人類最大の敵である「死」について、その表現の仕方は文化によって様々ですが、かなりデリケートで繊細な表現であることは確かです。失礼のないように備えておきましょう。
今回は「死ぬ」を表現する英語の代表格から、相手の気持ちを重んじる表現までまとめていきます。
「死ぬ」を表す英語の代表格:die / dead
「死ぬ」と聞くとdie、dead、deathが頭に浮かぶと思います。これらは「死」を表す直接的な言い方です。ここでそれぞれの使い方を確認した後、続きの丁寧な言い方も学習してくださいね。
die:動詞
時制によって形が変わるので、先に覚えましょう。
- 三単現:dies
- 過去形・過去分詞形:died
- ing形:dying
現在形で表現するのは新聞の見出しくらいで、基本的には過去形を使います。
My grandfather died last year.
訳)おじいちゃんは去年死んだ。
何かの理由で死ぬ場合は、die of/die fromを使います。
He died of a cancer.
訳)彼はがんが原因でなくなった。
be dying to 動詞 / for 名詞 は「~で死にそう」または「~したくてたまらない」という表現ができ、日常会話の中でも聞こえてくる機会が多いので、自分で言えるようになるとかっこいいですね。
I am dying to see him.
訳)彼に会いたくてたまらないの!
I am dying to eat natto.
訳)納豆が食べたくてたまらない。
dead:形容詞
シンプルに死んでいる状態を表します。be動詞もしくは名詞のうしろにおきましょう。
I really hate to see the dead insects.
訳)死んだ虫を見るのがマジで耐えられない。
She has been dead for 7 years.
訳)彼女が死んで7年になる。
the + 形容詞で「形容詞のような特徴を持った人の集団」を表すことができるので、the dead というと、亡くなった人たちの集団を表すこともできます。
They believe that the dead will be raised by God.
訳)彼らは死んだ人たちが神によって生き返らされることを信じている。
death:名詞
「死」という名詞を表すときに使います。主語になったり、前置詞の後ろについたりします。
Death is the enemy.
訳)死は敵だ。
Some children are terribly afraid of their parants’ death.
訳)子供たちの中には、自分の親が死ぬことをひどく恐れている子もいます。
もっと丁寧に「死」を表現したいときに使える8つの表現
日本語でも「○○さんが死んだ」と言うと冷たく聞こえるので、「○○さんが亡くなった」と言い換えるように、英語でも死については丁寧な表現がいろいろあります。
passed away
「亡くなった」と丁寧に言う表現で、これを知っていればどの場面でも対応できます。
I am sorry to hear your father passed away.
訳)お父様がお亡くなりになったと聞いてとても残念です。
lose ○○
loseは「なくす」という意味で、ものをなくしたり、道に迷ったりするときに使うことが多いのですが、「人を亡くす」という意味でも使えます。
I lost my father in an accident when I was 4.
訳)私が4歳の時に、父を事故で亡くしました。
decease
「終える」という意味の動詞です。かしこまったところで使われることが多い表現です。
Following the will of the deceased the funeral was attended only by close friends and relatives.
訳)個人の遺志により、葬儀は近しい友人と家族のみで行われました。
○○ is gone
文法を勉強された方であれば、「受け身?行かれた?」と疑問に思うかもしれませんが、日本語でいう「逝く」という意味になります。
goneはgoの過去分詞なのですが、行ったまま帰ってこない状態を表します。
Both maternal and paternal grandparents are gone.
訳)母方も父方も、祖父母は亡くなっています。
○○ is no longer here
no longerで「もはや~ない」というイディオムです。したがって、no longer hereで「もはやここにはいない」という意味になり、転じて「亡くなった」となります。しかし、本当にその場にいないだけの場合もありますから、文脈がわからない場合には確認してくださいね。
I can’t believe that my sweet darling is no longer here.
訳)私の愛しい人がもうここにいないなんて、信じられない。
○○ is not with us anymore
一つ前の表現と似ていますが、「○○さんは私たちとはもう一緒にいない」という意味が転じて「亡くなった」となります。ただ、これも実際にその場にいないだけの場合もありますから、ちゃんと詳細を確認しましょう。
How is John doing?
訳)ジョンはどうしてる?
Ummm, actually, he is not with us anymore.
訳)えっと、実は、彼、亡くなったんだ。
Wait, what happened?
訳)待って、何があったの?
breath one’s last breath
直訳すると、「最後の息をした」という意味です。日本語で言うと「息を引き取った」が対になりますね。take his last breathという似た表現もあります。
Our pet, Joe, has breathed his last breath.
訳)私たちのペット、ジョーが息を引き取りました。
late
最後は「今は亡き〜 / 亡くなった〜」と言いたいときに使える表現です。
My late father was a wonderful, thoughtful and charming guy.
訳)亡くなった父は、思いやりがあって、魅力的な素晴らしい人でした。
「死ぬ」のスラング
kick the bucket という表現も「死ぬ」に相当するんだ、ということをどこかで聞いたことがある方もいるでしょう。この表現は直訳すると、「バケツを蹴る」という意味です。
所説ありますが、これが「死ぬ」とつながった由来は、自死で首吊りの方法を使う場合、何かの台の上に立ち、紐に首を通した後、台を蹴って自分の首が閉まるようにするところからきているという説があります。
スラングとして使いますから、場面にはよく気を付けましょう。
When I kick the bucket, you can sell this house and the mountain.
訳)ワシがくたばった時には、この家も山も売り払って構わん。
この表現からきている bucket list というイディオムもあります。こちらは普通に日常会話でもよく使う表現で「死ぬまでにやりたいことリスト」という意味になります。
What’s on your bucket list?
訳)バケットリストには何があるの?
Climb the highest mountain in each of the 47 prefectures.
訳)47都道府県のそれぞれ一番高い山をすべて制覇するの!
相手の気持ちを尊重しながら話すのは全世界共通!
日本語でも、「死ぬ」という表現よりも、「亡くなった」や「他界した」という表現の方がよく使われるのと同じように、英語でも「死」は丁寧に扱う話題です。
英語に丁寧語はあるのか、という話題になることもありますが、どんな言語にも相手の気持ちを思いやりながら話す表現はあります。
知らなければ調べたり、素直に聞いてみたりして、失礼のないようにしていきましょう。