仕事をしていると、「イレギュラーな業務」や「イレギュラーな対応」という言葉をよく耳にしますよね。
通常とは違う業務を頼まれたり、思わぬトラブルに見舞われたりしたときに使われる表現ですが、意味や解釈を正しく理解できているでしょうか。
「イレギュラー」のように、ビジネスシーンで多用されるカタカナ語は、英語に由来したものが多く、本来の意味とは違った解釈のまま使用されていることも少なくありません。
今回は、ビジネスシーンでよく見聞きするカタカナ語「イレギュラー」について、英語”irregular”の意味と使い方に加え、知っておくと便利な類義語と対義語を紹介していきます。
「イレギュラー」とは
「イレギュラー」とは、英語の”irregular”に由来したカタカナ語です。
「不規則であるさま」や「変則的であるさま」、また「不正なこと」や「非正規なこと」などを意味します。
通常通りのことや正式なことなどを「レギュラー」といいますが、その反対の意味を表すのが「イレギュラー」です。
ビジネスにおける「イレギュラー」
突発的に起きたトラブルや緊急の案件など、仕事には以下のような「イレギュラー」がつきものです。
・急なスケジュール変更
・突然の人事異動
・機器の故障
・システム障害
・納期の遅れなど
ビジネスにおける「イレギュラー」は、通常とは違う想定外の出来事やトラブルなどに対して用いられます。
「イレギュラー」と発言する際には、周囲の人々や関係者へ誤解や失礼がないように、言葉の意味をしっかり理解したうえで正しく使わなければなりません。
人に対する「イレギュラー」
「イレギュラー」は、ビジネスだけでなく人に対しても使われることがあります。
この場合、「特別な」「貴重な」という肯定的な意味を示すこともあれば、「普通ではない」「変わっている」といった少し否定的なニュアンスが含まれることもあります。
「イレギュラーな人」「イレギュラーな存在」という表現は、状況や文脈によって意味が真逆になってしまうため注意しましょう。
”irregular”の意味
「イレギュラー」の語源である”irregular”は、「不規則な」「不定期な」「非正規の」などを意味する英語です。
辞書では以下のように定義されています。
カタカナ語の「イレギュラー」とほぼ同義ですが、形容詞と名詞の2つの用法があるのでしっかりおさえておきましょう。
【形容詞】
- of behaviour or actions not according to usual rules or what is expected
通常の規則や期待に沿わない行動や行為- not obey the usual rules for words in the language
その言語の単語の通常の規則に従わないこと- not regular in shape or form
形や形態が規則的ではないこと- not happening at regular times
定期的に起こらないこと【名詞】
- not as a member of its official army
正式な軍隊の一員ではないこと
上記の定義のすべてに否定の”not”がついているのがポイントです。
”irregular”は、特定の規則やルール、習慣、行動パターンから逸れているさまを強調します。
そのため、日本語では「不規則な」「不法な」「不定期な」「不測な」などと、否定的に訳されることが多いです。
形容詞としてだけでなく、名詞としての意味も持っているので正しく使い分けられるようにしておきましょう。
”irregular”を使った例文
”irregular”を使った例文を紹介します。
形容詞と名詞の2つの用法に分けた例文を参考に、正しい使い方を確認しましょう。
【形容詞】不規則な、不定期な、不揃いな
以下の2つの例文では、不規則な様子、不定期な状態を表しています。
訳)システムのシャットダウン方法に異常があった場合、画面にこのようなメッセージが表示されます。
訳)空港職員は1日3回、不定期に滑走路を点検します。
次の2つは、形や見た目の特徴を表現しています。
訳)わたしは医師の乱雑で不規則な筆跡に見覚えがありました。
訳)こうしたでこぼこの海岸線には、手つかずのビーチや人里離れた入り江がたくさんあります。
【名詞】不規則なもの、非正規の軍
頻出ではないですが、名詞として使われるときの表現もしっかりおさえておきましょう。
訳)彼はより強力な勢力と戦う非正規軍の一員です。
訳)彼らは非正規兵であり続けなければなりません。
”irregular”の類義語と対義語
最後に、”irregular”の類義語と対義語を紹介します。
”irregular”と同じ意味を持つ単語と、反対の意味を持つ単語、それぞれをしっかり覚えておくことで、いざというときに間違えずに使えるようになるでしょう。
”irregular”の類義語
「不規則な」「不定期な」という”irregular”と同じような意味を表す単語には以下のようなものがあります。
- variable(変わりやすい、変動できる、不定の)
- occasional(時折の、特別な、臨時の、予備の)
- uneven(平らでない、不規則な、むらのある)
- broken(不安定な、定まらない、でこぼこの)
- unconventional(慣例に従わない、型にはまらない)
- unusual(普通でない、異常な、珍しい)
いずれの単語も、規則通りでなく変わりやすいさま、または形や位置が均一でないさま、普通とは違っているさまを表します。
”irregular”の対義語
”irregular”の頭についている”ir-”は、否定を意味する接頭語です。
”ir-”(否定)+ ”regular”(規則的な)= ”irregular”(不規則な)となります。
したがって、”irregular”は、”regular”と同じ意味合いであると考えるとわかりやすいですよ。
- regular(規則正しい、規則的な、定期の)
- steady(安定した、不変の、一様の)
- methodical(整然とした、規則正しい)
- even(平らな、凹凸のない、一様な)
- conventional(慣習的な、型にはまった、通常の)
- usual(いつもの、普段の、通常の)
まとめ
日常会話だけでなく、ビジネスシーンでもよく見聞きするカタカナ語「イレギュラー」について、英語”irregular”の意味と使い方と、知っておくと便利な類義語と対義語を紹介しました。
「イレギュラー」は、英語の”irregular”から来たカタカナ語です。
「不規則であるさま」や「変則的であるさま」、また「不正なこと」や「非正規なこと」などを意味します。
英語”irregular”は、特定の規則やルール、慣習などから逸れているさまを強調する際に用いられます。
形容詞として使われることが多いですが、名詞としての用法も一緒に覚えておくと役立ちます。
カタカナの「イレギュラー」には、否定的な意味合いも含まれることを忘れずに、適切な状況・文脈で正しく使うようにしましょう。
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