水面と空の境界線を「水平線」、地面と空の境界線を「地平線」と呼びます。
海で見る水平線、飛行機からみた地平線、どんなシーンでも自然の大きさや無限を感じて感動し、一緒にみた人との思い出の1ページにもなったりします。
ところで、皆さんは水平線や地平線を英語でどう表現するか知っていますか?

記事では、英語で表現する水平線と地平線、関連フレーズなどを紹介します。なかなか知ることのない単語ですが、この機会に学びましょう。

水平線の英語

大きな海で水平線を眺めると、緩やかな曲線を描いていることが分かります。家族や友達とビーチに行ったときに「水平線見て〜!」のような会話をしたことがある人は多いかもしれません。

水平線を英語はいくつかの言い方がありますので、一般的なhorizonとその他に分けて紹介しましょう。

水平線はhorizon

モネやマネなど、印象派の画家たちが水平線をモチーフにすることがあります。クロード・モネが1908年に製作した”黄昏、ヴェネツィア”では黄金色が水平線に向かうほど赤みが増していくマスターピースです。

この「水平線」を英語にすると、一般的な表現は「horizon」になります。horizonは日常会話であまり使わないものの、中学上級~の単語です。
sea(海・海べ・海岸)を加え、sea horizonとするパターンもあります。水平線をイメージしやすいですね。

horizonの意味とtheをつける理由

horizonはカタカナ発音では、ホライゾンやホライズンのように発します。水平線であるとともに、人の知識や経験などの「視野・領域」の意味があります。
英語の教科書にNEW HORIZONという名前がありました。このネーミングも”新しい視野・新しい領域”というコンセプトから命名されたのかもしれませんね。

また、horizonは「水平」の意味も持ちます。
あれは水平だ、これは垂直だという英語表現もなかなか口に出ないかもしれません。水平な◯◯とするときには形容詞horizontal(ホリゾンタル)、垂直な◯◯はvertical(ヴァーチカル)で表現します。この機会に、覚えていきましょう。

horizonにtheをつける理由

horizonという単語を水平線として使う場合には、冠詞theとともに使います。
太陽をthe sun、月をthe moonなどはこの世の中にひとつしか存在しないためtheをつけます。これ以外にも英語には、海洋・河川・山脈や砂漠など一部の固有名詞にもtheをつけるルールがあります。水平線もこのような扱いに含まれます。

実際にthe horizonをどのように使うのか、具体的に例文でみていきます。海で見る美しい日の出や日没を言えるようになるためにも、水平線から太陽が昇った、沈んだという例を挙げてみましょう。

Aさん
The sun rose above the horizon.
訳)太陽が水平線の上に昇った。

roseはrise(昇る・上がる・上昇する)の過去形です。
above the horizonとすることで”水平線の上に”の意味になります。aboveに上に(へ)・上方に・上位になどの意味があるからです。
この例文を一言にすれば、sunrise(日の出)ですね。

Aさん
The sun sank below the horizon.
訳)太陽が水平線の下に沈んだ。

sankはsink(沈む・徐々に下がる)の過去形、below the horizonは”水平線の下に”です。belowには、位置が下に・低くという意味があります。sankの代わりに、dip(見えなくなるまで突然沈む・下がる)の過去形dippedに置き換えることができます。
では、この例文を一言にしてみてください。
答えは、sunset(入り日)ですね。

水平線はhorizontal lineとlevel line

水平線の英語はhorizonを代表に、horizontal lineとlevel lineといった表現もあります。

horizontal lineは”水平”のところで紹介したhorizontal(水平な)にline(ライン・線・直線)を組み合わせたフレーズです。
level lineのlevelには同じ高さや基準位置に加え”水平な”の意味があります。

このように、水平線は水平に関連する単語を使って異なる表現があることが分かります。
しかし、これら2つの表現は景色で見る水平線よりも、グラフにおける水平な線=水平線のイメージのほうが強いと言えます。

地平線の英語

地平線の英語

さて、水平線の次は地平線です。地平線は、大地の果てと空の境界部分です。例えば、日本では北海道が北の大地として広大な自然のなかで地平線を見ることができます。海外では、オーストラリアのウェーブロックが360度の地平線として有名です。
一方、空を背に山々や建物の連なりが地平線に描く輪郭はskyline(スカイライン)と呼ばれます。

地平線もhorizon

ここで皆さんにgood newsがあります。
というのも、ここまで水平線として紹介してきた「horizon」が地平線の英語でもあるからです。

自分のいる場所によって、水平線で紹介した2つの例文を地平線に置き換えることができます。英語は同じでも、日本語訳が異なります。

The sun rose above the horizon.
太陽が地平線の上に昇った。

The sun sank below the horizon.
太陽が地平線の下に沈んだ。

他の例文を挙げてみましょう。

Aさん
Hard rain obscured the horizon.
訳)激しい雨が地平線を覆い隠した。

水平線も地平線も冠詞theをつけ、the horizonにする点をしっかり押さえましょう。

水平線と地平線の英語 違いを説明するフレーズ

水平線と地平線の英語 違いを説明するフレーズ

水平線と地平線の英語が同じthe horizonだということを学びました。
しかし、2つの違いを説明する必要がある場合、どのように表現すればよいのでしょうか?

水平線の説明

水平線にはsea horizonという言い方があることに触れました。これ以外ということで、アメリカの科学誌National Geographicよりhorizonを説明する英文を紹介します。

Aさん
The sea-level horizon is the geographic horizon at sea level.
訳)海面水平線とは、海面における地理的な水平線のことである。
Aさん
One of the best places to see the sea-level horizon is a beach.
訳)海面水平線を見るのに最適な場所のひとつはビーチである。

これらの例文ではthe sea-level horizonの表現にしているところに注目しましょう。

引用:National Geographic “Horizon”

地平線の説明

地平線はthe land horizon/the earth’s horizonのように表現することができます。
ここでもNational Geographicからひとつ英文を紹介します。

Aさん
The horizon is the line that separates the Earth from the sky.
訳)地平線は地球と空を隔てる線である。

地平線は線であること、それは空を地球を区切るものである説明をしています。地球は大地や地に置き換えることができます。

引用:National Geographic “Horizon”

「はるかに水平線にまで続いている」の英語

キラキラした海に太陽の光が反射しているような景色。この光がはるか水平線にまで続いているよ、と会話で言いたい場合の英文を紹介しましょう。

「はるか水平線にまで続いている」の英語

Aさん
Look! The sun’s rays continue far into the horizon.
訳)みて!太陽の光が水平線の彼方にまで続いている。
Aさん
It’s so beautiful that the fields of rapeseed blossoms stretch to the horizon.
訳)葉の花畑が地平線まで続きとっても美しい。

「水平線が見えた」の英語

「水平線が見えた」の英語

最後に、水平線を見たときに使える英語フレーズを紹介しましょう。

水平線が見えたときの英語フレーズ

Aさん
We can see the horizon far ahead.
訳)私たちは遥かかなたの水平線が見えます。
Aさん
I see the horizon far away.
訳)遠くに地平線が見える。
Aさん
My son is excited and saying he can see the horizon.
訳)息子は興奮して水平線が見えると言っています。
Aさん
I saw the horizon from the beach last night.
訳)昨夜、海岸から水平線を見た。
Aさん
He told me he saw the horizon in Hokkaido.
訳)彼は北海道で地平線を見たと言った。

まとめ

記事では、水平線と地平線の英語が同じthe horizonで表現できることを紹介しました。

horizonと言えば、この記事を執筆している2024年1月はイギリスの郵便局スキャンダルとして大きなニュースがあった直後です。1999年〜2015年、900人以上もの郵便局長が横領や不正で訴追されたのですが、これは無実の罪だったのです。原因は欠陥のある会計システムを導入したためだったのですが、このシステムの名前がHorizon。イギリス史上最大の冤罪と呼ばれるこの事件、システムHorizonは富士通によって納入されたのです。
きっと、水平線・地平線ではなく、記事でも紹介したhorizonが持つもうひとつの意味がネーミングに選ばれたのかもしれませんね。