英会話のスキルと仕事を結びつけたいと考える人は多くいます。また、資格を取ることを学習の励みにする人もいるでしょう。
ところで、英会話の資格にどのようなものがあるかご存知ですか?
この記事では、英検やTOEIC以外にもある英会話の資格について紹介します。将来のために資格取得を考えていらっしゃる人はぜひご参考にしてください。
英会話は資格取得に役立つ?
英語の資格ではリーディングやライティングを中心としたものがあります。
一方で、スピーキングやリスニングスキルを求められるものがあります。後ほど紹介しますが、例えば、国際資格のIELTSやTOEIC Bridge test、ビジネス通訳検定や観光英語検定など幅広く揃っています。英語4技能が必要とされる幼児教育・保育英語検定でもスピーキングとリスニングが避けられません。
どの資格を受験するかは当然、個人の目的によって選択されます。高校入試や大学入試、就職で有利になるような英語の資格を目指すのもいいですし、ビジネス英語や英語に加えて国際情勢の知識を問われる英語試験を取るのも、自分の目的に合っていれば、おすすめです。
しかし、スピーキングやリスニングスキルを必要とするものを取得することで、プライベートやビジネスで資格を活かせることが大いにあります。スピーキングやリスニングは、ある程度の期間、トレーニングを積まないと成果が上がりません。子供の頃からスピーキングやリスニングに慣れ親しんでおらず、中学生以降にスピーキングやリスニングを伸ばす必要性が生じた場合は、オンライン英会話を試してみてはいかがでしょうか?
英会話が活かせる資格
スピーキングやリスニングのスキルが求められる英会話が活かせる資格は数多くあります。皆さんの今後の選択のためにも、ここで各資格を紹介します。スピーキングとリスニングが求められるものに限定し、それらを国内資格と国際資格に分けてみてみましょう。
英会話が活かせる国内資格一覧
英検
国内で最大規模で行なわれる英検(実用英語技能検定)では5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級の7つの級が設定され、小学生から社会人まで幅広い人を対象とした試験となっています。日常会話からビジネスまで使える英語が求められます。
英検は英語4機能のレベルがチェックできる試験になっており、高校受験、大学受験、就職でも、英検の資格を持っていると加点されるので、学生から社会人まで受験者数がますます増えています。
高校受験の場合は、3級以上で加点される学校もありますが、東京都の都立高校受験では、準2級以上が加点対象になります。大学受験については、英検2級以上を加点対象としている大学が多いです。2級A以上取得で申請できる大学や学部もあります。近年、「読む、聞く、書く、話す」の4技能が揃っていないと、合格しづらい試験になってきています。
国連英検
国連英検は「国際連合公用語英語検定試験」が正式名称で、外務省の後援を受け日本国際連合協会が主催しています。世界平和や政治・経済など国際時事問題をテーマに、国際人として基本的な英語力を身につけているかを測定します。
国連英検は、主に国連の職員採用試験や、国際機関での就職・昇進などにおける英語能力を評価するために利用されます。E級、D級、C級、B級、A級、特A級の6つのレベルに分かれています。C級まではリーディングとリスニングのみ、B級はそれにライティングが加わり、A級と特A級ではさらに面接によるスピーキングテストも行われます。
国連英検は、名称に「英検」と付いていますが、先に紹介した英検とは試験内容が異なります。英検は日常生活における英語力を測定するのに対して、国連英検では国連関係の時事問題や国際情勢に関する問題が出やすく、時事英語についても問われます。英語力に加えて、国際情勢に関わる知識も必要となることから、国連英検は階級が低くても難易度が高い試験だと言えます。
ビジネス英語が使えると判断されるのは、「国連英検B級」以上です。国連英検は、英検ほど受験者数が多くないですが、英語以外に、国際時事問題も学んでいる人は受験してみると良さそうです。
日商ビジネス英語検定
「日商ビジネス英語検定」は、日本商工会議所が主催するビジネス英語の能力試験です。日本商工会議所は、「日商プログラミング検定」などの試験も主催しています。
ビジネスシーンにおける英語でのコミュニケーション能力を測定するために設けられている試験です。
日商ビジネス英語検定は、2003年に誕生した試験ですが、2023年に大きくリニューアルされました。それまでは、主貿易書類や英文レターなどの定型に沿って「書く力」を重点的に評価するテストでした。しかし、より実践的なビジネスの場でのコミュニケーション能力を身に付けたいというニーズの変化から、「即答力」を重視したテストに変更され、リーディングに加えて新たにスピーキングとリスニングの問題が導入されています。
2023年のリニューアルに関して、日本商工会議所は、「時代に合わせてリニューアル」と公式ウェブサイトで公表していますが、実用英語技能検定などで、英語4技能が重視されていることに影響を受けて、行われたのかもしれません。英語の4技能が測定できる試験に変更されましたし、ビジネスシーンにおける英語でのコミュニケーション力が測定される試験なので、受験してみるといいかもしれません。
英語応対能力検定
日本のホスピタリティを英語で表現し、訪日外国人に対応するための英語力を判定する資格です。接客英語とも捉えられ、聞くこと・話すことの能力を見ます。ビジネスのための業種別試験と一般向け試験の2種類があります。
2017年3月にスタートした英語応対能力検定は、2022年9月の第17回試験をもって終了となりました。
日本医学英語検定
日本医学英語教育学会主催、医学や医療に特化した検定試験です。医療従事者や医学生などが医療の現場で求められる実践的英語能力を総合的に図ります。
幼児教育・保育英語検定
英語によるコミュニケーション力を習得し、幼稚園や保育園で英語で指導できるよう働くための資格検定です。他の英語検定にない特徴を持っており、幼児教育で必要な英語を身につけます。
観光英語検定
観光分野に特化した英語検定であり、海外旅行から国内での外国人を対象とした観光ビジネスに必要な英語力を測ります。観光業界への就活に有利になります。
観光英語検定は、旅行・観光・ホテル・レストランサービス等の職業の人向けに開設された英語試験で、本当に観光分野に特化しています。
本試験では、英語の一般的能力だけではなく、観光業界の専門用語や独特の言い回しなど、業務遂行に必要な英語力が問われます。全国語学ビジネス観光教育協会の専門学校を中心に、業務の基礎的技術の向上を目的として開設されたのが、観光英語検定の試験です。
全国語学ビジネス観光協会の公式ホームページに、観光英語検定についての説明があり、サンプル問題も載っているので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。1級、2級、3級の問題が掲載されています。
GCAS for Business
GCAS(ジーキャス)はビジネスのための英語力として使用する語彙の幅、正確さや流暢さなどだけでなく、データ分析をして説明するといった実践的英語力を判定します。特徴は対面型スピーキング試験という点です。
GTEC
対象は小学生から社会人まで幅広く、使える英語力を目的にGTEC Junior, GTEC, 大学生・社会人向けGTECという3つのタイプのテストがあり、結果はスコアで測ります。
TEAP
TEAP(ティープ)はTest of English for Academic Purposeの略で、大学で学習・研究する際に求められるアカデミックな英語運用の力を測定するための試験になります。大学受験を控える高校3年生におすすめの検定です。一般的に英検と比べ、難易度が高くなります。
英会話が活かせる国際資格一覧
IELTS
英語圏への留学、就労または移住を希望する人の英語力を測定する検定試験です。国際的な認知度は高く、世界で11,000以上の機関がIELTSのスコアを受け入れています。日本でもIELTSを採用する機関が増加しています。
TOEIC Bridge test
L&RおよびS&Wなどが有名なTOEICの検定試験のなかでも、Bridge testは現代のコミュニケーションで必要な実用的な英語の能力を測ることができます。
TOEFL
英語を母国語としない人が対象で、英語圏の大学へ留学または研究を希望するときに受けるテストです。結果のスコアが海外の大学へ留学する際の目安として使われます。問題の傾向はアカデミックなものになります。
ケンブリッジ英語検定
イギリス・ケンブリッジ大学が実施する、英語を母国語としない人のための英語検定試験です。100年以上の歴史を持つこの検定は、イギリスにとどまらず、企業や公的な機関など、世界150ケ国以上で実施されています。
VERSANT
世界的に教育及び学習サービスを提供するピアソン社が開発したオンラインの英語テスト。24時間年間365日、いつでも受けることができます。ビジネスで必要なコミュニケーションスキルがあるか測ります。
英会話講師が持っている資格
英会話+資格となると、英会話講師が頭に浮かびます。講師たちはどのような資格を持って、英会話を指導しているのでしょう。
ほとんどの英会話講師が所持しているのはTOEICの高スコアです。高スコアの目安とは900スコア以上、この辺の点が取れれば外資系企業で求められる英語力があると判断されます。また、国内で日本人が英会話講師をする場合は英検2級以上を取得しているとよいでしょう。
TOEICと英検に関しては一般の人も取得しますが、英会話講師は以下の資格を持っている可能性が大きくあります。
英会話講師が持っている資格
実は、英会話学校の講師になるために特別な資格はありません。下記の資格などに指導経験などを考慮され採用されているケースが多くあります。
- 初等教育の学士号
- 中等教育の学士号
- 英語の学士号
- 教員免許
- 公認英会話資格(英会話検定2級に合格後、講師養成講座を受講し取得)
- 小学校英語指導者資格(認定する団体にて講習を終了し、審査に合格すると取得)
小学校3年生からの外国語活動が必修に、5年生からは成績として評価される教科として英語を学ぶことになりました。この動きが追い風になり、校外でも英会話のレッスンをとる必要があるという考えが増えています。英会話講師はさらに需要が高まることが期待されます。
英会話が活かせる資格を取るメリットとは
英会話の学習をしている過程で自分の上達に喜びを感じたり、個人で海外旅行に行けるようになったりと良い変化がたくさん起こります。ただただ学習を続けていくのも素晴らしいのですが、資格を取得することでさらに英語学習への意欲が増します。
英会話に関する資格を取得するには様々なメリットがあります。
最後にそれらを紹介しましょう。
・目標設定とモチベーション維持
継続することが重要な語学学習では、長期戦略が必要になってきます。目標を持たずに英会話の勉強を続けるとモチベーションが維持できなくなる可能性があります。モチベーションを保ち、目標に向かって必要な学習方法を薦めることで、結果英会話力がアップします。
・資格取得時の達成感と自信
試験に合格したり、目標としていた高スコアが出せたとき、それまで自分がやってきたことへの達成感をヒシヒシと感じます。そして、今後もやっていける自信を得ることができます。
・大学受験の英語試験免除
読み書きだけでなくスピーキングが求められるようになっていくのが大学受験です。近年では、外部の英語資格を活用した「英語外部検定利用入試」を採用する大学が増えてきました。この制度対象の資格をとっていれば英語の試験が免除されるという大きなメリットを得たり、他の科目に勉強時間を充てることができます。
英検は、「英語外部検定」として認定されており、大学受験の英語試験免除や加点のために、英検の2級以上を受験する人は増えてきています。
・履歴書で強みをアピール
就職・転職のときに英会話関連の資格を履歴書にかけることが有利になります。目指したいのは英検であれば2級以上、TOEICなら600スコア以上です。また、幼児教育・保育英語検定や観光英語検定といった特定の業界で働くための資格も取得していれば必ず履歴書に書いてアピールします。
まとめ
今後も多くの業界で必要とされていく英会話スキル。ただ英語を話せますというより、取得に向かって学習することのメリットやスキルを証明できるという点からも、やはり資格取得を目指すことをおすすめします。
高校受験、大学受験、就職試験にも、英検など英語の資格を持っていると加点されるので、英語の資格を取る人は、10年前、20年前より増えています。つまり、数十年前より、日本人の英語力は、個人差がかなりあるとはいえ、全体的に底上げされてきています。
生成AIの導入が進み、翻訳や通訳などもAIやロボットに任せられる部分が増えてきましたが、学校や企業は、生徒や社会人により高い英語力を求めるようになってきています。
これから資格を取ろうかなと考えている方は、自分がどの方向へ進んでいきたいのかと合わせて、資格取得を考えてみてはいかがでしょうか?