イディオムは慣用的な意味を持つ英語のフレーズを表し、英語の語彙力に大きく関わるものです。

この記事では、効果的にイディオムを覚えるコツや英会話でよく見かけるイディオムをお伝えしていきます。

イディオムってなに?

イディオムとは、特定のフレーズで慣用的な意味を成す英語を指します。

例えば日本語で言うと、親しい人や同僚に簡単な頼まれごとをした時「そんなの朝飯前さ!」と言ったりしますよね?

日本人の私たちは、「そんなの簡単なことだよ」と意味を理解できますが、言葉通りにとらえると、「自分が頼んだことが朝ごはんの前って……どういうこと??」と混乱してしまいますよね。

こうした「言葉通りの意味以外の使われ方をする表現」を「慣用的な表現」と呼びます。

また「そんなの朝飯前さ!」には英語に似た表現があり、「That’s a piece of cake.」が「そんなの朝飯前さ!」の意味になります。Piece of cakeの部分が「朝飯前」を意味しているわけです。

こうした、「いくつかの単語のまとまり」が「慣用的な表現を持っている」状態の英語をイディオムと呼ぶわけですね。

熟語との違いは?

イディオムを効率よくたくさん覚えるコツとは

イディオムと英熟語との違いは「慣用的な意味があるかどうか」だと言えます。

例えば英熟語は「Be used to ~」や「Get used to ~」(どちらも 「~に慣れる」 の意味)など、複数の英単語が組み合わさってひとまとまりの意味になります。

この点はイディオムと変わりませんが、英熟語とイディオムで決定的に違うのは「言葉通りに意味と全く違う意味になるかどうか」という点です。

前項で挙げた「朝飯前さ!」を意味する「Piece of cake」は、言葉通りに意味を連想すると「ひとかけらケーキ」です。

誰かに頼みごとをしたときに「それはひとかけらのケーキだよ!」と返されたら「え?」という感じで戸惑ってしまいますよね?

このように、イディオムを表す「慣用的な意味」とは、「全く別の言葉で、違う意味を表す熟語」を表すということです。

【注意】英語の参考書では区別しないことも

イディオムは英熟語の中でも慣用的な意味を持つものを指しますが、日本の英語の参考書では英熟語とイディオムを区別しないことが多いです。

なぜなら、英語と日本語とでは背景にある文化背景が違うので、ひと目では「ただの熟語」なのか「慣用的な意味の熟語か」を判別できないからです。

「本来はイディオム=慣用的な熟語だけど、実際に日本では熟語と同じような意味で使われているんだな」といった認識を持っていただければOKです。

イディオムを効率よくたくさん覚えるコツとは

イディオムを効率よくたくさん覚えるコツとは

イディオムを効率よくたくさん覚えるコツには以下のものがあります。

簡単に英作文をしてみる

覚えたいイディオムを使って簡単に英作文をしてみると効果的に覚えやすくなります。

なぜなら、いくつか自分で英作文をしているうちに、そのイディオムの「コアイメージ」を自分なりに持ちやすくなるからです。

英単語や英熟語を覚えるとき、日本語訳を覚えて満足してしまいがちです。しかし日本語訳を覚えただけでは、実際の会話や読解の時に見かけたときにスムーズに意味が出てこないことが多いです。

実際に英語を話しているネイティブスピーカーや英語の上級者は、その単語が持つ本質的な「コアイメージ」で英単語や英熟語を使っていて、イディオムにも同じことが言えるのです。

そこで、覚えたい英語表現を使って簡単に英作文をしてみることによって、「なるほど、実際に英会話で使うときは、こんなイメージで使われているのか」という感覚をつかむことができます。

やってみる英作文は簡単であればあるほど良く、気軽に3つくらい作ってみるのが良いでしょう。

文字通りの意味→実際の意味を連想 を繰り返してみる

イディオムの意味を覚える時に、文字通りの意味から実際の意味を連想してみるのも有効な手段です。

例えば「When pigs fly…」というイディオムは「絶対に起こりえないこと」を意味して使われます。

例:When pigs fly, I would pass the exam.(僕が試験に受かるなんてあり得ない。)

言葉通りに「When pigs fly, 」を訳すなら「豚が空を飛ぶとき、」の意味になりますが、実際はそんなことあり得ませんよね?

なので「豚が飛ぶことくらいに、~することはあり得ない」という意味で使われているわけですね。

このWhen pigs fly, を覚える際に、一度言葉通りに「豚が飛んでいる姿」を思い浮かべてみてください。そして、実際に「なんだこの状況、あり得ないぞ」と感じてみましょう。

そうすると、次にこの「When pigs fly, 」を見たときに、言葉通りに豚が空を飛ぶ姿がイメージとして頭の中に浮かび、「あぁ、これはありえないことを表しているな」と、本来の意味に変換されるようになります。

丸暗記で覚えるよりも、理由付けして意味を覚えられる効果的な手段です。

同じ意味の英単語に変換する

同じ意味の英単語に変換するのも効果的です。

これはイディオムだけでなく熟語を覚えるのにも同じことが言えます。

例えば「Turn down~(~を断る)」という熟語がありますが、これは「Reject」という英単語にそのまま置き換えることができます。

Turn down以外にも「Put off(延期する)」は英単語「Postpone」にそのまま置き換えられます。

こうして色々な言い方と結びつくことで、実際に長文や英会話で熟語やイディオムが登場した時に意味を思い浮かべやすくなります。英熟語やイディオムの意味が色々な要素に結びついている方が、頭が色々な回路を用いて意味を思い出してくれるイメージです。

英単語も一緒に覚えやすくなるのでおすすめです。

よく見るイディオムを例文+日本語訳とともにご紹介

よく見るイディオムを例文+日本語訳とともにご紹介

最後に英会話でよく見るイディオムを例文と日本語訳と一緒に紹介します。

a piece of cake:とても簡単なこと

Piece of cakeは「とても簡単なこと」を指すイディオム表現です。

Aさん
You won’t have any problems. The test will be a piece of cake.
(何も問題はないよ。テストは簡単だよ。)

また似た表現に「easy as pie」があるので併せて覚えておきたいですね。

Aさん
It’s as easy as pie for him.(彼にはこんなのたやすい事よ。)

When pigs fly…:ありえないこと、絶対に起こりえない出来事

When pigs fly…は「あり得ないこと」を言う時に使われるイディオム表現です。

Aさん
When pigs fly, I would pass the exam.(僕が試験に受かるなんてあり得ない。)

To feel under the weather:体調が良くない

To feel under the weatherは「体調が良くない」の意味で使われるイディオム表現です。

Aさん
I’m feeling under the weather today, so I am not going into work today.(今日は体調が悪いから仕事を休むよ。)

Spill the beans:秘密を漏らす

Spill the beansは「秘密を漏らす」の意味で使われるイディオム表現です。Spillは「(液体などを)こぼす」の意味で使われるので、Beans(豆=大切な中身)を漏らしてしまうイメージですね。

  • The newspapers spilled the beans on the scandal. (その新聞はスキャンダルを暴露した。)

hang in there : あきらめないで

Hang in thereは「あきらめないで」という意味で使われるイディオム表現です。

Aさん
Hang in there, Tom. I know you can do it.(トム、あきらめないで。あなたならできるよ。)

Not my cup of tea:好みじゃない、趣味じゃない

Not my cup of teaは「好みじゃない、趣味じゃない」を意味するイディオム表現です。

Aさん
Karaoke is not my cup of tea, but I’d love to watch a movie.(カラオケは好みじゃないの。でも映画は見たいかな。)

まとめ

この記事では、英語の語彙力に大きく関わり、英語の表現力をグッと豊かにするイディオム表現についてお伝えしました。

ここまでお読みのあなたは、効果的にイディオムを覚える方法を駆使して、英会話で使われる小粋な慣用表現を使って英語の表現力を豊かにする方法をしっかりと理解していることでしょう。

この記事でお伝えしたことが、あなたの英語学習をより加速させられれば幸いです。