「ファイト!ゴールまであとちょっと!」
「ファイト~!できるできる!」

こんな風に応援するときに使う日本語のファイト。
外国で、また外国人には通じないって知っていましたか?
えっ?と思われた皆さん、ご心配なく。

この記事では、英語の「ファイト」の意味、ファイトの代わりに応援したいときに使えるフレーズ、またなぜ日本人は励ますときにファイト!と言うようになったのか、ひとまとめにして解説します。
さっそく、始めましょう!

英語で「ファイト!」は意味が違う?!

英語で「ファイト!」は意味が違う?!

冒頭でも述べましたが、私たち日本人が応援するときに言う「ファイト」が海外では使えない件。なぜか?

それは言葉を使うときの意味が違うからなんです。
意味が違う?ファイトはファイトじゃないの?そう思いますよね。

それでは解説しましょう。
日本語のファイトは頑張ってほしい相手にかける言葉であり、ファイトと言われた側は勇気づけらたり根性を出せたりします。子どもの運動会でも、紅組ファイト、白組ファイト!などと声がけすることがあります。

例えば、マラソン大会に出場する友達との会話をみてみましょう。
友達、いよいよスタート直前ということで完走できるのか不安になっている様子です。

Aさん
It’s going to start soon, I’m very nervous.
訳)もうすぐ始まる、すっごく緊張するよ~
Bさん
You’ve been training, don’t worry, you can do it!
訳)トレーニングしてきたんだから、大丈夫できるよ!
Aさん
I’ll do my best.
訳)がんばるね。
Bさん
Fight!
訳)ファイト~!

ナーバスになっている友達を励ますために「ファイト」を言い、言われたほうの友達もこの言葉をかけられることで「もうやるっきゃない」くらいに気持ちが切り替わる可能性があります。
この会話を英語にしたとき、ファイトにfightという単語が使われています。

そこで、fightの意味を辞書で確認してみましょう。
名詞→「(敵などとの)戦い・争い・格闘・けんか」、そして「(困難・病気などとの)闘い」、また口論、口げんか、けんか好き、闘争心
動詞→けんかする、戦う、対戦する、口論する、もめる

他にも、懸命に努力する、強い相手に対抗・奮闘するの意味ももちますが、主に戦うことを意味するんですね。

例文に戻りましょう。今回は外国人が理解する訳で違いを確認します。

Aさん
I’ll do my best.
訳)がんばるね。
Bさん
Fight!
訳)戦え~!/けんかだ~/口論だ~!

ケンカって、他のランナー達と戦うの?マラソンって自分への挑戦じゃなかった?!これがFight!と言われた外国人のリアクションです。喧嘩をふっかけるかのような攻撃的な声がけになってしまっていて、ボクシングや総合格闘技MMAの観戦だったら使えるかなという感じがあります。英単語fightは応援したい励ましたいとは異なるニュアンスをもっていること、日常会話で使う言葉とは言えない点に注目しなけばなりません。

これがネイティブが激励したり、元気づけるときに「ファイト」を使わない理由。実は、ファイトは和製英語なのです。

「ファイト」は「頑張れ」?

「ファイト」は「頑張れ」?

そもそも「ファイト」と声をかけるときの想いとはどんなものでしょう。きっと、応援する気持ち、後押ししたい気持ち、力づけたい気持ち、勇気づける気持ちなどがあるはずです。これらをまとめて「頑張れ!」になるのでしょう。頑張れという言葉はとても便利で、何かの発表会にでる子どもへ、または大切な試験や面接前の家族や知り合いなど多くのシチュエーションで使うことができます。

cheer for

応援するの意味をもつ単語にcheer(チア)があります。アメフトやラグビーなどの試合でポンポンを持ってチームを応援するcheerleader(チアリーダー)も関連する言葉になります。
I cheer for the rugby teamなら「そのラグビーチームを応援している」となって、お気に入りのチームがいることを表します。加えて、声を出して声援を送るという意味をもっていて、cheerは直接の知り合いでなくてもファンの立場として応援していることを言い表せます。

come on!

外国人が特にスポーツ観戦で頻繁に使うのがこのcome on!(カモン)です。ファイトに変わる「頑張れ」フレーズで、Go on!やLet’s go!も使われます。
スタジアムでなくても、イギリスであればパブでビールを飲みながらフットボールのプレミアリーグなどを見るサッカーファンが大声で「come on!」といっている光景は英国文化と感じる一コマです。頑張れと声援するとともに、しっかりしろ~!とゲキを飛ばしているイメージです。
なお、誰かがミスをしてガッカリしたときも「カモ~ン」でいけます。

「ファイト」と応援したいときは何と言う?

「ファイト」と応援したいときは何と言う?

家族でも友達でも彼らが努力して頑張っていること、目指しているものについて「ファイト」と応援したいとき、それでは英語ではどのような表現でその気持ちを表せばよいのでしょう。
ダイレクトに近くにいる人を応援できる短くて便利なフレーズがあります。以下、ファイトに当たる応援の英語を例文とともに紹介しましょう。スラングも登場します!

go for it

目標があり挑んでいる、何かを手に入れたいと努力している人に向かって使える応援フレーズがgo for itです。それを手に入れろ!的な表現になります。このようなフレーズがポンポン出てくるようなら、自分のコミュニケーション力もここまできた、生きた英語を話せていると実感するかもしれません。

Aさん
I’ve been thinking that I can go to London to study architecture.
訳)ロンドンに行って建築学を勉強することを考えているんだ。
Bさん
Go for it, life is short!
訳)頑張れって、人生は短いよ!

stick to it

何かにひっついて離れない、そんなイメージの英語フレーズです。stickが「くっ付ける・接着させる・貼る」という意味をもつことから、今やっていることが大変であってもこだわって頑張れ、諦めずにやり通せというニュアンスになります。

Aさん
I can’t make 1,000 suburi, I have a huge blister on my palm.
訳)素振り1,000本は無理だよ、手のひらに大きな水ぶくれできたよ 泣)
Bさん
Stick to it, nearly there!
訳)頑張って、もう少しだよ!

hang in there

「あきらめず頑張る」という意味のスラングです。お馴染みの表現にnever give upやdon’t give upがあります。こちらも絶対に諦めない、諦めないで頑張っての意味ですが、口語としてネイティブが使うのがこのhang in thereです。「かける・吊るす」の意味をもつhangを使い、そこから落ちずに踏ん張っているイメージで、困難なことであってもその状況に耐えて頑張るといった捉え方になります。
例えば、上ででていたマラソンの例です。あと1kmほどでゴールというとき、ここまでよくやった、ゴールはまじかだから頑張れ~といった状況でピッタリの応援フレーズがhang in thereです。

Aさん
You can do it, hang in there!
訳)できるできる、頑張れ!

You can do itを加えることで、その人、その人の可能性を信じていて絶対できるから大丈夫だよと気持ちがこの短いフレーズに込められています。

keep it up/keep going

頑張っていることを途中で投げ出さず、その調子で続けてという応援のメッセージです。どちらもkeep(~の状態を保つ・保持する)が使われています。keep it upはupの状態を下げずにキープするという捉え方、keep goingのほうはまさしく今の頑張りを保って頑張れのニュアンスになります。

Aさん
I’ve been going to the gym 4 times a week.
訳)週4でジムに行ってるんだ。
Bさん
keep going!
訳)その調子で頑張れ!

good luck

good luckはお馴染みのフレーズですね。「幸運を祈る」という意味ですが、英会話などではエールを送る応援「頑張れ」の意味で気軽に使われます。がんばれの英語で定番に間違いありません。

Aさん
Good luck on your grading!
訳)審査、頑張ってね!

なぜ日本語で応援するときファイト?

日本語で応援するときに「ファイト~!」でも、英語では通じないことを説明しました。
筆者はイギリスで剣道道場を運営し、メンバーだけでなくメンバーでない剣道家に会う機会が多くあります。国内そして国外の大会に同行することも多いのですが、そんなときに多国籍の外国人がチームメンバーを応援するときに「ファイトォ~!」と声援をおくります。そして、間違いなくそれは「がんばれ~」の意味として使われています。
外国でも日本文化の剣道であれば、外国人の使うファイトが日本人と同じ使われ方をしているんですね。

さて、筆者も日本語でなぜそういうのかファイトの由来を調べてみましたが、コレというものが見つかりませんでした。ごめんなさい。ボクシングなどの観戦からFight!→ファイト!となったのでしょうか。

まとめ

誰かを応援する際に「ファイト」と言っても外国人には通じないこと、またfightのもつ闘う、もめるといった意味を考えるとトラブルに巻き込まれる可能性さえあることがお分かりになったことと思います。
good luckからgo for it、そしてhang in thereまでニュアンスを理解してシーンにあった「ファイト」を使ってみてくださいね!