「税理士ってどんな職業?」
「税理士に英語は必要?」
「税理士も英語ができると有利?」
このような疑問を抱えていませんか?
現在税理士として働いている人も、これから税理士の資格にチャレンジしようと思っている人も、税理士の将来性は気になるところでしょう。
そこで今回は、税理士の仕事について、英語がいかせる業務と求められるスキルを解説していきます。
税理士と会計士の違い
税理士と会計士は、よく混同されがちな資格です。
似ているようで違う2つを正しく理解している人は多くありません。
では、税理士と会計士にはどのような違いがあるのでしょうか。
具体的な仕事内容を表で紹介します。
税理士 (Certified Public Tax Accountant) |
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会計士 (Certified Public Accountant) |
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税理士は、英語で”Certified Public Tax Accountant”と言います。
”Certified Public Tax Accountant”は、1970年に日本税理士会連合会によって定められた英語表記です。
ところが、職業を適切に表せていないのではないか、海外の人には理解されにくいのではないか、といった疑問が拭えないまま使われていたため、2011年に新たにローマ字表記の「ZEIRISHI」を場面に応じて使用することが決定されました。
会計士は、直訳の英語で”Accountant”、公認会計士は”Certified Public Accountant”です。
頭文字を取ってしばしば”CPA”と呼ばれますが、もともとはアメリカの呼び方なので、日本と区別するためにアメリカの公認会計士を”USCPA”と言う場合もあります。
公認会計士の呼び方は各国で若干違っており、アメリカでは”Certified Public Accountant”、イギリスでは”Chartered Accountant”、カナダでは”Chartered Professional Accountant”と呼ばれています。
アメリカでは、”USCPA”の相互認証制度があるので、資格を持っていればカナダやオーストラリア、ニュージーランド、香港といった国々で会計士としての仕事が可能です。
残念なことに、日本の公認会計士は他国との相互認証制度がないため、日本の公認会計士を取得したからといってすぐに海外で働くことは難しくなっています。
I want to be a certified public tax accountant.
訳)わたしは税理士になりたいんだ。
It’s hard to become a certified public tax accountant.
訳)税理士になるのは簡単じゃないよ。
Mia plans to study abroad and get qualified as a certified public accountant.
訳)ミアは公認会計士の資格を取るために留学する予定なのよ。
I heard from Mia that her father is a certified public accountant.
訳)ミアから彼女のお父さんが公認会計士だって聞いたよ。
ちなみに、税理士と会計士に並んで難易度の高い社会保険労務士は、英語で”Labor and Social Security Attorney”です。どれも独立を目指せる国家資格として知られていますね。
The exam you need to pass to become a labor and social security attorney is extremely difficult.
訳)社会保険労務士の試験は非常に難しいよ。
After my 3rd attempt, I finally passed the exam of labor and social security attorney.
訳)僕は3度目にしてようやく、社会保険労務士の試験に合格したよ。
英語のできる税理士は強い
税理士の資格を持つ人がプラスαとして取得する資格としては、公認会計士や社会保険労務士がとても人気です。
近年では経済のグローバル化に伴って、海外の企業と取引をする、または海外で事業を展開する企業が増加しており、税理士にもビジネス英語の力が求められています。
2022年にジェトロが実施した調査によると、19,143社もの日本企業が北米や中南米、欧州、アジアなどを中心とした86の国と地域で現地法人や支店、駐在員事務所を構えていることがわかりました。
国際会計基準(IFRS)を適用する企業も増えてきており、日本企業のグローバル化が急速に進んでいるのは明らかです。
また海外と取引をする中小企業や個人事業主も珍しくなくなり、海外進出する日本企業は、今後もさらに増えていくことが予想されます。
そんなグローバル社会で税理士として生き抜いていくためには、やはり英語力が欠かせません。
語彙や文法、読解など基本的な英語力はもちろん、ミーティングやプレゼンテーションといったビジネスシーンに対応できる高い英語スキルが必要となります。
海外進出を目指している日本企業だけでなく、新たにビジネスを始めたい海外の投資家や外資系企業にとっても、英語ができる税理士は間違いなく重宝されることでしょう。
参考:
2022年度 海外進出日系企業実態調査(全世界編)(2022年11月) | 調査レポート – 国・地域別に見る – ジェトロ
IFRS導入の日本企業続々、時価総額ベースで44% – 日本経済新聞 (nikkei.com)
英語力がいかせる税理士の業務
税理士の専門知識に加えて優れた英語力も持っていれば、海外企業と日本企業での国際取引で生じた問題の解決に一役買ってくれます。
今後さらにグローバル化が進んでいくなかで、「英語もできる税理士」の需要は一層高まっていくことでしょう。
英語力がいかせる税理士の代表的な仕事を4つ紹介します。
国際税務
海外の企業が日本を拠点とする場合も、日本の企業が海外を拠点とする場合も、国境を越えて行う取引はすべて「国際取引」になります。
この「国際取引」で生じる税に関するさまざまな取り決めを行っているのが国際税務です。具体的な仕事内容としては、現地の法人税申告書の作成や税務調査の立ち合いなどがあります。
各国の税法や条約、協定を正しく理解するためには、当然相応の英語力が必須です。国際税務は、英語力を最大限にいかせる最もメジャーな業務のひとつといえるでしょう。
Ken studies English and international taxation because his goal is to work in a different country one day.
訳)ケンはいつか海外で働きたいと、英語と国際税務を勉強している。
移転価格のコンサルティング業務
移転価格コンサルティングとは、移転価格の適正化を図り、企業のビジネスを成功させる鍵を握る業務です。
グループ企業間で取引される価格のことを移転価格と言いますが、たとえば日本企業が海外で製品を売るときの輸出価格と考えるとわかりやすいでしょう。
グループ企業なので、移転価格は自由に設定しても問題ないと思いがちです。しかし、支払う税金が変われば経営に大きな影響が出るため、適正な価格を定めることはとても重要といえます。
I want to work in New York as a transfer pricing consultant in the near future.
訳)近い将来、ニューヨークで移転価格コンサルタントとして働きたい。
国際資産税に関わる業務
税理士業界で人材不足が叫ばれている分野が、国際資産税です。
海外資産や国際相続に関する税務調査の実施数は右肩上がりで増え続けているにもかかわらず、対応できる税理士は非常に少ないのが現状です。
国際資産税の業務において、英語はもはやできて当たり前、それ以上に税法に関する非常に幅広い分野の知識と実務経験が必要とされます。
税理士としての高い能力を要し、英語力も大いに発揮できる極めて難しい業務ではありますが、今後引く手あまたであることに間違いないでしょう。
There is a shortage of competent English-speaking CPAs., so you’re very much in demand.
訳)英語ができる有能な税理士は人手不足だから、引く手あまただね。
まとめ
税理士の仕事について、英語がいかせる業務と求められるスキルを解説しました。
急速に広がっていく企業のグローバル化に伴い、仕事で着実に成果を出し、生き残っていくために英語力は必須といえます。
難関資格で取得したら将来安泰とも思われる税理士ですが、作業のAI化も相まって国内業務は争奪戦となりつつあるのが現状です。
これからは、税理士の専門知識にプラスして、英語力を磨いていくことも大切になっていくでしょう。