「もし~なら」を英語で言うときに、”if”を使うというのはみなさんよく知っていることと思います。
if構文やif節、仮定法など、授業で習った文法をなんとなく、ぼんやりとした感覚で使っているという人もいるのではないでしょうか。

“if”が「もし〜」という意味を表すのは、もちろん間違ってはいません。
しかし、じつは”if”は動詞の時制や文の構成によって、「もし〜」以外にもいろいろな意味を持っているのです。

今回は、わかっているようで意外と知らない“if”について、正しい意味と使い分けを徹底解説していきます。
難しいイメージのある英単語”if”を完璧にマスターして使いこなせるようになりましょう!

“if”が持つ2つの意味

“if”は、「もし〜ならば」を意味する英語(接続詞)として知られています。
中学英語習った文法知識から、「もし〜」の英文には”if”を使うと機械的に覚えている人も少なくありません。
一見シンプルに思える”if”ですが、じつは動詞の時制や構文によってはいろいろな意味を持つと知っていましたか?

接続詞”if”に続く動詞や構文はひとつではないので、なかなか一度で理解するのは難しいところです。
“if”を辞書で調べてみると以下のような意味が書かれており、わたしたちが最初に習い、おそらく多くの人の記憶に残っているのが1.の「もし〜」という意味になります。

  1. 仮定・条件を表して「もし~ならば」「~する場合に」「もし~だとしたら」
  2. 譲歩・対照を表して「たとえ〜であっても」「~だとしても」「~であっても」
  3. 時を表して「~のときはいつでも」
  4. 間接疑問文を導いて「~かどうか」

 

参考:Weblio英和辞書

“if”には、大きく分けて2つの意味があります。

  • 副詞節としての「もし~ならば」
  • 名詞節としての「~かどうか」

副詞節の”if”は、直接法と仮定法という2つの文法があり、仮定法はさらに仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法未来の3つに分類されます。
一方、名詞節としてはたらく”if”は、文を構成する主語や目的語、補語にあたり「〜かどうか」という意味を表します。

主語に動詞に補語、仮定法、過去完了…。英語が苦手な人は、もうすでに耳をふさぎたくなっているかもしれませんが、”if”を解説していくうえで仮定法はとても重要なキーワードです。
このあと何度も出てきますので、心して読み進めていきましょう!

副詞節の”if”

副詞節のif

“if”が作る文のまとまりはif節と呼ばれ、「もし〜ならば」を意味するif節は副詞節と言います。

副詞節としての”if”は、英英辞書で以下のように定義されています。

You use if in conditional sentences to introduce the circumstances in which an event or situation might happen, might be happening, or might have happened.
条件文のifは、ある出来事や状況が起こるかもしれない、起こっているかもしれない、起こったかもしれない、という状況を説明するときに使う。

参考:Collins English Dictionary

副詞節の”if”には、直説法と仮定法という2つの使い方があります。
どちらも日本語では「もし〜なら」と訳されるのですが、直接法と仮定法では内容が全く異なるので、意味を理解して正しく使い分けることが必要です。

直接法 現実に起きた出来事、実現可能な状況、話し手が十分にあり得ると思える内容などについて述べる場合に用いる
仮定法 現実に起きていない出来事、実現不可能な状況、話し手があり得ないと思う内容などについて述べる場合に用いる(=物事や状況を仮定する)

副詞節の”if”を区別するポイントは、直接法には現実にあり得る内容が、仮定法には現実ではあり得ない内容が入るところです。

現実的な直接法と非現実的な仮定法、それぞれをさらに詳しく解説していきましょう。

直接法

直接法は、ある条件を満たしたときに起こりうる物事や状況について述べるときに用いられます。

直接法の基本形には、以下の2パターンがあります。

  • if + 主語 + 動詞の現在形, 主語 + 動詞の現在形
  • if + 主語 + 動詞の現在形, 主語 + will / can / want to

訳はどちらも「もし〜なら…する」「もし〜すると…する」となり、現実に起こりうる内容あるいは起こる可能性の高い事象を表します。
“will”以外にも、”can”や”want to”を使って「〜なら…できる」「〜なら…したい」と表現できます。
if節内の動詞は必ず現在形で、未来形にはしないので注意しましょう。

【直接法の例文】

Aさん
If it rains tomorrow, I’ll stay home and relax all day.
訳)もし明日雨だったら、一日中家でのんびり過ごします。
Aさん
If my father drinks too much coffee, he can’t sleep at night.
訳)父はコーヒーを飲みすぎると、夜眠れなくなります。
Aさん
If she doesn’t come, what will you do then?
訳)もし彼女が来なかったら、あなたはどうするつもりですか?

仮定法

仮定法は、現実には起こり得ない物事や状況を「〜ならば」と仮定して述べるときに用いられます。

仮定法には、仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法未来の3つの用法があり、用法によってそれぞれ意味が異なります。
違いを見分けるのは少し難しいですが、基本の形をおさえて使い分けられるようにしておきましょう。

  • 仮定法過去
    If + 主語 + 動詞の過去形, 主語 + would + 動詞の現在形
    「もし(過去に)~だったら、(今は)…する」
  • 仮定法過去完了
    If + 主語 +had+過去分詞, 主語 + would / could + have + 過去分詞
    「もし(過去に)~だったら、(過去に)…した」
  • 仮定法未来
    If + 主語 +should / were to +動詞の原形, 主語 + should / would / might +動詞の原形
    「(可能性は極めて低いけれど)もし~なら、…だろう」

仮定法過去と仮定法過去完了の違いは、仮定する事実が現在のことを指すのか、過去のことを指すのかという点です。

仮定法過去 現在の事実に対して、もしそうではなかったとしたらと仮定する
仮定法過去完了 過去の事実に対して、もしそうではなかったとしたらと仮定する

仮定法未来は、起こる確率が低いまたは実現不可能な物事や状況が起きたとしたら、と万が一のことと仮定して述べるときに使います。
未来についての話ではあるものの、実現する可能性は低く、日本語では「万が一」と訳されることが多いです。

【仮定法過去の例文】
「もし(過去に)~だったら、(今は)…する」

Aさん
If I were rich, I would buy the latest iPhone immediately.
訳)わたしがもしお金持ちだったら、今すぐ最新のiPhoneを買えるのだが。
Aさん
If I lived in Okinawa, I could go to the beach almost every day.
訳)もし沖縄に住んでいたら、毎日のようにビーチへ行けるでしょう。
Aさん
If you got a two-month holiday, what would you like to do?
訳)もし2か月の休暇をもらえるなら、何をしたいですか?

【仮定法過去完了の例文】
「もし(過去に)~だったら、(過去に)…した」

Aさん
If it had not rained, we would have camped as we planned.
訳)もし雨が降っていなかったら、予定通りキャンプをしていたのに。
Aさん
If I had had enough money in my wallet yesterday, I could have bought that coat.
訳)もし昨日、財布にもっとお金があったら、あのコートを買えたのに。
Aさん
If you had left on time, you could have caught the train.
訳)もしあなたが時間通りに出発していれば、電車に間に合っていたはずです。

【仮定法未来の例文】
「(万が一)~なら、…だろう」

Aさん
If it were to snow tomorrow, we might have to cancel our trip.
訳)万が一、明日雪が降ってしまったら、旅行はキャンセルしなければならないかもしれません。
Aさん
If I should win the lottery, I would quit my job first.
訳)万が一宝くじに当選しようものなら、わたしはまず仕事を辞めるでしょう。
Aさん
If we were to get involved in a traffic accident, what should we do?
訳)万が一交通事故に遭ったら、どうすれば良いのでしょうか?

 

名詞節の”if”

名詞節のif

“if”には「もし〜なら」のほかにもう一つ「〜かどうか」という意味があるのも忘れてはなりません。
この「〜かどうか」を表すif節は名詞節と呼ばれ、おもに間接疑問文の目的語としてはたらきます。

名詞節としての”if”は、英英辞書で以下のように定義されています。

You use if in indirect questions where the answer is either ‘yes’ or ‘no’.
ifは、答えが「はい」か「いいえ」のどちらかである間接的な疑問文で使う。

参考:Collins English Dictionary

副詞節と名詞節を見分けるポイントは、日本語訳とif節の有無です。
「もし〜なら」と訳せる場合は副詞節、名詞節の”if”は丸ごとなくしてしまうと文が成り立たないと覚えておきましょう。

副詞節の”if” 「もし~なら」と訳せる
if節がなくても意味が通じる
名詞節の”if” 「もし~なら」と訳せない
if節がないと意味が通じない

【名詞節の”if”の例文】

Aさん
I’ll ask her if my boss will come back to the office today.
訳)上司が今日オフィスに戻るかどうか、彼女に聞いてみます。
Aさん
I’m not sure if I can go to your birthday party tonight.
訳)今夜あなたの誕生日会に行けるかどうかはわかりません。
Aさん
I don’t remember if I told you about my family.
訳)わたしの家族についてあなたに話したかどうか覚えていません。

 

まとめ

わかっているようで意外と知らない難単語”if”について、正しい意味と使い分けを解説しました。

“if”には、「もし〜なら」の副詞節と「〜かどうか」の名詞節、2つのはたらきがあります。
副詞節は直接法と仮定法に分けられ、仮定法はさらに仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法未来と3つに分類されます。
すべての構文を一度に暗記するのは難しいですが、今回紹介したそれぞれの文法の違いや見分け方のポイントをしっかりおさえ、”if”への苦手意識を克服していきましょう!

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