日本語の「受け入れる」という言葉は、「プロポーズを受け入れる」というポジティブなものから、「批判を受け入れる」というネガティブなものまで、幅広い意味で使うことができます。

しかし、英語の場合はどうでしょう。同じように1つの表現で事足りるのか、ニュアンスに応じて表現が異なるのか、気になりますね。

ということで、今回のテーマは「受け入れる」です。

「受け入れる」を表す代表的な表現をいくつか取り上げ、それぞれの意味やニュアンスについて、語源や由来を交えながら深掘りしていきます。

これを読めば、状況に応じて適切な「受け入れる」を表現できるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

「受け入れる」を表す7つの単語

「受け入れる」は英語で何て言う?

「受け入れる」とひとくちに言っても、そのニュアンスはさまざま。ここでは、特に代表的なものとして、以下の7つの表現を取り上げます。

  • accept
  • receive
  • admit
  • welcome
  • adapt
  • take
  • face the music

これらは「受け入れる」という意味では共通していますが、1つひとつ異なったニュアンスを持っています。

それでは、語源や由来、実際の使用例文などを交えつつ、詳しく確認していきましょう。

“accept”の使い方と例文

「受け入れる」という意味で幅広く使えるのが “accept” です。発音記号は「æksépt」、カタカナだと「アクセプト」となります。

「事実を受け入れる」「感情を受け入れる」「人を受け入れる」など、いろいろな意味で使われます。

Aさん
Japan accepts many inbound travelers now.
訳)日本は今、多くのインバウンド旅行客を受け入れています。

accept を分解すると「ac(≒ad「~の方へ」)+cept(受け取る)」という構造になっていて、「前向きに受け取る⇒受け入れる」というのが原義です。

そのため、もともとはポジティブに受け入れることのみを表していたようですが、現代英語ではポジティブからネガティブまで、あらゆる受け入れを表すことができます(本音と建て前はあるかもしれませんが…)。

Aさん
I must accept thigs as they are.
訳)現状をそのまま受け入れなければいけない。
Bさん
Is that your honest opinion?
訳)それは君の本音かい?

 

ちなみに、ac- の部分を「離れる」を表す ex- に変えると “except(除外)” になり、「一緒に」を表す “con-“ に変えると “concept(考え、概念)” になります。

このように接頭辞や接尾辞などのパーツで英単語を理解すると、ボキャブラリーが効率的に増えていくのでおすすめです。

Aさん
I want to accept all concepts except evil ones.
訳)悪い概念以外はすべて受け入れたい。
Bさん
You packed those words in one sentence so tightly!
訳)ぎゅうぎゅうに詰め込んだな!

“receive”の使い方と例文

“receive” は、来たものをそのまま受け入れることを表します。発音記号は「rɪsíːv」、カタカナだと「リシーヴ」です。

receive を分解すると「re-(後ろで)-ceive(受け取る)」となっています。accept に比べると、前向きに受け入れに行くというより、近づいてきたものを自動的に受け取るようなイメージです。

テニスやバレーなどの球技で返球することも receive と言いますが、あのような待ちの姿勢を想像してもらうとわかりやすいでしょう。

Aさん
I received his suggestion.
訳)私は彼の提案を受け入れました。

なお、receive は単に「受け取る」だけなので、その後で突っぱねる可能性もあります。

Aさん
I received your suggestion yesterday, but I can’t accept it.
訳)昨日あなたの提案をいったん受け入れたけど、やっぱり無理。
Bさん
Have a heart!
訳)ひどい!

“admit”の使い方と例文

“admit” は、認めてから受け入れることを表します。発音記号は「ədmít」、カタカナだと「アドミット」です。

admit を分解すると「ad(~の方へ)mit(送る)」となっていて、特に「(何かを)許可して中に入れる」という意味を表します。イメージとしては、学校の入試が近いです。試験の結果をよく吟味し、合格点を取った(認められた)学生だけが学校内に受け入れられます。

Aさん
This high school admit about 1,000 students every year.
訳)この高校は、毎年およそ1,000人の学生を受け入れます。

ところで、私たちはポジティブな情報は無批判に受け入れがちな一方、ネガティブな情報はあれこれ吟味してから受け入れることが多いですよね。

そのため、admit はどちらかというと、認めたくないけど認めざるを得ない、ネガティブな事実を受け入れる際によく使われます。

Aさん
I couldn’t admit my mistake easily.
訳)私は自分の間違いを簡単には認めることができませんでした。

“welcome”の使い方と例文

「ようこそ」という意味で有名な “welcome” は、喜んで受け入れるという意味の動詞として使うこともできます。念のため、発音記号は「wélkəm」、カタカナだと「ウェルカム」です。

welcome は「wel(≒will「望み」)+come(来る、来客)」という構造になっていて、待ち望んでいた来客を出迎えることを表します。

Aさん
My parents always welcome what I say.
訳)私の両親は、私が言うことをいつも喜んで受け入れてくれます。

そこから、来客以外に対して使う場合も、喜んで前向きに受け取ることを意味するようになりました。両手を広げて笑顔全開で受け入れるイメージです。

基本的に無批判に受け入れるため、先ほどの admit とは真逆の態度だといえます。

“adapt”の使い方と例文

“adapt” は、新しいことに適応して受け入れることを表します。発音記号は「ədˈæpt」、カタカナだと「アダプト」です。

adapt を分解すると「ad(~の方へ)+apt(≒opt「選ぶ」)」という構造になっていて、1つひとつ何かを選んで進んでいく様子を表します。

そこから、adapt は物事に「適応する」「順応する」という意味になり、文脈によっては、新しいことなどを受け入れるという意味でも使われます。

Aさん
I’m adapting the new life in New York.
訳)ニューヨークでの新生活を徐々に受け入れているところです。

adapt が他の「受け入れる」を表す単語と違うのは、徐々に受け入れていく点。そのため、「すぐに受け入れる」という意味で使うと違和感があるので注意しましょう。

“take”の使い方と例文

「取る」という意味で有名な “take” は、「受け入れる」という意味で使うことも可能です。

take は基本単語として、幅広い意味を一手に表すことができます。そのため、ここまで色々な「受け入れる」を表す単語を紹介してきましたが、take はそのほとんどのニュアンスを表せてしまうんです。

Aさん
This hospital is willing to take foreign patients.
訳)この病院は外国人の患者を喜んで受け入れます。

「じゃあ take だけでいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、take は意味が幅広過ぎて、正確なニュアンスが伝わりづらいのが玉に傷。

そのため、「積極的に」「吟味して」「徐々に」など、伝えたいニュアンスが決まっている場合は、ここまでにご紹介した表現を使った方がスムーズですよ。

“face the music”の使い方と例文

最後に、ちょっと特殊な表現として “face the music” をご紹介します。

face the music を直訳すると「音楽と向き合う」となりますが、実際は「自分が招いた(悪い)事実を受け入れる」という意味を表します。

一説には、オーケストラが観客のブーイングに負けずに演奏に向き合うことから生まれた表現だと言われています。「結果が賛辞と非難のどちらだろうと、音楽に向き合う続けることが大切」、なんともかっこいい言い回しですよね。

Aさん
It’s time to face the music.
訳)さあ、報いを受け入れるべき時が来た。

さまざまな「受け入れる」の表現

さまざまな「受け入れる」の表現

「受け入れる」は、人や物、シチュエーションによって使い方が変わります。

ここでは、よくある表現を例とともに分かりやすく紹介します。

自分や相手を受け入れる

ここでは自分や相手を受け入れる、またその性格や事情を理解すると表現する際の例をご紹介します。

Accept myself for who I am

「(ありのままの)自分を受け入れる」という意味のフレーズです。

Aさん
I’m trying to accept myself for who I am and be proud of myself.
訳)ありのままの自分を受け入れ、自分自身を誇れるように努力しています。

Be comfortable in my own skin

“be comfortable”は「〜に満足する」、”in my own skin”は「ありのままの自分」という意味です。

Aさん
You’re beautiful just the way you are. You should learn to be comfortable in your own skin.
訳)ありのままのあなたは素晴らしいよ。 自分を受け入れて、もっと自信を持ってね。

Love yourself, warts and all

また「自分を受け入れる」ということわざには、このような表現もあります。

“wart”の意味は「いぼ」ですが「欠点」や「短所」という意味も含まれます。

Aさん
Everyone has flaws, but it’s important to love yourself, warts and all.
訳)誰もが欠点を持っているけれど、欠点も含めて自分自身を受け入れることが大切です。

相手を受け入れる

人に対しては”accept”や、喜んで受け入れるという意味の”embrace”を使って表現します。

Accept the other person 

Aさん
By accepting the other person enabled us to find a solution that works for both of us.
訳)相手を受け入れることで、お互いにとって良い解決策を見つけることができました。

性格や過去などの相手の事情についても、”accept”が使いやすいです。

Aさん
I accept your past and I’ll always be on your side.
訳)あなたの過去を受け入れるし、これからもずっとあなたの味方だよ。

Embrace the other person 

“embrace”は「歓迎する」「喜んで受け入れる」など、”welcome”とよく似た意味で使われます。

Aさん
I embrace the challenge.
訳)私はその挑戦を喜んで受け入れます。

意見を素直に受け入れる

「相手の考えや主張を受け入れる」と表す際のよくある事例は以下のとおり。

Accept the criticism without complaining

“without complaining”を使って、「言い返すことなく指摘を受け入れる」という意味になります。

Aさん
He accepted the criticism by his boss without complaining.
訳)彼は上司からの批判に反論することなく受け入れた。

Be open to

何に対しても、オープンに「受け入れる」という意味で使われます。

Aさん
I’m always open to new ideas.
訳)常に新しいアイデアを受け入れています。

Be open-minded

“Be open to”と同じ意味で、日常会話でよく使われます。

Aさん
I try to be open-minded to different perspectives.
訳)私は、様々な視点に対してオープンです。

Take suggestions on board

「提案を受け入れる」という意味で、日常から仕事まで使える表現です。

Aさん
I’ll take your suggestions on board and come up with a new plan.
訳)ご提案を参考に、新しいプランを考えさせていただきます。

ビジネスの場で使える「受け入れる」の表現

まとめ

ビジネスシーンでは、「受け入れる」という表現が様々な場面で使用されます。

ここでは、丁寧なニュアンスを含んだビジネス英語での「受け入れる」表現をいくつかご紹介します。

承知しました

上司や先輩から頼まれごとや、顧客からの依頼を受け入れる際に「承知しました」という場合は、以下のフレーズを使いましょう。

Bさん
Can you make some proposal plans for A company?
訳)A社向けに、何個かの提案書を作成してもらえますか?
Aさん
Noted.
訳)承知しました。
Aさん
Understood.
訳)了解しました。
Aさん
I will take care of it.
訳)承知しました、対応いたします。

ご承諾いただきありがとうございます

承諾をもらうことは、自分の意見や提案を「受け入れてもらう」ことです。

その場合には、以下の表現を使います。

  • We appreciate your approval.
  • Thank you for giving your consent.
Aさん
Regarding the proposal I made, have you come to a decision?
訳)提案させていただいた内容で、ご承諾いただけますか?
Bさん
Yes, we have decided to accept your proposal.
訳)はい、よろしくお願いいたします。
Aさん
Thank you for your approval. We look forward to working with you in the future.
訳)ご承諾いただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

真摯に受け止めます

顧客や上司からのクレームや指摘を受けたときに使えるのは、以下の表現です。

  • I will take it very seriously.
  • I will take it into consideration.
Aさん
I apologize for my mistake. I will take it very seriously.
訳)ご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。真摯に受け止め、改善に努めます。
Aさん
I appreciate your feedback and we will take it into consideration.
訳)貴重なご意見ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。

まとめ

今回は「受け入れる」を表す英語表現について、詳しく確認してきました。

「受け入れる」と一括りに言っても、そこにはさまざまなニュアンスがあります。今回ご紹介したことを参考に、状況に応じて適切な「受け入れる」を表していきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。