みなさんは、”clause”という単語を目にしたことはありますか?
”clause”は、「条項」や「節」を意味する名詞ですが、「見たことない」「知らない」と思った方も結構多いのではないでしょうか。

それもそのはず、”clause”は、英検2級以上、TOEIC® L&Rスコア600点以上、難関大入試対策レベルの単語だからです。
中学、高校を卒業して以来、英語から遠ざかっている方にとっては、少し難易度の高い単語かもしれませんね。

そこで今回は、ちょっと難しいイメージがある英単語”clause”について、2つの意味と使い方、関連表現を紹介していきます。

”clause”の意味

”clause”には、大きく2つの意味があります。
一つ目は、法的な文書における「条項」や「約款」、「個条」など、もう一つは、主語と述語を含み文法的に完結している単語群です。

辞書では以下のように定義されています。

  • a particular part of a written legal document, for example a law passed by Parliament or a contract (= an agreement)
    書かれた法的文書の特定の部分、例えば議会で可決された法律や契約(=合意)
  • a group of words, consisting of a subject and a finite form of a verb
    主語と動詞の限定形からなる単語の集まり

参考:Cambridge Dictionary

”clause”は、主語と動詞を含む、2語以上の単語のかたまりであることがポイントです。
独立して文を形成できる場合もあれば、意味を付け加えるような形で、あくまで補足としての役割だけの場合もあります。
また、複数の”clause”が組み合わさって複雑な文章を構成することも、契約書や法律文書ではよくみられます。

”clause”は、法律や契約書などにおける「条項」や「個条」を指して使用されますが、英文の読解や解説などで用いられることが多い文法用語でもあります。

”clause”は、イギリス英語とアメリカ英語で発音が若干違います。

【イギリス英語】 /klɔːz/ 「クロォゥズ」
【アメリカ英語】 /klɑːz/「クローズ」

スペルの「a」に惑わされて、「クラゥズ」と読みたくなってしまうかもしれませんが、[ɔː]も[ɑː]も、カタカナでいう「オ」の発音に近いため、間違えないよう注意してくださいね。

”clause”を使った例文

”clause”を使った例文

”clause”を使った例文をおもな2つの意味に分けて紹介します。
使用場面に応じて使い分けられるよう、しっかり確認しておきましょう。

条約・法律・契約などの「条項」

Aさん
A confidentiality clause thought to be the most important section was added to the contract.
訳)契約書には最も重要な条項と思われる秘密保持条項が追加されました。
Aさん
There was a penalty clause that said you had to pay half the cost if you cancelled your booking.
訳)予約をキャンセルした場合、代金の半額を支払わなければならないという違約金条項がありました。
Aさん
Some companies will add a clause excluding any flood claims.
訳)洪水による損害賠償請求を除外する条項を追加する保険会社もあります。

 

文法における「節」

Aさん
Students learn how to identify different clauses within a complex sentence.
訳)生徒は、複雑な文の中でどのように異なる節を識別するかを学習します。
Aさん
Sometimes the speaker leaves out a verb or verb phrase, or sometimes an entire clause.
訳)話し手が動詞や動詞句を省略したり、節全体を省略したりする場合もあります。
Aさん
Connectives such as “and”, “while”, and “because” are used to join clauses and form complex sentences.
訳)「and」「while」「because」などの接続詞は、節をつなげて複雑な文を形成するために使用されます。

”independent clause”と”dependent clause”の違い

”independent clause”と”dependent clause”の違い

文法用語として使われる”clause”は、”independent clause”と”dependent clause”の2つに分類されます。

”dependent”は、「頼っている」「依存している」「従属している」といった意味の形容詞です。
したがって、”dependent clause”は、従属している「従属節」、”in”がついた”independent clause”は、反対の意味で従属していない「独立節」であると考えられます。

”independent clause”と”dependent clause”の違い

independent clause
(独立節)
主語と述語が含まれている
単独で文が成り立ち、意味が通じる
dependent clause
(従属節)
主語と述語はあるものの、単独では文が成り立たない
用法によって形容詞節、副詞節、名詞節などに分類される

”independent clause”(独立節)は、単独で分を形成でき、完結する節で、それだけで意味が通じます。
一方の”dependent clause”(従属節)は、節だけでは意味が成り立たず、他の単語や句と結びついて構成されます。

文法上のいろいろな”clause”

”independent clause”と”dependent clause”以外にも、2語以上から成る”clause”はいろいろあります。
”clause”を見分けて正しく分類し、まとまりごとに理解していくことで、英文が読み解きやすくなるでしょう。

main clause(主節) 主語と動詞を含み、単独で完全な文を形成する
subordinate clause(従属節) 主節と結合してのみ、文を形成する
relative clause(関係節) 文の主要部分でその前に来る名詞を説明する
adjective clause(形容詞節) ”that”や”which”などで始まり、名詞や代名詞を修飾する
restrictive clause(限定節) 名詞句の意味を限定または制限する
non-restrictive clause(非限定節) 名詞句の意味を限定または制限しない
adverb clause(副詞節) 主語と動詞を含み、2語以上から成る
noun clause(名詞節) 主語と述語を含み、名詞や代名詞のように使用される
conditional clause(条件節) ”if”や”unless”などで始まる節で、物事の可能性や未来、過去にを表す
concessive clause(譲歩節) ”though”や”although”で始まる節で、文の主要部分とは反対の考えを示す
final clause(目的節) ”in order that”や”so that”などに導かれて目的を示す

 

まとめ

少し難易度の高い英単語”clause”について、意味と使い方、関連表現を紹介しました。
”clause”は、法的な文書における「条項」や「約款」と、主語と述語を含んだ文法上の「節」を意味する名詞です。

文法用語としての”clause”は、”independent clause”(独立節)と”dependent clause”(従属節)に分類され、英文を読解する上でとても重要な要素です。

長い文章は、”clause”に正しく分解することで、文や語句のかたまりが見えてきて、理解しやすくなります。
ひとつひとつの単語がどんな”clause”に当てはまるのか、そして区切った”clause”ごとに意味を把握していくことが長文読解のポイントですよ。

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