉店しちゃったんだ!
他にも、「close down」という言い方があります。
The store has closed down!?
訳)あのお店閉まっちゃったんだ!?
「なくす」のよく使う英語表現
これまで紹介してきた英語は全て、人や物、事柄といった目に見える存在に対して使われます。
続いては、「やる気をなくす」や「周りとの遅れをなくす」といった目に見えないものに対して用いられる英語表現を紹介します。
「~する気をなくす」
「lose」を用いて「〜する気をなくす」と表すことができます。
lose+〇〇(気力)=〇〇(気力)をなくす
I suddenly lost all interest in doing homework.
訳)急に宿題する気がなくなった。
I lost my grasp on my work.
訳)仕事への力が抜けた。
勉強へのモチベーションがなくなったと言いたいとき
I’ve lost my motivation for my study.
訳)勉強する気になれない。
無気力で投げやりな気持ちを表したいとき
I suddenly feel demoralized.
訳)急にやる気を失ったよ。
I don’t feel like doing anything.
訳)何にもしたくない気分だ。
単純に気分が上がらないときや落ち込んでいるときは
I’m a little depressed today.
訳)今日はなんだか気分が悪いんだ。
「~での遅れをなくす」
日本語で「遅れをなくす」は、「滞りなく行う」、「遅れや停滞、トラブルなどを起こさずスムーズに事を進めること」を意味します。
英語で「滞りなく」は、「smoothly」です。「遅れや問題、障害のないように」といった意味で「without delay」や「without a hitch」もよく使われます。
Her work was going smoothly.
訳)彼女の仕事は滞りなく終わった。
That wedding ceremony went off without a delay.
訳)結婚式は滞りなく終わったよ。
仕事で抜けや漏れのないように頼みたいとき
Don’t let anything slip through the cracks.
訳)抜け漏れのないようにしてください。
Don’t overlook anything.
訳)見落としのないようにね。
周囲に遅れを取らないように伝えるとき
We need to keep up with our rivals.
訳)ライバルや競合他社に遅れを取らないようにしましょう。
「~の不都合をなくす」
「不都合をなくす」は、問題なく順調に事が運ぶ、全て上手くいくという意味です。
「不都合のないように」や「問題が起きないように」と言いたい場合は、「inconvenient(不都合)」や「problems(問題)」といった単語を用いて表現します。
If this schedule is inconvenient, please let me know.
訳)不都合があったらおっしゃってください。
I will be careful so that no problems come up.
訳)問題が発生しないように気を付けます。
See that all is well!
訳)万事不都合のないように頼むよ。
「問題を無くす」「解消する」を意味する表現もあります。
I think that a manager’s job is to solve problems.
訳)マネージャーの仕事は問題を解決することだ。
My job as the president is to sort out the problems we have.
訳)社長としての私の仕事は、私たちが抱えている問題を解決することだ。
まとめ
「なくす」を意味するさまざまな英語の使い分けと、よく使う英語表現を紹介しました。
英語で「亡くす」は、「pass away」と「be gone」です。「無くす」は「lose」や「eliminate」、「use up」などさまざまな言い方があります。
今回紹介した表現は、日常会話ではもちろんビジネスの場でも活用できるので、例文ごと覚えてどんどん使っていきましょう。
物や事柄、文脈、状況に応じて正しく英語を使い分け、会話力の向上に役立ててください。