「旦那」という日本語は、実に色々な意味で使われます。結婚している女性にとっては「夫」ですし、お店で飲食している人にとっては「お店の主人」、そして「目上の男性」を指すケースもあります。
このように多義的な意味を持つ「旦那」は、英語だとどのような表現で呼び分ければよいのでしょうか。ということで、今回のテーマは「旦那」です。
旦那という日本語のそもそもの意味を確認したうえで、「夫」、「お店の主人」、「目上の男性」という3つの使用シーンごとに、適切な英語表現を探っていきます。
これを読めば、日本語の「旦那」の語感を活かしたまま、英語でもコミュニケーションが取れるようになりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
そもそも「旦那」ってどういう意味?
「旦那」という日本語は、もともとサンスクリット語の単語「ダーナ」に由来しています。ダーナは本来、修行僧に人々が与える「施し」を表していましたが、そこから施しを与えてくれる「人」にも意味が発展していきました。
その結果、家族に施し(養う力)を与えてくれるという意味で「夫」を、客に施し(サービスなど)を与えてくれる意味でお店などの「主人、店主」を、そして自分より経験豊富で色々な施し(教えやアドバイス)を与えてくれる「目上、年上の男性」を表すようになりました。
それぞれの使い方を例文とともにまとめると、以下のようになります。
- 男性の配偶者(夫)
例:うちの旦那が最近風邪をひいた。
- 商店などの主人、店主
例:旦那、おあいそをお願い!
- 目上、年上の男性に使う軽い敬称
例:そちらの眼鏡をかけた旦那様、ちょっとお時間よろしいですか。
これらのうち、最も多く使われるのは1つ目の「男性の配偶者(夫)」の意味でしょう。しかし、残りの2つの表現も一定数使われるので、無視はできません。
ここからは、以上の3つの「旦那」を英語で何と言うか、1つずつ詳しく確認していきます。
「夫」の意味の旦那は英語で何て言う?
結婚相手である「夫」の意味としての旦那に相当する英語は、主に以下の通りです。
- husband(ハズバンド)
- hubby(ハビー)
- hub(ハブ), hubster(ハブスター)
それぞれに表すニュアンスが異なるので、1つずつ詳しく確認していきましょう。
旦那の最も基本の形:husband
“husband(ハズバンド)” は、旦那や夫の意味を表して広く使われる定番表現です。husband の hus は「家」を、band は「住む人」を表しており、「家に住む人、家長」が原義となっています。
husband は自分の旦那について話す際にはもちろん、他人の旦那さんについて話す際にも使える便利な表現です。どんなシーンでも husband を使えば間違いないので、以下の各表現の使い方に不安がある人は、ひとまず husband を使っておくとよいでしょう。
My husband works as a freelance writer.
訳)私の旦那は、フリーランスのライターとして働いています。
自分の旦那をカジュアルに表す:hubby
“hubby(hubby)” は、自分の旦那をカジュアルに表現する際によく使われる表現です。日本語の感覚だと「旦那さん」に近いでしょう。
スペルからもわかるように、hubby は husband を短縮して生まれました。husband と呼ぶより親しみが込められるので、カジュアルな会話やメールなどで使われます。
hubby は割とくだけた印象の表現なので、親しい友人間などで使うぶんにはよいですが、初対面の人などに使うと驚かれてしまいかねません。時と場合を選んで使うようにしましょう。
My hubby is always incredibly kind.
訳)私の旦那さんって、いつもとっても優しいの。
Oh, really? That’s nice to hear.” (Who is this woman…)
訳)あ、へー、そうなんですね。(誰だこの人…)
自分の旦那を示すスラング表現:hub, hubster
hubby をさらに省略してカジュアルにしたのが “hub(ハブ)” です。また、それに「おしゃれさん」を意味するスラング “hipster” を掛け合わせた “hubster(ハブスター)” という表現もあります。感覚としては「旦那ちゃん」に近いイメージでしょうか。
hub と hubster は、かなりカジュアル度の強いスラングです。そのため、本当に仲のよい間柄でない限りは、使わないようにした方がよいでしょう。
また、たとえ親しい友人といえども、他人の旦那を hub や hubster と呼ぶことには多くの人が違和感を抱きます。そのため、hub と hubster は自分の旦那限定で使うようにしましょう。
My hubster is so adorable!
訳)うちの旦那ちゃん、とっても可愛いの!
お店などの「主人」を表す旦那は英語で何て言う?
お店などの「主人」としての旦那を表す際は、主に以下の2つの表現が使われます。
- owner
- manager
それぞれに表すニュアンスが異なるので、以下で詳しく確認していきましょう。
お店の所有者としての旦那:owner
お店の所有者を指して「旦那」と声をかけるなら、”owner(オーナー)” が適切でしょう。
owner の元になっている own は「所有する」という意味を表す動詞です、そこから、owner で自分のお店や会社を所有する「経営者」を表すようになりました。
owner は呼びかける際にも使えるので、日本語の「旦那」と近いニュアンスを表せるでしょう。
Owner, could you please handle the payment.
訳)旦那、お会計をお願い!
お店の管理者や雇われ店長としての旦那:manager
お店を所有してはいないものの、そこのトップとして立ち働いている人に「旦那」と声を掛けたいなら “manager” を使うとよいでしょう。
manager の元になっている manage はもともと「管理する」という意味の動詞です。そこから、組織の中で権限を任せられた「管理者」を表すようになりました。
たとえば、チェーン店の飲食店の店長であれば、manager と呼びかけるのが間違いありません。
自分で経営するお店なら owner、会社員として雇われているなら manager というイメージの違いで使い分けるのがおすすめです。
Manager, please keep this bottle for me!
訳)旦那、このボトルキープしといて!
「若旦那」は英語で何?
日本では、お店のご主人が先代の跡継ぎの場合、先代を「大旦那(おおだんな)」、跡継ぎを「若旦那(わかだんな)」と呼び分ける風習があります。これを英語で表すなら、”young master(ヤングマスター)” と言えば近いニュアンスが表現できるでしょう。
しかし、若旦那はあくまで日本の文化に即した表現なので100%の形で英訳することはできません。そのため、日常的に使う際は、上述の owner や manager を使うことをおすすめします。
「目上の男性」を表す旦那は英語で何て言う?
自分より年上の男性、または目上の男性に対して「旦那」と同じニュアンスで呼びかけたいのなら、”Sir(サー)” を使うのがよいでしょう。
Sir はもともとイギリスの騎士に与えられる称号のことで、それが由来となって現代英語では、目上の男性への敬称として使われます。
相手が実際に自分より年上かどうかを問わず、敬意を込めた表現として使えるので、ぜひ積極的に使用していきましょう。
Excuse me, sir. Could I talk to you for a moment?
訳)そこの旦那様、ちょっと私の話を聞いていただけますか?
Are you referring to me?
訳)僕のことかな?
まとめ
今回は「旦那」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
日本語の旦那という表現は大きく分けて、「結婚している夫」「お店の主人」「目上の男性」の3種類を指して使われます。
日本語ではどれも同じ「旦那」ですが、英語ではそれぞれに違う表現が対応するので、今回の内容を参考に、適切に使い分けていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!