「茶色」とは読んで字のごとく「お茶の色」のこと。お茶とひとくちに言っても、そこには緑茶から紅茶までさまざまなものがあり、それに応じて「抹茶色」や「赤茶色」など、茶色を表す日本語には色々な種類があります。
では、英語の場合はどうなんでしょう。日本語と同じだけの種類があるのか、それより多いのか少ないのか、そもそもそれらは「茶色」なのか…。
ということで、今回のテーマは「茶色」。英語で茶色を表す種類を詳しく確認していきましょう。
これを読めば、日本語と英語の茶色の見え方の違いがわかること間違いなし。
それでは、早速始めていきましょう!
「茶色」は英語で何て言う?
皆さんご存知の通り、「茶色」は英語で “brown(ブラウン)” と言います。しかし、brown が表すのは実際のところ「お茶」の色ではありません。
brown はゲルマン語由来の言葉で、語源を遡ると「熊」を表す bear に行き着きます。つまり、brown は茶色というより「熊色」なんです。同じ色を見ているにも関わらず、日本人の脳裏にはお茶が、英語圏の人々の脳裏には熊が居ると思うと、ちょっと面白いですよね。
Japanese brown is derived from “tea”, but English brown is from “ bear”.
訳)日本語の茶色は「お茶」に由来するけど、英語の茶色は「熊」に由来するんだね。
The same color evokes different images. It’s interesting.
訳)同じ色が違うイメージを呼び起こす、それって興味深いね。
ちなみに、濃い茶色の場合は dark brown(ダークブラウン)、薄い茶色の場合は light brown(ライトブラウン) と言います。もう少し細かい言い分け方については、後で詳しく確認していきます。
「茶色」はなぜ「緑」じゃないのか
ここで閑話休題。そもそもなぜ日本語の茶色が緑じゃないのか、その理由を明らかにしておきましょう。
日本人にとって「お茶」といえば「緑茶」ですよね。しかし、それは恵まれた現代の日本人にとっての話であって、昔の庶民が飲んでいたのは主に「番茶」でした。番茶は摘み残って硬くなった茶葉を煮出して使うため、煎茶に比べて色が黒ずみます。そのため、当時の人々にとっての「茶色」は煎茶の緑とは程遠い色だったんですね。
その後、日本人の生活水準が向上して誰もが緑色のお茶を飲めるようになってからも、当時の名残りから「茶色」は英語で言う brown を表し続けています。なんとも不思議な話ですね。
「茶色」に関連する色を英語で言ってみよう
「茶色」とひとくちに言っても、そこには淡い茶色から深い茶色、はたまた「抹茶色」などの変わり種まで、たくさんの種類が存在します。
ここでは、それらの茶色を英語で何と表現するか、詳しく確認していきましょう。
「栗色」in English
「栗色」は英語で “chestnut brown(チェスナットブラウン)” か “maroon brown(マルーンブラウン)” と言います。
chestnut と maroon はどちらも栗を表しますが、厳密にはそのサイズと色合いが異なります。chestnut は小ぶりで黄みがかった茶色をしていて、maroon は大ぶりで赤みの強い茶色をしている栗です。その結果、同じ栗色でも、maroon brown の方が chestnut brown より濃い色を指して使われます。
また、由来こそ「栗」ではないものの、栗毛の馬の色に由来する “sorrel(ソレル)”、椰子(ヤシ)の実の色に由来する “coconut brown(ココナッツブラウン)” なども、日本語の栗色に近い色を表します。
「赤茶色」in English
「赤茶色」は英語だと “reddish brown(レディッシュブラウン)” と表現するのが一般的です。reddish は「赤(red)っぽい(ish)」ということなので、reddish brown はそのまま「赤っぽい茶色」という意味を表します。
また、reddish brown より赤が強い色を指す場合は “brick red(ブリックレッド)” と言います。brick は「レンガ」という意味。もはや brown というより red 寄りですが、色の系統としては近いです。
そして、reddish brown より茶が強い色の場合は “mahogany brown(マホガニーブラウン)” という表現もあります。mahogany とは高級木材のこと。アンティーク家具などに使われるような、深く暗い赤茶色を表します。
「橙色」in English
もはや茶色というよりオレンジ色、そんな「橙色(だいだいいろ)」はそのまま “orange(オレンジ)” と表すのが正解です。そもそも橙というのはミカンの一種なので、当たり前といえば当たり前ですね。
そして、橙色を更に薄くした「薄橙色(うすだいだいいろ)」は、英語だと “pale orange(ペールオレンジ)” と言います。pale は「青白い、薄い」という意味なので、pale orange で「薄いオレンジ色」、まさに薄橙色と同じ構成ですね。
ちなみに、薄橙色という響きに馴染みがない人もいるかもしれませんが、これはかつて「肌色」と呼ばれていたのと同じ色です。国際社会になった現在、肌の色は人種によってさまざま。その結果、肌色と1色にまとめるのは不適当だということで、「肌色⇒薄橙色」と呼称が変化したようです。
「抹茶色」in English
もはや茶色というより緑色の仲間である「抹茶色」は、日本独特の色合いなため、”matcha green(マッチャグリーン)” という表現が英語でも通じます。
先述の通り、現在の日本語における「茶色」は、番茶の影響で brown を表します。しかし、現在では誰しもが抹茶色のお茶を飲めるようになったことから、数百年後の「茶色」は green を指す言葉になっているかもしれません。
ちなみに、「抹茶」の字に引きずられて “green brown” などと言うと、緑色と茶色が混ざり合った、よくわからない色を表すことになるので注意してください。
まとめ
今回は、「茶色」を表す英語表現について詳しく確認してきました。
単純な茶色は英語で “brown” ですが、その色合いに応じて、さまざまな表現が存在します。今回紹介した茶色を改めてまとめると、以下のようになります。
栗色 | chestnut brown |
maroon brown | |
sorrel | |
coconut brown | |
赤茶色 | reddish brown |
brick red | |
mahogany brown | |
橙色 | orange |
薄橙色 | pale orange |
抹茶色 | matcha green |
また、日本の茶色は番茶の色に由来し、英語の brown は熊の毛色に由来しており、同じ色ながら別々のイメージを持っています。あらためて身の回りを見回してみて、色からどんなイメージを受けるか考えてみると、世の中の見え方が変わってくるかもしれませんね。
今回ご紹介したことを参考に、さまざまな茶色を英語でも表現していきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!