私たちの身の回りには多くのカタカナ英語が溢れていますが、カタカナだからといって必ずしも英語であるとは限りません。中にはまったく別の言語由来のものも含まれるため、英語で表現する際には注意が必要です。

ということで、今回のテーマはそんな「偽カタカナ英語」の代表である「ゴム」です。

日本でいうゴムを英語で表現する際には複数の言い方がありますが、この記事ではそれぞれの違いについて詳しく確認していきます。これを読めば、英語でもゴム製品を正しく言い表すことができるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

「ゴム」は英語で何て言う?

「ゴム」は英語で何て言う?

日本で言う「ゴム」を表す英語は “rubber”、もしくは “elastic” です。

カタカナ表記であることから「ゴム=英語」と思われがちですが、実はこれオランダ語由来の言葉なんです。そのため、英語でゴム(gom)と言っても通じないので注意しましょう。

Aさん
This grilled squid is like gom.
訳)この焼きイカ、ゴム(gom)っぽい。
Bさん
What means “gom”?
訳)gomって何?

 

ガムとゴムの関係は?

英語にもオランダ語の gom と同語源である “gum(ガム)” という単語がありますが、これは主にゴムの木から取れた原料のゴムを指す場合に使われます。私たちが普段目にするゴム製品の場合は rubber か elastic が一般的です。

また、日本で「ガム」というとお菓子が思い浮かびますが、その場合は “chewing gum” と呼ぶのが一般的です。gum だけではお菓子の意味に取られず、ゴムの原料だと思われてしまうので注意してください。

Aさん
I like eating gum!
訳)ガム食べるの好き!(と言ってるつもり)
Bさん
Oh… There’s no accounting for tastes.
訳)なんと、蓼食う虫も好き好きってやつか。

 

それでは、ゴムを表す rubber とelastic の意味の違いについて、詳しく確認していきましょう。

ゴムを表す英単語①:rubber の意味

rubber(ラバー)が表すのは、ゴムでできていることが見た目からわかるゴム製品全般です。日本でも「ラバー」というカタカナ語がだいぶ浸透しているので、それほど違和感はないと思います。

ちなみに、rubber の語源は rub(擦る)から来ています。「カットするもの=cutter(cut + er)」と同じように、「擦るもの=rubber(rub +er)」という成り立ちになっています。

ゴムを表す英単語②:elastic の意味

elastic(エラスティック)が表すのは、伸縮性があるゴム製品全般です。

rubber が見た目に重きを置いていたのに対して、elastic は伸縮するという機能性に重きを置いています。そのため、見た目にはゴムとわからないけど伸縮するものは elastic と呼ぶ方が自然です。

ちなみに、elastic には形容詞としての用法もあるので、「elastic 〇〇」で「伸縮する〇〇」という意味を表すこともできます。

rubber か elastic か、ゴム製品の英語名を確認してみよう!

eraser

以上のように、英語ではゴム製品を表す際 rubber か elastic のいずれかの単語を使います。でも、具体的な製品を説明したい場合に、どちらの単語を使えばいいか迷ってしまいそうですよね。

先ほども少し触れましたが、同じゴムでも rubber は「ゴムっぽいという見た目重視」、elastic は「伸び縮みする機能性重視」という違いがあります。この点に注意してあげれば両者の使い分けは問題ありません。

それでは、身の回りのゴム製品について、1つひとつ英語では何と言うのか確認していきましょう。

輪ゴム

輪ゴムは、見るからにゴムっぽいため “rubber band” と呼ばれます。ただし、輪ゴムは見た目がゴムっぽいだけでなく、実際は伸縮性という機能性も備えています。そのため、elastic band という呼び方も同様に存在しています。見た目に注目するか、機能性に注目するかの違いですね。

ちなみに、主にアメリカ英語では rubber band、イギリス英語では elastic band と呼ばれることが多いようです。国によって着眼点が違うことを示す好例といえそうですね。

Aさん
Take a rubber band, please.
訳)輪ゴムを1本取ってください。

 

消しゴム

消しゴムは英語(イギリス英語)で rubber と呼びます。消しゴムにとって大切なのは機能性ですが、それは伸び縮みすることではありませんよね。そのため、見た目にゴムっぽいことから rubber と呼ばれていると思われます。

ただし、アメリカ英語では消しゴムは eraser と呼び、rubber は「避妊具」を表すスラングになってしまいます。同じセリフでも、国によって受け取られ方が変わってきてしまうので気を付けましょう。

Aさん
Can you give me a rubber?
訳)消しゴムを貸してくれない?(※Aさん=イギリス人)
Bさん
What?
訳)何だって?(※Bさん=アメリカ人)

 

ヘアゴム(髪ゴム)

髪の毛を縛るためのヘアゴムは、伸縮するという機能性が重要なので “hair elastic” と呼ばれます。見た目にはゴムっぽくないものがほとんどなので、hair rubber と呼ばれることはほとんどありません。

ただ、首元を結ぶものを necktie と呼ぶのと同じ発想で、ヘアゴムの「髪を結ぶ」という点にフォーカスを当てて “hair tie” と呼ぶこともあります。

ちなみに、ヘアゴムにデザインを加えた「シュシュ」は英語では “scrunchie(スクランチー)” と呼びます。日本でのシュシュという呼び方はフランス語の chouchou が元になっているようです。

Aさん
I use a hair elastic every day during the rainy season.
訳)梅雨の間はヘアゴムを毎日使います。

 

ウエストゴムパンツ(ズボン)

ウエストにゴムが入っていてベルトを締める必要のないパンツ(ズボン)のことを、英語では “elastic waist pants” と呼びます。このようなパンツのポイントは、ウエスト部分が伸び縮みするという機能性ですよね。

決して見た目がゴムっぽいわけではないので、rubber waist pants などとは呼ばないように。あえてイメージするなら、腰の部分だけがウェットスーツのようになった奇抜なパンツになりそうです…。

Aさん
I love rubber waist pants, they are easy-to-weat.
訳)ウエストゴムのパンツ(と言ってるつもり)って着心地が良いから大好き。
Bさん
Really? For me, they sound hard to wear…
訳)まじ?何だか着にくそうだけどな…。

 

番外編①:グミ

弾力食感がおいしいお菓子の「グミ」は英語で “gummy candy”、あるいは単に “gummy” と呼びます。

字面からも推察される通り、gummy は gum を語源にしており、もともと「ゴムのような」という質感を表す形容詞でした。

chewing gum だと「ガム」、gummy candy だと「グミ」、この機会にぜひ覚えておきましょう。

番外編②:ガムシロップ

アイスコーヒーなどに入れる甘いシロップのことを日本ではガムシロップと言いますが、これは英語圏では通じません。英語では「液状の甘味料」ということで “liquid sweetener” や liquid sugar” と呼びます。しかし、日本ほど一般的ではないアイテムなので、カフェによっては置いていないことも多いようです。

ちなみに、なぜ日本では「ガムシロップ」と呼ぶのかというと、砂糖が沈殿しないよう、成分にアラビアゴムを配合しているからだそうです。

まとめ

今回は「ゴム」というテーマで確認してきました。

日本語ではひとくちにゴムというものも、英語の場合は見た目や機能性などに応じて rubber、elastic と呼び分けています。

また、日本語のゴムに語源的に近い gum という単語は、基本的に原料のゴムを表すため、単体で使う場合には注意が必要です。

今回ご紹介したことを参考に、身の回りのゴム製品について積極的に英語で表現していきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!