3,000~4,000年の歴史をもつと言われる国・インド。食文化ではスパイスを多用するという特徴がありますし、インド料理は世界中で食されています。ところで、皆さんはインドのお菓子についてどれほどご存知ですか?

この記事では、インドのお菓子を紹介するシリーズとして「ジャレビ」を紹介します。歴史あるインドで庶民的なスイーツとしてのポジションを確立しているジャレビがどのようなデザートなのか、ぜひみていきましょう。

インド菓子・ジャレビの歴史紹介

インド菓子・ジャレビの歴史紹介

インドのお菓子「ジャレビ(Jalebi)」は英語ではFunnel caketと呼ばれるものに近くなります。まず、ジャレビがどのように誕生したのか背景を紹介しましょう。

10世紀の料理本に書かれていたジャレビ

ペルシャで10世紀に書かれたKitab al-Tabeekhという料理本があります。このレシピ本はムハンマド・ビン・ハサン・アル・バグダディによって書かれましたが、ここにズルビヤという料理が登場しています。ズルビヤは、ラマダン月のイフタールやその他のお祝いで一般の人々に配られた甘い食べ物でした。このズルビヤはペルシャやトルコの商人などとともにインド海岸に渡ると、すぐにインド亜大陸の人たちに受け入れられました。これがインドで「ジャレビ」と呼ばれるようになっていったのです。

インド文化に溶け込んでいったジャレビ

ペルシャからインドに渡り、ジャレビという名前になった後、15世紀以降、お祭りや結婚式、そして寺院の儀式での供物として欠かせないものとなります。有名なジャイナ教の文献には、ジャレビが裕福な商人や貿易商の集まりでよく食べられたことが記されています。
北インドのウッタル・プラデーシュ州の都市アヨーディヤーはヒンドゥー教の聖地として知られていますが、この地域はジャレビでも有名です。とは言え、国民的なお菓子として、インド全土で手に入ります。

ジャレビってどんなお菓子?

ジャレビがペルシャ(現イラン)から渡ってきたこと、その後インドで定着していったことが分かりました。ここからは、ジャレビがどのようなお菓子なのかについてみていきます。

ゴールデンオレンジカラーのジャレビ

ジャレビは、小麦粉の生地を渦巻きのリボン状にしたものを油で揚げ、それを砂糖シロップに浸したお菓子です。サフランとカルダモンで風味づけされ、見た目は美しいゴールデンオレンジカラーで、お菓子の直径は5~6cmで平たい形をしています。
ちなみに、インドではオレンジ色はおめでたい色とされ、ゴールデンオレンジカラーのジャレビもお祝いの席での食べ物の一つとして重宝されています。

ジャレビの食感と甘さレベル

ジャレビは揚げたてのサクッとした食感と、シロップが染み込んでいることで得られるねっとり感を楽しめます。外側はカリカリ、内側はジューシーで甘くて柔らかい、食べてみればやみつきになること間違いなしのお菓子です。日本のかりんとうに似ているとも言えますが、その甘さは比較にならないほどのレベルです。

インドの国民的スイーツ・ジャレビ

インドの国民的スイーツ・ジャレビ

インド人をすっかりとりこにしているジャレビですが、もはや国民的なスイーツとして人気です。ここで、ジャレビの材料と作り方を簡単に紹介しましょう。

ジャレビの材料と作り方

ジャレビの生地は、マイダとヨーグルトそして水で作ります。マイダとは精製小麦であり、マイダの食べ過ぎには消化不良を起こす可能性があると言われているので少し注意が必要です。ヨーグルトは発酵のために使用します。一晩醗酵させ生地ができたら絞り袋に入れ、熱い油のなかでくるくると絞って渦巻き状にします。プレッツェルのような形に少し似ていると言ってもいいでしょう。フライパンの大きさに合わせていくつか同じものを作っていき、黄金色でカリカリになるまで揚げます。
そして、別に砂糖シロップを用意します。砂糖、ローズウォーターまたはレモンジュース、そしてサフラン、カルダモンパウダーを好みで入れます。
熱々に揚がったジャレビをこのシロップに浸し、数分後に取り出したら完成です。

ジャレビの食べ方

熱々の揚げたてをそのままかじりつくこともできますが、ジャレビにはいくつか他の食べ方があります。
インドにファフダというスナックがあります。サクサクした揚げ菓子ですが、ファフダの横にジャレビを添えて一緒にジャレビをいただくことがあります。また、ラブリというカルダモンやサフランなどの香りが特徴の甘い練乳をソースにしてジャレビにかけて食べることもあります。甘いお菓子に甘いソースですので、甘いです(笑)これらはカレーなどの食事に添えられることもあります。

ジャレビのお味は?

ここまでで、甘いことが十分予測されるジャレビですが、もう少し味の解説をしましょう。

激甘!ジャレビ

やはりジャレビは激甘スイーツです。しかし、ただ甘いだけではなくスパイスのカルダモンが入っていたり、シロップに入っているレモンジュースによる爽やかな酸味もあります。それが多くの人にとって病みつきになる味として繰り返し食されているのです。インドの人々のスパイス使いは素晴らしく、タンドリーチキンやサグカレーなどの食事だけでなく、お菓子にもスパイスが使われているのがインドスタイルですね。数量や購入するお店によって異なりますが、ジャレビ250グラムで100~200ルピー、1キログラムで通常200~500ルピー程度とお手頃です。なお、2025年2月末現在、1ルピーは1.72円です。
ちなみに、ジャレビはインドだけではなく、パキスタンや中東でも人気なのがジャレビです。

ベイビーガールが生まれた時に配るジャレビ

5世紀以降、お祭りや結婚式、寺院の儀式での供物として欠かせないものとなったジャレビ。それは一部の地域では女の子の赤ちゃんが産まれたときにも配られる慣習があります。

おめでたいイベントに使われるジャレビ

筆者はイギリス在住ですが、イギリスはインド人が多く住む国でもあります。友人のインド人家族に、ジャレビの思い出を聞いたところ、very sweet sticky and delicious!というコメントともに、女の子のベイビーが誕生したときに家族や友人に配られるのがジャレビということで嬉しそうに話してくれました。また、いつでも食べられるお菓子ではあるけれど、新年を祝うお祭りDiwali(ディワリ)にも欠かせないものとのことです。

日本でもジャレビを食べられるの?

甘いけれどインド人の国民的なお菓子というジャレビ、日本でも食べることができるのでしょうか?

日本で購入するジャレビ

日本には、実店舗とオンラインショップ両方のインドの食材店があります。こういった店舗ではジャレビも扱っています。例えば、フレッシュジャレビ(250グラム)では8〜11このジャレビが作れますし、ジャレビミックス(100グラム)といった商品もあります。
ジャレビに興味のある方は、これらを利用すると日本にいながらお手軽に試してみることができます。

まとめ

本記事では、インドの国民的なお菓子「ジャレビ/Jalebi」について紹介しました。インドの日常生活、そして大切な行事に欠かせない美しいゴールデンオレンジカラーのジャレビ、渦巻き状で周りはカリカリ、内はねっとり、シロップの甘さが特徴です。インド文化を知る上でも、ジャレビは大きな役割を持つデザートということが分かりました。

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