日本文化に侘び寂びがあり、外国人にとって魅力に映るもののひとつであることは間違いありません。日本ならではの風情になくてはならないのが苔。

この苔、英語でなんというのでしょう?苔が生えた日本庭園はどのように表現すればいいのでしょう。

この記事では、英語「苔」や「苔が生える」などの表現を紹介します。語彙を増やすとともに、苔の魅力について日本文化好きの外国人と会話できるようにしてみませんか?

苔の魅力

世界に約2万種、日本でも約1,700種あると言われる苔。
苔は蘇類(せんるい)・苔類(たいるい)・ツノゴケ類に分類されます。湿った地面や岩や木の幹などに生えるとても小さな緑または黄色の植物です。スナゴケ、タマゴケやコツボゴケなどありますが、苔が盆栽の装飾に使われることもあったりします。

日本が苔が生えるのに適した湿潤な気候であることは大きく、だからこそ苔が愛でる対象になりますが世界では珍しいようです。京都や鎌倉などのお寺や神社の庭は、苔があることによって一層美しいものになります。
趣味で、苔玉や透明なガラス容器のなかで苔を育てる苔テラリウムをする人もいます。日本文化の盆栽も小さな世界観が素晴らしいですが、さらに小さな苔も部屋で緑を楽しむのに人気です。

苔の英語はmoss

さて、さっそく「苔」の英語からみていきます。
苔は英語でmoss、発音はモスのようにします。

苔はmoss

mossには名詞と動詞の働きがあります。

名詞: コケ・コケに似たモス

動詞: 〜をコケで覆う

Aさん
Some moss is used for Bonsai.
訳)盆栽に使われる苔があります。
Aさん
Temples and shrines in Japan have beautiful gardens covered by moss.
訳)日本の寺や神社には苔に覆われた美しい庭園があります。
Aさん
Japanese enjoy making moss balls as a hobby.
訳)日本人は趣味として、苔玉作りを楽しみます。

この例文のように、苔だまのことをモス・ボール(moss ball)と呼んだりします。

「水槽に苔が付いた」というときの英語

ご家庭で水槽を持っていると、お掃除が大変ですね。掃除しなければならないのは緑色になったコケだったりします。

水槽についてしまう苔はalgae

苔の英語はmossですが、水槽につくような苔にはalgae(アルジー)が適します。algaeを辞書で調べると「藻(も)」とでてきます。
例外はあるものの、苔は陸上、そして藻は水中で生活しているという理由からです。水槽のなかはmossよりalgaeということが分かりますね。コロコロと可愛い北海道の有名なマリモも水中に生きる藻なんですね。

「水槽に苔が付いた」の表現

さて、掃除しなければならない水槽についた苔、この英語表現をみていきましょう。

「水槽に苔が付いた」に出てくる水槽はtank、苔にはalgaeを使うと、以下のような英文になります。いくつかの表現がありますので日本語を参考にしてください。

Algae is growing in the tank.
水槽内に藻(苔)が生えている。

The tank’s got algae.
水槽に藻(苔)が生えてしまった。

The inside of the tank is covered by algae.
水槽のなかは藻(苔)で覆われている。

苔も藻も生き物ですので、水槽に苔が付いた=水槽に苔が生えたということになるんですね。このときには、例文のようにalgae growやget algaeのように表しましょう。

ここで、家庭で起こり得る英会話例もみてみましょう。
魚を飼いたくって子どもがお願いして買ってもらった水槽。鑑賞と掃除がセットということはなかなかマッチしないことが(汗)

Aさん
When was the last time you cleaned the tank?
訳)最後に水槽を掃除したのっていつ?
Bさん
Hmmm… I can’t remember.
訳)う~ん、思い出せない。
Aさん
You left it too long. That’s why there’s algae growing in the tank. Can you clean it today?
訳)そのままにしすぎたね。だから水槽内に藻(苔)が生えているのよ。今日掃除してくれる?

「苔(こけ)が生える」 というときの英語

「苔(こけ)が生える」 というときの英語

「水槽に苔が付いた」のところで、水槽に苔が付いた=水槽に苔が生えたということになり、algae growやget algaeのように表すということを紹介しました。

「苔が生える」の表現

growによって、苔が生えると表現することができます。growは苔だけでなく、人や動物が成長する・育つというときに使える動詞です。growのコアイメージは”自生力で成長する”であり、身長だけでなく髪やヒゲもそうですし、企業などの成長にも使われる言葉になります。
grow(現在形)・grew(過去形)・grown(過去分詞)です。

  • Moss grow. 苔が生える。
  • Moss grew. 苔が生えた。
  • Moss has been growing. 苔が生えてきた。

「苔が生える」の例文を紹介

Aさん
Moss grew on the rock.
訳)岩の上に苔が生えた。
Aさん
The tree is covered by moss.
訳)その木は苔で覆われている。
Aさん
I love Japanese gardens that has moss covering everywhere.
訳)私はいたるところ苔が生えている日本の庭園が大好きです。

「転がる石に苔はつかない」の英語

皆さんは「転がる石に苔はつかない」ということわざを知っていますか?
この意味にはいくつかの説があります。例えば、世の中に合わせて軽々しく行動を変える人は結局成功しない、またはよく動いてよく働く人は生き生きと健康でいる、といった例えです。ずいぶん違う解釈ですね。

A rolling stone gathers no moss

”転がる石に苔はつかない”の英語は「A rolling stone gathers no moss」です。もともとラテン語であったものを1500年頃に、イギリスで出版されたエラスムス「アダージア」によって普及した言葉です。エラスムスはオランダのヒューマニストで文献学者です。
これによれば、意味は一ケ所に定住しない人は富、地位あるいは責任や義務を得られないというものになります。一方、これがアメリカの解釈になると、活動的にしていれば苔も生えない、よって能力を錆びつかせないというニュアンスに変わります。

ところで、イギリスの超有名なバンド”The Rolling Stones”はアメリカのニュアンスから命名されたのでしょうか?!1962年のグループ結成以来、今も現役ですね。

舌苔・苔寺・モスグリーンなど苔にまつわる表現を紹介

舌苔・苔寺・モスグリーンなど苔にまつわる表現を紹介

苔を使った言葉がいろいろあります。そこで、ここでは舌苔、苔寺やモスグリーンなどの英語表現を紹介します。

舌苔

舌の表皮が剥げて、表面にコケのようにたまったものが舌苔(ぜったい)です。舌であるtongueを使い、舌苔の英語はcoated tongue/tongue coating/tongue plaqueなどになります。

Aさん
A coated tongue is also known as a white tongue. This typically occurs from bacteria, food matter and other reasons.
訳)舌苔は白い舌としても知られています。通常、細菌、食物やその他の原因で発生します。

苔寺

苔寺の英語は、そのままmoss templeという言い方です。

Aさん
Saihoji in Kyoto is registered as a world heritage site and is famous as a moss temple.
訳)京都の西芳寺は世界遺産に登録されており、苔寺として有名です。

モスグリーン

様々な緑色がありますが、そのなかにモスグリーンがあります。実は、苔mossからきていて、暗い黄緑色がモスグリーンです。モスグリーンは英語でmoss greenとなります。

Aさん
My favourite colours are white and moss green.
訳)好きな色は白とモスグリーンです。

モスバーガーの英語も苔のmoss?

モスバーガーの名前の由来を知っていますか?
ここまで苔=モスと学んできましたので、もしやモスバーガーも苔から?!と思った皆さん、安心してください。苔バーガーではありません(当然!)。

モスバーガーはMOS Burger

モスバーガーさんのウェブサイトに、名前の意味が載っています。それによると、M(Mountain)O(Ocean)S(Sun)の頭文字をとった物でした。”山のように気高く堂々と、海のように深く広い心で、太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って”という気持ちが込められているそうです。
このトリビアを知った今、次にモスバーガーを食べるときはさらに美味しく感じることでしょう。

参考:MOS Burger「モスバーガーの歴史について」

まとめ

  • 苔 moss
  • 藻 algae

日本文化である侘び寂びに欠かせない苔。美味しいモスバーガーを食べながら、お寺や神社が好きな外国人との会話にぜひ役立ててみてはいかがでしょう?!