今回のテーマは「補正」です。補正という言葉は日本語の場合、非常にさまざまなニュアンスで使われますが、英語ではどれも同じ単語なのか、それぞれ違うのか、気になりますね。
この記事では、英語で補正を表す主要な4単語を取り挙げ、それぞれの意味やニュアンスの違いを説明していきます。
また、記事の後半では「補正予算」や「補正下着」、「思い出補正」といった補正に関連する表現を英語で何と言うかについても、詳しくご紹介します。
これを読めば、英語で色々なニュアンスの補正が適切に表せるようになりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「補正」は英語で何て言う?
日本語の「補正」は、字義の通り「何かの足りない部分を補って正しくする」という意味です。そのため、この「補う」「正しくする」の解釈によって、適する英語の訳語が異なってきます。
先に全体像を示すと、以下が「補正」の英語訳として考えられるラインナップです。
- correction
- revision
- adjustment
- retouch
それぞれの意味やニュアンスの違いについて、以下で詳しく確認していきましょう。
誤りを修正する補正:correction
何か誤りがある前提で、それを修正するような「補正」の場合は “correction” が使われます。
correction は「正しい、正解」という意味の形容詞 correct が名詞になった表現です。答案などで×がある部分を正し、全体を○だけにするような様子を想像してもらうと良いでしょう。
correction は、ビジネスでの補正から、日常生活でのちょっとした補正まで使える、比較的中立的なイメージの表現です。
そのため、補正を表す際の単語選びで迷ったら、まず correction を候補に入れると良いでしょう。
なお、「補正する」と動詞で言いたい場合は、形容詞と同形の “correct” になります。
This poster has an error in the date, so it needs to be corrected as soon as possible.
訳)このポスターは日付の部分が間違っているので、なる早で補正しなければならない。
文書や計画などに手直しや訂正を加える補正:revision
文書や計画などの内容を確認し、より良い形に手直しや訂正を加える「補正」を表すのが “revision” です。
前述の correction が、誤りがあることを前提としていたのに対し、revision では誤りがあるかどうかわからない状態で補正を行います。たとえば、大学生などが論文を提出するにあたって、間違いがないか最終確認をするようなイメージです。
なお、「補正する」と動詞で使う場合は “revise” という形になります。
After receiving the manuscript from the writer, a revision is needed in the editorial department.
訳)ライターから原稿を受け取った後は、編集部での補正が必要です。
ちなみに、revision と似たイメージの単語に review がありますが、こちらは単に内容をおさらいして、復習などをすることを指すことが多いです。
見直したうえで修正を加える場合は revision、単に見直すだけなら review というイメージで覚えておきましょう。
なお、review は動詞で使う場合もそのまま review でOKです。
Alright! I’ve finished my thesis!
訳)よっしゃー!卒論が完成した!
Congratulations! Before submission, it’s a good idea to thoroughly review it to avoid any regrets.
訳)おめでとう!提出する前に、後悔がないようにしっかり見直ししておいた方がいいよ。
色などのバランスを調整する補正:adjustment
文書や写真などにおいて、全体のバランスを調整する「補正」の場合は “adjustment” が適しています。
adjustment はもともと「正しい方向(just)に向ける(ad)」という語源を持っていて、正解か不正解かではなく、より適切な状態に持っていくための調整を表します。
そのため、たとえばカメラで写真を撮る際、被写体が美しく写るように補正するようなシーンでは、adjustment が適切だといえるでしょう。
ちなみに、「補正する」という動詞で使う場合は “adjust”、あるいは “make the adjustment” の形になります。
Can you adjust the atmosphere of this photo to give it a retro feel?
訳)この写真、レトロな雰囲気に補正できる?
Leave it to me!
訳)任せて!
写真などで内容に手を加える補正:retouch
写真の被写体などに大幅に変更を加えるような「補正」の場合は “retouch” が使われます。
retouch は「再び(re)触る(touch)」が原義になっていて、字義通り一度仕上がったものに、もう一度手を加える行為を表します。
retouch が文章の補正に使われることはほぼ無く、十中八九、写真の補正に使われる表現です。また、前述の adjustment と異なり、被写体の形状を変えるなどの大がかりな補正を表します。
たとえば、撮った写真の色合いをセピア調に変える程度なら adjustment が、写っている顔の輪郭をシャープにしたり、脚を長くしたりする場合は retouch が適しているでしょう。
なお、「補正する」と動詞で表現する際も、名詞と同形の retouch でOKです。
In recent times, photo and video retouching technologies are so advanced that everyone appears to be exceptionally good-looking.
訳)最近は写真や動画の補正技術が凄すぎて、誰も彼もが美男美女に見えます。
「補正予算」など、「補正」の関連表現を英語で言ってみよう!
ここからは、「補正予算」や「補正下着」など、日本語で「補正○○」と表現する言葉を、英語で何と言うか確認していきましょう。
「補正予算」in English
国会などで使われる「補正予算」は、英語で “a revised budget” と表現します。
revise は前述の通り、文書や計画などを、より良い形にするための手直しのことです。そこから、状況にあわせて適宜修正をした予算というニュアンスになります。
また、同じく補正予算を表す言葉として “supplementary budget” もあります。こちらの場合は、内容を補正したというより、足りないものを補うために追加した予算というニュアンスです。
「補正下着」in English
体型を補正するために着用する「補正下着」は、英語で “shapewear” と言います。
補正下着の目的は、端的に言うと「体型を美しく見せること」ですね。そのため、「体型」を意味する “shape” が使われています。
また、shape には「形作る」という動詞の意味もあり、それをもとにした “shaping underwear” という言い方もあります。直訳すると「理想の体型を作るための下着」といった意味になります。
「思い出補正」in English
日本語では、昔のものを実際より良く捉えてしまうことを「思い出補正」と言いますね。これと同等の意味を英語で表すなら “nostalgic filter” が適切です。
nostalgic は「懐かしい」、filter はそのまま「フィルター」なので、nostalgic filter を直訳すると「懐かしさによるフィルター」という意味になります。
懐かしさが邪魔をして、先入観をもって物事を見てしまう点で、日本語の「思い出補正」と非常に似たニュアンスになります。
まとめ
今回は「補正」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
英語で補正を表す際は correction、revision、adjustment、retouch などが使われます。それぞれにニュアンスが違いますが、一番ニュートラルで使いやすいのは correction なので、迷ったらこちらを使っておくと良いでしょう。
今回ご紹介したことを参考に、英語でも色々な補正を表していきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!