日本では馴染みがある学習塾ですが、これを英語にするのは意外と難しいものです。なぜなら、そもそも日本と海外での受験の仕組みが異なるので、塾が必要ないという地域も多いから。日本は韓国ほどでなくてもかなり気合を入れて勉強しますが、アメリカでは希望の高校に氏名や住所を書いて投函し、結果を電話で待つだけという大変カジュアルなところもあるそうですよ?となれば、やはり塾は日本などで流行るビジネスなのでしょう。では、英語で塾はどう言えば良いのでしょうか。
cram schoolでは通じない?
塾を英語で何と言うのかネットで調べてみると、おそらく多くの辞書がcram schoolと出してくるでしょう。しかし、残念ながらこれはネイティブに言っても通じないことが多いです。そもそもcramとは、「むりやり詰め込む」という意味を持つ動詞で、それが転じて頭に知識を詰め込む塾という派生ができました。
ただ、イギリスやアメリカなどの英語圏の代表である国では、大学受験のシステムが日本とは異なります。試験を一斉に受けるのではなく、面接や課外活動、高校の成績、小論文などで評価されます。ですから、学校以外に行く学校とは何だとなるわけです。
これが通じるのは日本の受験システムを理解している外国人ですから、通じなければ塾そのものの在り方から説明する必要があります。その方法は後ほどご紹介しますね。
private schoolも微妙・・・
塾の別の言い方としてprivate schoolもあるにはあるのですが、しかしこれは一般的には私立学校という意味です。
アメリカでは私立学校、イギリスでは13歳から18歳が通うエリート校の名称となっているのでそちらだと思われるでしょう。
ですから、例えば塾講師であることを説明したくてprivate schoolと言うと、アメリカ人なら私立学校の先生、イギリス人ならエリート校の先生と思われてしまいます。思い切ってteacherとまとめてしまえば良いのかもしれませんが、ざっくりとしか伝わりませんよね。
prep schoolも勘違いされる
学習塾は、学校の勉強を予習したり復習したりするところ、つまり予備的な学校、ということでpreparatory school「予備の学校」と表現するのではと思われているところもあるのですが、これも実はネイティブには勘違いされます。
アメリカでprep schoolと言えば、将来大学に進学することを目指している小学校、中学校、高校を意味します。しかし、ほとんどの学校は大学を目指すため、これらの学校はすべてprep schoolと表現されてしまいます。対してイギリスの場合は、公立学校に入るための学校を示します。
塾だと言われてきた英語がことごとくネイティブに通じないとなれば、どんな単語が適切なのでしょうか。
juku
海外にないシステムなら、もう日本語で表現するしかない!となりできたのが、ローマ字のjukuです。英語に塾に相当するものがないなら仕方ありません。ラーメンやお好み焼きのようにローマ字表記で言うのが日本の塾を伝える最も正確な方法でしょう。
ただ、ご想像の通りこれは日本文化を知っている外国人にしか伝わりません。ですから、やはりこの単語の意味を後で追加するように説明する英語力も必要になってきます。
tutoring school
日本にあって海外にないシステムから派生した塾、これを英語で一言で解説しようと思ったら、それという単語がないので作るしかありません。一応これなら伝わるだろうというのは、tutoring schoolです。
日本語でもチュートリアル、チューターと言いますよね。チューターとは、学校の授業についていけない生徒に勉強を教えること、またはその人を指す単語です。実際には日本の学習塾は進学校を目指して学校以上の学力をつけるところもあるので、このようなタイプの塾の説明にはなりませんが、一般的には伝わりやすい表現かなと思います。
生徒目線で塾があることを言いたいのであれば、そのまま日本語の「ある」を「have」にして使えるのはちょっと意外かもしれませんね。
I have tutoring school today.
訳)今日は塾があるんだ。
塾を説明できる英語表現
なかなか塾について伝わらないという時には、以下でご紹介する英語表現を使ってみましょう。長い文章で解説できなくても、ひとつひとつの単語が意味として成り立つならなんとなくはわかってもらえるかもしれません。そのための役立つ表現をいくつか見ていきましょう。
private and fee-paying school
ちょっと長く説明するなら、こちらの表現が良いのではないでしょうか。private and fee-paying schoolは、訳すると「追加授業を行う有料の学校」となります。
新しく「有料の」と形容詞を追加したことで、一般の学校意外でお金を支払っていく学校の存在を示すことができます。一番良いのは日本の受験システムを解説することですから、先にその文化を知ってもらった方が伝わりやすいかもしれませんね。
private lessons outside of school
塾での授業をprivate lessonsと表現し、さらに追加で学校の外で行うことを説明した表現です。英語圏の人たちにとっては、学校以外でお金を支払って授業を受ける場所があるのは不思議なことでしょう。
もし、日本の受験システムが海外に導入されたとしたら、その時は学習塾がビジネスとして大きな成果を出すのでしょうか。それとも、自分流に勉強できる子どもたちが多くて必要はないのでしょうか。中には各家庭で親が勉強を教えるシステムもあるので、勉強をするスタイルが多様性なのはさすが日本とは違うなという印象です。
supplemental classes for university entrance exam
supplementalはサプリメントとしても使われている単語ですが、「補足的な」という意味です。大学受験はuniversity entrance examですから、これらを組み合わせて「大学入試試験のための補足的な授業」と表現してみました。受験は高校受験もあるのですから、universityをhigh schoolに変えても良いですね。
その高校受験や大学受験は子どもたちの進路を決める大切なことで、学校では先生から耳に胼胝ができるくらい勉強しろと言われて進路指導も入ることを説明できればなお良いです。それなら塾という施設も必要か、と相手に思ってもらえたら、説明は上手く行ったと言うべきでしょうね。
まとめ
塾という英語について今まであまり聞かなかったり、なんとなくうやむやになっているなと感じていた方も多いのではないでしょうか。その理由は、英語圏と日本の教育システムが異なるからでした。受験に対して過剰に勉強を強いる日本と違い、英語圏はもっとゆったりとしています。入学するのは比較的楽でも、卒業するのが難しいなどそれぞれの国での違いを調べてみるのも面白そうですね。一応今回は英語で説明するならtutoring schoolが一番それに近い意味かなと思うので、困ったら使ってみましょう。jukuで通じるのは日本通の外国人のみです。