「魔法」というのは、人間が自分に理解できないものを表すために作り出した言葉です。そのため「魔法は実在するのか?」と問われれば、理解できないことが世の中にある限り、魔法は存在すると答えるべきでしょう…。
さて、いきなり小難しいことを言い出しましたが、今回のテーマは「魔法」です。英語で魔法を何と表現すればいいか、詳しく確認していきましょう。
また、記事の後半では「魔法をかける」や「魔法の呪文」、「魔法陣」などの関連表現の言い方についても取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
それでは、早速始めていきましょう!
「魔法」は英語で何て言う?
「魔法」は一般的に、英語で “magic” と言います。発音記号は「ˈmædʒɪk」で、カタカナだと「マジック」です。日本でもよく聞く表現なので、聞き馴染みがある方も多いでしょう。
magic の語源を遡ると、古代ギリシア時代に使われていた magos(マゴス) に行き着きます。当時のギリシア世界ではロゴス(理性)による世界認識が重視されていましたが、ペルシア方面から伝来したゾロアスター教の神官たちが、不可思議で神秘的な力を発揮するのを目の当たりにしました。理性では理解できないそれらの力を、古代ギリシア人たちは magos と呼び、そのイメージが現在の magic にも受け継がれています。
In the past, anything we couldn’t understand was considered magic, right?
訳)昔は、理解できないことは何でも魔法って考えていたんだね。
Even today, if something truly incomprehensible happens, it can only be perceived as magic, I suppose.
訳)今だって、本当に理解できないことが起これば、それは魔法としか思えないだろうよ。
Like people flying in the sky?
訳)人が空を飛んだり?
Exactly. And also when fish fall from the sky.
訳)そうそう。あとは、空から魚が降ってきたりね。
英語で手品と魔法は同じ?
私たち日本人がマジックと聞くと、どうしても「手品」を思い浮かべてしまいますよね。英語でも、magic は手品と魔法の両方を表します。それはなぜかというと、手品が魔法の一種と考えられていたからです。
先述のように、古代ギリシアでは神秘的な行いを magos と呼んだわけですが、当然それらの大半には「タネ」があった、つまり単なる「手品」だったはずです。しかし、見た人がそこに神秘的な力を感じれば、それは「魔法」として認識されます。
つまり、手品と魔法は、もともと同じものだということ。タネがわかれば手品になり、わからなければ魔法になります。人気マジシャンが披露している手品は、初めて見る人にはまるで魔法のように見えますよね。
Look, a knife pierced through the palm of my hand!
訳)はい、私の手のひらを包丁が貫きましたー。
Wow, that’s amazing! Can you teach me the trick of that magic?
訳)うわ、すごい!その手品のタネを教えてよ。
There’s no trick. The knife is really stuck.
訳)タネなんかないよ? 本当に包丁が刺さってるんだ。
Huh…
訳)えっ…。
「魔法の呪文」や「魔法陣」など、魔法の関連表現を英語で言ってみよう!
ここからは、「魔法の呪文」や「魔法をかける」、「魔法陣」といった、魔法に関する表現の英語での言い方について確認していきましょう。
「魔法の」は英語で何?
「魔法の○○」と何かを説明したい場合は “magical(マジカル)” という形容詞を使います。
先述のように、現代においては魔法も手品も magic ですが、magical と言った場合は手品の意味にはならず、常に「魔法の」という意味で使われます。
magical を使った「魔法の○○」の具体例としては、以下のものが挙げられます。
- magical creature「魔法の生物」
- magical adventure「魔法の冒険」
- magical power「魔法の力」
- magical experience「魔法の体験」
また、日常生活においては magical smile などと、魔法ではないことにも magical が使われることがあります。これらはたいてい「魔法のように魅力的」などと、好意的な意味で使われます。
「魔法の呪文」は英語で何?
「魔法の呪文」は英語で “magic spell(マジックスペル)” と言います。
spell は現在でも英単語などの「綴り」の意味で使われますが、もともとは言葉を正しく口に出したり書いたりすることを表します。そこから、「口に出したり書いたりする魔法的な言葉⇒魔法の呪文」という意味で使われるようになりました。なお、文脈さえあれば spell 単体で呪文という意味で使われる場合もあります。
古来、言葉には不思議な力が宿るとされ、日本でも「言霊(ことだま)」といって、言葉には霊的な力が宿ると信じられていました。
現実世界に魔法は存在しないと考えられていますが、もしかしたら私たちが普段使う spell の中に、magical spell が隠されているかもしれません。
「魔法をかける」は英語で何?
英語で「魔法をかける」と言う場合は “cast a spell(キャスト ア スペル)” を使うのが一般的です。spell は先述の通り「呪文」の意味で、cast は「投げる」という意味。つまり、cast a spell を直訳すると「呪文を相手に投げかける」となります。
ファンタジー映画などで、魔法使いが杖を相手に向けて呪文を唱えている姿を見たことがありますか? cast a spell はまさにそのようなイメージです。
また、「魔法にかけて魅了する」という意味の場合は “enchant(エンチャント)” が使われることもあります。たとえば、魅力的な異性を見てポーッとしてしまった場合、それは一種の魔法にかけたられた状態ということです。
「魔法陣」は英語で何?
「魔法陣」は英語で “magic circle(マジックサークル)” と言います。circle は「円」の意味ですが、地面などに描かれる魔法陣が円形であることが多いため、このように呼ばれています。
magic circle には古今東西さまざまなものがありますが、どれも基本的な形やデザインは似通っています。異なる文化で同じような形の magic circle が使われていることを考えると、魔法が本当に実在した、あるいは今も実在するのではないかと、夢が広がりますね。
魔法を表す magic 以外の英語表現
ここまで、英語で魔法は magic だと説明してきましたが、magic 以外にも魔法に相当する表現がいくつか存在するので、最後に表にまとめてご紹介します。
使用頻度は magic に比べると落ちますが、魔法好きな人であれば、覚えていて損はない表現ばかりです。
wizardry | 主に男性の魔法使い(wizard)が使う魔法 |
witchcraft | 主に女性の魔法使い、魔女(witch)が使う魔法 |
sorcery | 悪い目的をもって使われる魔法、闇の魔術 |
supernatural power | 現実には起こり得ない超自然的な現象、超能力 |
まとめ
今回は「魔法」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
魔法は英語で “magic” と言うのが一般的です。日本でマジックというと手品のイメージが強いですが、タネの有無を考えなければ、魔法も手品も同じものだといえるでしょう。
今回ご紹介したことを参考に、ファンタジー的な魔法から、身の回りにある魔法的なものごとまで、色々なものを英語で表現していきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!