今回のテーマは「前菜」です。英語で前菜を表す言葉は主に4種類ありますが、それぞれのニュアンスや意味の違いについて、詳しく解説していきます。

また、記事の後半では、アメリカやイギリス、フランスなど、各国料理の代表的な前菜メニューについて、英語での名前や特徴などをご紹介しています。これを読めば、英語で色々な前菜を自信をもって表現できるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

「前菜」は英語で何て言う?

「前菜」は英語で何て言う?

メイン料理の前に出てくる「前菜」は、英語だと “appetizer”、“starter”、“entree”、“hors d’oeuvre” の4種類で表されます。

しかし、表現によって表すニュアンスが違ったり、国によって異なる意味になったりするので、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。

各表現の詳細について、順番に確認していきましょう。

前菜①:appetizer

英語で「前菜」を表す際、最も一般的に使われるのが “appetizer” です。発音記号は【ˈæpɪˌtaɪzər】で、カタカナだと「アペタイザー」となります。

appetizer はもともと、「食欲をそそらせる」という意味の appetize に「~する物」を表す -er が付いたものです。そこから、メインの食事の前に、食欲を促す料理やお酒を意味するようになりました。

なお、appetizer の意味はアメリカ英語とイギリス英語で少々異なっているので、注意が必要です。アメリカ英語の場合は、前菜の料理だけでなく、食前酒なども含めて appetizer と呼びます。その一方、イギリス英語の場合は基本的に、メイン料理の前に食べる前菜料理だけを指して appetizer と呼ぶことが多いです。

Aさん
The appetizers at this restaurant might be tastier than the main course.
訳)このレストランの前菜は、メイン料理より美味しいかもしれない。

前菜②:starter

アメリカ英語で「前菜」を表す際は、”starter” が多く使われます。発音記号は【ˈstɑːrtər】で、カタカナだと「スターター」となります。

starter は「始める」という意味の start に「~する物」を表す -er が付いた言葉です。そこから、「食事を始めるための料理」という意味で、前菜を指して使われるようになりました。アメリカ英語の場合、前述の appetizer よりも starter の方が一般的だといえるでしょう。

Aさん
My favorite starter at this restaurant is calamari.
訳)このレストランでの私のお気に入りの前菜はカラマリです。

なお、starter は前菜以外の意味でもよく使われる表現です。たとえば “conversation starter” なら、会話の糸口となる雑談を表します。また、サッカーではいわゆる「スタメン」を starter と呼ぶこともあるようです。

前菜③:entree

イギリス英語では、「前菜」を表す際に “entree” が使われることもあります。発音記号は【ˈɑːntreɪ】、カタカナだと「アントレ」です。英語にある程度慣れていると、「エントリー」と読み間違えやすいので注意してください。

entree は、もともとフランス語で前菜を意味する言葉です。その語源は英語の entry と同じで、食事に「入る」ことを意味しています。ニュアンスとしては、前述の starter と似ていますね。

ただし、entree はイギリス英語なら前菜を表すものの、アメリカ英語だとメイン料理(主菜)を表すので注意が必要です。アメリカのレストランで entree を前菜だと思って頼むと、大ボリュームのメイン料理が提供されかねないので、事前にしっかり確認しておきましょう。

Aさん
I ordered an entree, and it came out on a platter like a main course!
訳)前菜(entree)を頼んだら、メイン料理級の大皿で出てきたんだけど!
Bさん
Ah, that’s how it goes in American restaurants.
訳)あー、アメリカのレストランで頼むとそうなるね。

 

前菜④:hors d’oeuvre

“hors d’oeuvre” は、フランス語由来の「前菜」を意味する言葉です。発音記号は【ɔːr ˈdɜːrv】、カタカナだと「オーダーヴ」と聞こえます。

hors d’oeuvre はフランス語で「本筋から外れたもの」という意味で、コース料理を提供する前に、食欲を高めるために提供される料理を表しました。それが英語にも輸入され、そのまま前菜の意味で使われているというわけです。

Aさん
Here is today’s hors d’oeuvre.
訳)こちらが本日の前菜でございます。
Bさん
Hmm, it looks quite fancy.
訳)うーん、なんだかオシャレ。

 

なお、前述の entree と今回の hors d’oeuvre はどちらもフランス料理における前菜ですが、ここには少し複雑な事情があります。

現代のフランス料理は基本的に「前菜→魚料理→肉料理→デザート」という構成になっています。しかし、昔のフランス料理では、魚料理と肉料理の間に小休止的にもう1回前菜が挟まっていて、「前菜①→魚料理→前菜②→肉料理→デザート」の順で提供されていました。

ここでの「前菜①」が hors d’oeuvre であり、「前菜②」が entree というわけです。アメリカ英語で entree がメイン料理を意味するようになった原因も、おそらくここにあるのでしょう。

Aさん
Hors d’oeuvre and entree are both French appetizers, but they have slightly different nuances.
訳)オードブルとアントレはどちらもフランス料理の前菜ですが、ニュアンスが少し異なります。

ちなみに、日本語で「オードブル」と言うと、色々な料理が盛り合わせになった大ボリュームのものが想像されます。しかし、これは和製英語であり、日本独自のイメージなので注意してください。

英語で hors d’oeuvre と言う場合は、たいてい少量の前菜を表します。また、食欲増進を狙うため、通常より味付けが濃く設定されているものが多いのも特徴です。

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各国料理の代表的な前菜メニューを英語で言ってみよう

各国料理の代表的な前菜メニューを英語で言ってみよう

ここからは、アメリカやイギリス、フランスやイタリアなど、各国の料理における代表的な前菜メニューを英語で何と言うか、簡単に確認していきましょう。

アメリカ料理の代表的な前菜メニュー

Chicken wing(チキンウィング) 鶏の手羽元に辛口ソースを付け、焼いたり揚げたりした料理。
Calamari(カラマリ) 輪切りにしたイカを、軽く衣を付けて焼いたり揚げたりした料理。
Brussels sprout(ブラッスルスプラウト) 小さな芽キャベツを、バターで炒めたり焼いたりした料理。

イギリス料理の代表的な前菜メニュー

Prawn cocktail(プラウンカクテル) 茹でたエビを、マヨネーズやケチャップと一緒に和えた料理。
Smoked salmon(スモークドサーモン) 燻製したサーモンを、チーズや野菜などと一緒に、パンやクラッカーに載せて食べる料理。
Scotch egg(スコッチエッグ) 茹で卵をひき肉で包み、パン粉を付けて揚げた料理。

フランス料理の代表的な前菜メニュー

Escargot(エスカルゴ) 巻貝をガーリックバターで調理した料理。
Fresh oyster(フレッシュオイスター) 新鮮な生牡蠣を氷の上に盛り付けた料理。
Quiche(キッシュ) ベーコンやほうれん草などを入れ、卵と生クリームを使って焼き上げる料理。

イタリア料理の代表的な前菜メニュー

Carpaccio(カルパッチョ) 薄くスライスした生の肉や魚を、オリーブオイルやチーズなどで味付けした料理。
Antipasto(アンティパスト) サラミやプロシュート、野菜などを盛り合わせた、イタリアの伝統的な前菜料理。
Caprese(カプレーゼ) トマト、モッツァレラチーズ、バジルを、オリーブオイルや塩コショウで味付けした料理。

【補足】「先付け」は英語で何て言う?

日本の伝統的な懐石料理では、最初に出す料理を「先付け(さきづけ)」と呼んでいます。

先付けは日本独自のものなので、英語では「前菜」の一種として、appetizer や starter を使って説明するとよいでしょう。

Aさん
In Japanese kaiseki cuisine, ‘sakizuke’ refers to the appetizer served at the beginning of the meal.
訳)「先付け」は、日本の懐石料理における前菜のことです。

まとめ

今回は「前菜」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。

前菜は英語で “appetizer”、“starter”、“entree”、“hors d’oeuvre” の4種類を使って表されます。特にアメリカ英語の場合は、appetizer か starter が使われることが大半なので、まずはこれら2つを覚えておくとよいでしょう。

今回ご紹介したことを参考に、英語でも前菜を含め、色々な料理に舌鼓を打っていただければ幸いです。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!