“How come?”という英語表現をご存知でしょうか?

高校英語でほんの少しだけ触れる表現で、Why?のように理由を尋ねる際に使われる、と教わりますよね。同じような扱いをされる”How come?”と”Why?”ですが、実はそこにはわずかながら違いがあります。

本記事では”How come?”の正しい使い方を、”Why?”との違いを比べながら解説します。最後まで読んで”How come?”を自然と使いこなせるようになりましょう!

How comeの意味・使い方

How comeの意味・使い方

How comeの意味は2つあります。

・理由を尋ねる

・驚きを表現する

これらの使い方について詳しく見てみましょう。

理由・経緯を尋ねる”How come?”

この意味での”How come?”は、”Why?”と同義と考えて問題ありません。その結果になった理由を知りたい時に使われます。”Why?”と同様に、”How come?”だけでも「どうして?」の意味で使うことができますが、次のように文章で表現することもできます。

Aさん
Why can you speak English so fluently?
訳)なぜそんなに流暢に英語を話せるのですか?
Aさん
How come you can speak English so fluently?
訳)なぜそんなに流暢に英語を話せるのですか?

意味はどちらも同じで、英語が話せるようになった理由を尋ねていますね。これが”How come?”の一般的な意味です。

驚きを表現する”How come?”

“How come?”のもう一つの意味が「驚き」です。こちらは”Why?”にはない表現ですね。例えば、ずっと日本語で話していた友人が急に流暢な英語で話し始めました。その時、あなたはどのように反応しますか?「え?なんで?」おそらくこのような驚きの反応を見せるでしょう。驚いた時にとっさに出てくる「なんで?」にぴったりな表現が”How come?”です。

英語を話せること自体を知らなかった場合

Aさん
How come you can speak English so fluently?
訳)なんで、そんな流暢な英語がはなせるの?

英語を話せることは知っていたけれど、急に英語で話し始めたことに対して驚いている場合

Aさん
How come you suddenly started to speak English?
訳)なんで急に英語で話し始めたの?

どちらの場合でも使える

Aさん
How come?
訳)え?なんで?

このように理由を尋ねるよりもむしろ、驚きを表現したい時の「なぜ?」には”How come?”を使います。

”Why?”と“How come?”の違いとは

”Why?”と“How come?”の違いとは

ここまでは“How come?”の意味を確認してきました。ここからは具体的に”Why?”とどのような違いがあるのかを確認していきましょう。ニュアンス・意味の違いについては、前項で解説したので、ここでは文法やシチュエーションをメインに解説します。

文章の語順

一番の違いは語順です。まずは皆さんに馴染みのある”Why”の語順をみてみましょう。”Why”は疑問詞なので、通常の疑問文を作るように「Why + 動詞 + 主語?」の語順になります。

Aさん
Why were you late?
訳)なぜ遅刻したのですか?

Aさん
Why do you study English?
訳)なぜ英語を勉強するのですか? 

Aさん
Why can you speak English?
訳)なぜ英語を話せるのですか?

いずれの文章も、”Why”がなくても疑問文としてそのまま成立させることができます。これが”Why”を使った文章の語順です。

一方、”How come?”は”How”という疑問詞が含まれているにも関わらず”How come + 主語 + 動詞?”と特殊な語順をとります。なぜこのような語順になるかは次の章で解説するとして、ここで注目してほしいのは、”How come”の後ろに「主語+動詞」の平叙文(肯定文、否定文)が続くことです。

Aさん
How come you were late?
訳)なんで遅刻したの?

Aさん
How come you study English?
訳)なんで英語勉強するの?

Aさん
How come you can speak English?
訳)なんで英語を話せるの?

“How come?”がなければ平叙文だけが残り疑問文としての性質は失われることになります。これが”How come?”と”Why?”の語順の違いです。

“How come?”と”Why?”は同じ意味としても使えますが、置き換える場合は以下の点に注意が必要です。

  • 疑問文⇔平叙文の書き換え
  • 時制の確認

Aさん
Why did you go there?
訳)なぜそこに行ったのですか?

Aさん
How come you went there?
訳)なぜそこに行ったのですか?

この2文を置き換える場合は、did go⇔wentの置き換えと、過去形であるという点に注意をすれば問題なく置き換えることができます。

使えるシチュエーション

次にシチュエーションの違いです。いずれも理由を尋ねる時に使うことができますが、”How come?”は非常にカジュアルな表現で、いつでも使えるというわけではありません。あえてここまでの例文の訳を”How come?”と”Why?”で変えていますが、”How come?”は友人間での会話で多く使われます。公式な場面や文章では使われることはないので、”How come?”を使う時には、タイミングを考えましょう。

また”How come?”には驚きを表現する意味があると解説しました。そのため、”How come?”では、理由を答えてもらえない可能性があります。確実に相手から理由を答えてもらいたい場合には、”Why?”を使う方が確実です。

どちらを使ったらいいか分からない、まだうまく使い分けができないという人は、とりあえず”Why?”を使っておけばお互いに気分を害することはありません。

なぜ”How come?”は疑問文が続かないのか

前項で解説したとおり、”How come?”の後ろには平叙文が続きます。”How”であれば、疑問文が続くのに、なぜ”How come?”になった途端、平叙文になるのでしょうか?その理由は、”How come?”それ自体がある疑問文の省略形だからです。その疑問文とは、”How does/did it come about that~?”です。that以降は、平叙文が続きます。

Aさん
How does it come about that you can speak English?
訳)どのようにして、英語が話せるようになったのですか?

(直訳:どのようにして、英語を話せるという状況が起こるのですか?)

“come about”は”that”を伴って「(that以下のことが)起こる」という意味の慣用句です。”How come?”の原型は疑問文ですが、そこから”How””come””that以下”だけをピックアップしたことで”How come?”この疑問文では平叙文が使われるようになりました。

疑問文を省略した形なので、過去のことを尋ねる際にも、”come”は過去形にはなりません。過去のことを尋ねたいという場合には、that以降を過去形にしましょう。

Aさん
How (did it) come (about that) you were late for the meeting?
訳)なぜ会議に遅れたの?

まとめ

理由を尋ねるとともに驚きの感情まで表現できてしまう”How come?”は日常会話では非常に使える表現だと思いませんか?実際のネイティブの会話を聞いても、”How come?”を頻繁に耳にします。

しかし、だからといって”How come?”を使いすぎてしまうとなんだか幼稚な印象を与えてしまいかねません。なにごともバランスが大切です。

本記事で”How come?”の正しい使い方や意味を覚えたら、ぜひ実際の会話で使ってみてください。自然に使いこなせるようになれば、ネイティブスピーカーから英語力を褒めてもらえること間違いなしです!