将来なりたい職業ランキングで、3位にランクインしているのが料理人です。
セレブ料理人もいたりしますし、英語学習者の皆さんのなかには海外のレストランで働きたいという夢を持っている人がいるかもしれませんね。

さて、料理人の英語表現で思い浮かぶ「コック」と「シェフ」の正しい使い方は知っていますか?

この記事では、英語「料理人」にまつわる表現をいろいろ紹介しましょう。日本語でもお馴染みの表現を深掘りしたり、イギリスのセレブ料理人も登場します。最後までお楽しみください。

「コック」と「シェフ」の英語

料理人と聞くと、格式高い日本料理店や割烹をイメージしませんか?あの白い帽子をかぶり、真剣な眼差しで料理をする姿です。一方、フレンチレストランやイタリアンと言えば、料理人よりシェフというほうが馴染みがある言い方かもしれませんね。

さて、日本語では料理人を言うとき「コック」と「シェフ」という2つの表現があります。
コックはcook、シェフはchefという英単語からきています。

「コック」と「シェフ」の英語

コックはcook、シェフはchefということで、これら2つの単語を掘り下げてみましょう。

cook

「料理・調理をする」という意味で使い慣れているのがcookです。加えて、名詞として「料理をする人・料理人」の意味を持ちます。
英英辞書Cambridge Dictionaryでcookを調べてみると「someone who prepares and cooks food(食べ物を準備して調理する人)」とあります。

Aさん
My mother is a great cook.
訳)私の母は料理がとっても上手なんですよ。

a cook(料理人)であれば調理をしている人を表します。ところが、この例文のようにcookの前に形容詞(great)がくるパターンがあります。こういった場合は「私の母は素晴らしい料理人なんですよ。」という訳を「私の母は料理がとっても上手なんですよ。」とするほうが自然です。

参考:Cambridge Dictionary ”cook”

chef

chefはそもそもフランス語の「料理人・調理師」を表す言葉です。日本人の私たちもカタカナでシェフと使うことに慣れていますね。

Cambridge Dictionaryでは、chefのことを以下のように述べています。

a skilled and trained cook who works in a hotel or restaurant, especially the most important cook.
ホテルやレストランで働く、熟練した、訓練を受けた料理人、特に最も重要な料理人。

この定義のなかには”cook”が使われています。料理人は料理人でもchefとcookには明らかな違いがありそうです。違いに関して、また”最も重要な料理人”という説明がありますが、ここについても後ほど解説しましょう。

Aさん
I want to be a French chef in France in the future.
訳)将来、フランスでフレンチシェフになりたいです。

参考:Cambridge Dictionary ”chef”

cookの発音には要注意!

料理人としてのcookを私たちはコックさんと呼びます。しかし、cookの発音はクックです。私は料理をするというときのI cook.を”アイ クック”と自然に発音し、決して”アイ コック”とはしませんね。
そもそもオランダ語のkokを英語にしたものがcookであり、ここからコックがきたんですね。

さて、単なる発音間違いではなく実はもっとヤバめのものであることを知っておくべきでしょう。というのも、コック(cock)にはスラングで男性器の意味があるからです。
このことから、コックは英語圏ではかなり注意が必要な表現であることをこの機会に覚えることをおすすめします。使ってしまうと、話し相手から相当なリアクションがあるかもしれません。

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「調理師」の英語

「調理師」の英語

調理をする人を調理師と呼びます。調理師とは、飲食店などで調理の業務を行なう人を指します。調理師を呼ばれる人は、調理師学校で調理師免許を取得しています。このように、専門的な知識を持って働いているのです。

「調理師」の英語

英語で調理師は、すでに出てきた「chef」で表現します。chefの項でも、chefの意味が「料理人・調理師」であることを紹介しましたね。

Aさん
He loves cooking and dreams of becoming a chef.
訳)彼は料理が大好きで、調理師になることを夢見ているんだ。
Aさん
I graduated from school to be a chef and passed the exam, now I’m finally the chef!
訳)調理師になるための学校を卒業し試験に合格した、そしてついに調理師です!
Aさん
The restaurant has excellent cuisine by the chef, so has gained 2 Michelin stars.
訳)そのレストランでは調理師による素晴らしい料理を提供しており、ミシュランの2つ星を獲得しています。

ミシュランの星付きレストランがあります。フランスのタイヤメーカーMichelinが作った格付けですね。2023年のガイドでは、ロンドンには1つ星が57、2つ星が12、そして最高の3つ星は5つのレストランがあります。

コックとシェフの違いとは?

ここで、コックとシェフの違いをはっきりさせましょう。これまでの解説である程度のイメージができたでしょうか?

その大きな違いとは、以下になります。

cookは料理をする人・料理人であることから、家庭で料理をする人を指すことがある。特にトレーニングを受けていなくても料理の仕事をし収入を得ることは可能。

chefは訓練を受けた料理人・調理師。仕事として収入を得る。特に、料理長の意味で使われることがある。

このため、一つのレストランを見たとき、chefは1人だけ、cookは複数人いるケースがあるのです。

イギリスのセレブシェフ

イギリスにはセレブなシェフが何人もいます。シェフとしてだけでなく、レストラン経営、子どもたちへの食の教育に積極的な活動をしたり、人気テレビ番組を持っていたりとなかなかアクティブです。以下、3名はかなり有名で3人がまったく違うところが面白く紹介しましょう。それぞれのウェブサイトもぜひご覧ください。

Gordon Ramsay(ゴードン・ラムゼイ)

スコットランド出身の3つ星シェフは元フットボール選手。短気な性格で歯に衣着せないスタッフ達とのやりとりにはFワード連発という面白い人物です。彼を追ったドキュメンタリー「Boiling Point」や、様々なテレビシリーズをぜひ観てください。

Gordon Ramsay

Heston Blumenthal(ヘストン・ブルメンタール)

調理を物理的、化学的に解析した分野である分子ガストロノミー(分子美食学)の第一人者。名物はミート・フルーツです。オレンジなど果物の形をしているのは鶏レバーのパルフェ、見た目に驚き、食べて感動がヘストンの真骨頂です。

Heston Blumenthal

Jamie Oliver(ジェイミー・オリバー)

16歳の頃学校を辞め、料理人になるためカレッジに入学。フランスで修行した後、ロンドンのいくつかのレストランでシェフを務めます。その後、シェフとしての活躍がドキュメンタリー番組としてテレビで紹介され、人気が爆発します。子ども達に食の教育をという講演(Teach every child about food)でTED Prizeを受賞していますのでぜひご覧ください。数々のテレビ番組や出版があり、ジェイミーの自然なスタイルが好評です。

Jamie Oliver

シェフの種類を紹介

シェフの種類を紹介

chefには”特に最も重要な料理人”という意味がありました。料理長というニュアンスが含まれるかもしれません。さて、一口にシェフや料理人と言ってもいくつかの種類があることを知っていますか?

料理長

料理長は「master chef/chief chef/head chef」といった表現があります。お料理だけでなく、レストラン内で起こるすべての責任を負う立場です。

Aさん
I saw Master Chef on TV the other day!
訳)先日、そのマスターシェフをテレビでみたよ!

2番手はスーシェフ

スーシェフ(sous chef)とは2番手のシェフ、副料理長です。sousには「下の」という意味があり、2番目の責任者ということです。最高責任者である料理長は料理に関わらないこともありますが、現場を仕切るのはスーシェフであり重要な役割を持ちます。

Aさん
A sous chef plays an important role in the kitchen team.
訳)副料理長はキッチンチームで重要な役割を果たします。

見習いシェフ

見習いシェフをtrainee chefと呼びます。traineeは「見習い・練習生・訓練生・研修生」の意味があるからです。

Aさん
She started to work as a trainee chef in a famous Italian restaurant in Roma.
訳)彼女はローマの有名なイタリアンレストランで、見習いシェフとして働き始めました。

「料理家」の英語

「料理家」の英語

お料理好きな人が自称「料理家」と名乗ったり、Youtubeがヒットし、カリスマ料理研究家になることがあります。フードコーディネーターという人もいますね。

このような人たちのこともchefで表現できますが、他のフレーズも紹介しましょう。
料理家に当たる英語には「culinary expert/cooking expert/cooking specialist」などになります。このなかであまり馴染みのない単語はculinaryかもしれません。culinary(カリナリィ)は、形容詞で「料理の・台所の」の意味があります。

Aさん
My friend became a culinary expert and has 4M subscribers on Youtube.
訳)友人は料理家になり、Youtubeに400万人の登録者がいるのよ。

まとめ

お料理好きな人、食べることが好きな人は世界に共通しています。英語の会話ではコックと言わないように気をつけなければいけないこと、シェフとの違いも明確になりました。
海外のcooking expertたちの動画を観ることも英語の学習につながり、おすすめです。