日本語には「起きる」と「起こる」という2種類の言葉があります。平仮名1文字しか違わないものの、これらの言葉はまったく違う意味で用いられ、その結果、対応する英語もそれぞれ異なるものになります。

ということで、今回のテーマは「起きる」と「起こる」です。

「起きる」と「起こる」の日本語の意味の違いを確認し、それぞれに対応する英語表現を詳しく確認していきます。これを読めば、日英両方で適切に「起きる」「起こる」を使い分けられるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

「起きる」と「起こる」は何が違う?

「起きる」という日本語は、寝ている状態から「起き上がこと」を表します。別の言葉で言い換えると「目を覚ます」「起床する」などとなり、基本的には人や動物といった生き物が主語になります。

その一方、「起こる」は何か出来事が発生することを表します。言い換え表現としては「発生する」の他に「生じる」などがあり、基本的には生き物ではなく物事が主語に来ます。

平仮名1文字の違いとはいえ、これらの言葉はまったく違う意味を表しています。そのため、「起きる」と「起こる」のそれぞれを英語に翻訳する場合には、まったく異なる言葉が当てはまるんです。

ということで、それぞれを表す英語表現について詳しく確認していきましょう。

「起きる」は英語で何て言う?

「起きる」は英語で何て言う?

「起きる」は英語で “get up”、あるいは “wake up” と言います。読み方はそれぞれ「ゲットアップ」と「ウェイクアップ」です。get up の方は中学の最初の頃に習うので、聞き馴染みがある人も多いのではないでしょうか。

get up と wake up の違い

ほとんど同じ get up と wake up ですが、厳密には少し意味が異なります。

get up は眠りから目覚めて、かつ身体を起こした状態を表します。そのため、ベッドに入っているままでは “I get up.” と言うことができません。

その一方、wake up は眠りから目覚めただけの状態を表します。そのため、ベッドに入ったままであっても、瞼さえ開いていれば “I wake up.” と言うことができます。

朝に強く寝起きが良い人にとっては、get up と wake up はほぼ同義と言って良いでしょう。しかし、低血圧などで朝に弱く、なかなか起きられない人にとっては、これらの表現は大きく異なる意味を持っていると言えます。

Aさん
I usually wake up at 6:00, but I can’t get up until about 7:30.
訳)たいてい6時くらいに目覚めるんだけど、7時半ごろまでは起き上がれないんだよね。
Bさん
Really? I usually find myself getting up in the morning.
訳)本当に?僕はだいたい朝気づくと起き上がってるよ。

 

「起きてますか?」in English

get up は起き上がるという動作を、wake up は目覚めるという動作を表します。そのため、”Are you getting(waking)up?” と聞いてしまうと、「あなたは起きる(目覚める)動作をしている途中ですか?」という非常に不自然な問いになってしまいます。

Aさん
Are you getting up now?
訳)あなたは起き上がってる途中かい?(「起きてる?」と聞いてるつもり)
Bさん
Why do you care such a thing?
訳)何でそんなことが気になるの?

 

「起きてますか?」と聞きたいときは、”Are you awake?”、または “Are you(still)up?” と言います。

awake は wake の形容詞版です。そのため、be動詞とセットで「起きている」という状態を表すことができます。ちなみに、wake の対義語 “sleep(眠る)” の形容詞版は “asleep(眠っている)” です。

また、up は get up や wake up だけでなく、”stay up late(夜更かしする)” など「起きる」様子を表す表現に多く使われるため、単体でも「起きている」状態を表すようになりました。

Aさん
Hey! Are you awake now?
訳)ねぇ、起きてる?
Bさん
Oh, sorry. I was in the dream.
訳)おっとごめん。夢の世界にいたわ。

 

「起こる」は英語で何て言う?

「起こる」は英語で何て言う?

「起こる」は英語で “happen(ハプン)” と言うのが最も一般的です。ただし、ニュアンスの違いで以下の表現も多く使われます。

  • occur(オカー)
  • break out(ブレイク アウト)
  • take place(テイク プレイス)

happen を含めて、それぞれの違いを詳しく確認していきましょう。

起こる①:happen

“happen” は、偶然何かが起こることを意味します。日本語でも予測できない出来事のことを「ハプニング」と言いますが、イメージはそれに近いです。

happen 単体で「偶然起こる」という意味で使うだけでなく、”happen to do(偶然~する)” の形でもよく使われます。

Aさん
Yesterday, I happened to pick up 10,000 yen.
訳)昨日、偶然1万円拾ったんだ。
Bさん
Let’s go to the police.
訳)一緒に警察に行こうか。

 

起こる②:occur

“occur” は何かが突発的に起こることを意味します。happen に比べてフォーマルな響きの表現なので、日常会話ではあまり使われず、主に新聞やニュース番組などで使用されます。日本語では「生じる」「発生する」の方がニュアンスとしては近いでしょう。

Aさん
Landslides are occurring in Nagano prefecture because of a heavy rain.
訳)大雨の影響で、長野県では土砂災害が発生しています。

起こる③:break out

“break out” は良くない物事が起こることを表します。break は「壊す(破る)」、out は「外」という意味なので、「何か良くないことが平和という膜を破って出てくる」といったニュアンスの表現です。

そのため、break out の主語は戦争や災害、暴動などの悪いニュースが来ます。「勃発する」という日本語が最もしっくり来る表現です。

Aさん
The World War Ⅱ broke out in 1939.
訳)第二次世界大戦は1939年に起こりました。

起こる④:take place

“take place” は、イベントなどの催し物が起こることを表します。take place を直訳すると「場所を取る」となり、ある程度の敷地を占有することを意味しています。言い換えるなら「開催される」という日本語が適切です。

ここまでの4つがすべて予想外の出来事を表していたのに対し、take place は「あらかじめ予定されていた出来事が起こる」ことを表す点で異なっています。

Aさん
The Tokyo Summer Olympics took place in 2021.
訳)東京夏季オリンピックは2021年に開催されました。

まとめ

今回は「起きる」と「起こる」をテーマにお話ししてきました。

「起きる」は英語で get up か wake up。「起こる」は happen、occur、break out、take place の4種類です。

それぞれに表すニュアンスが異なっているので、今回ご紹介したことを参考に、状況に応じて適切に使い分けていきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!