東京2020パラリンピックの競技の一つに、卓球があります。パラリンピックにおける卓球は出場選手が多いほか、クラスが車いす、立位、知的障がいなどに大きく分けられ、障がいの程度に応じて階級が振り分けられているという特徴があります。この記事では、パラリンピックにおける卓球のルールや見どころ、そして卓球にまつわる英語表現や英単語などについて、よく使われるものを中心に説明していきます。
卓球は英語で何と言う?
卓球は英語で「table tennis」または「ping-pong」と言います。
例文
I like table tennis.
訳)私は卓球が好きです。
I played ping-pong with my daughter yesterday.
訳)私は昨日娘と卓球をしました。
「table tennis」は文字通りテーブルの上で行うテニスという意味です。
また、「ping-pong」という単語は、ラケットでボールを打った時の打球音が語源であるとされています。
卓球という意味を表す単語には以上の二つがありますが、正式名称としては前者の「table tennis」が用いられています。実際に、卓球の国際競技連盟である「国際卓球連盟」の英語表記は、「International Table Tennis Federation」(略称ITTF)となっています。
卓球の歴史
卓球の歴史
卓球は、イギリスの上流階級の人々が雨が降っていて外でテニスができない時に、その代わりとして食卓でテニスを楽しんだことがその起源になっていると言われています。20世紀になるとセルロイド球と呼ばれるボールが用いられるようになり、その心地よい音や打球感から卓球人気はみるみるうちに世界中に広がっていきました。オリンピック(Olympic)においては、1988年のソウル大会ではじめて男子・女子ともに正式競技として実施されました。
日本における卓球の歴史
日本に卓球が持ち込まれたのは20世紀初頭のことです。東京高等師範学校の教授であった坪井玄道が、留学先のイギリスから卓球の用具とルールブックを持ち込み、「ピンポン」という名称で日本に紹介しました。この数年後には日本初のトーナメント大会がおこなわれるなどして、「ピンポン」は着実に人気を集めていきました。なお、日本に持ち込まれてしばらくの間は「ピンポン」という名称で呼ばれ、現在用いられている「卓球」という名称が生まれたのは1918年頃と言われています。
パラリンピックにおける卓球
パラリンピック(Paralympic)における卓球の歴史は、1960年にまで遡ることができます。
卓球は、1960年にイタリア・ローマで開催されたパラリンピック第1回ローマ大会ではじめて実施され、今に至るまで継続して実施されています。1964年東京大会では日本人選手が金メダルを獲得し、日本史上初のパラリンピック金メダリストとなりました。
パラリンピックにおける卓球の楽しみ方
競技形態の説明
パラリンピックにおける卓球は、基本的には一般のものと同じルールに基づいておこなわれます。11点先取の5セット制で、3セットを先にとったほうが勝利となります。ネット(net)やラケット(racket)、ボール(ball)などといった用具についても一般で使われるものと同じものを使用します。ただ、車椅子の場合は卓球台の足がエンドラインから40cm以上離れたものを使う、杖を使う選手の場合は杖が台に当たると反則扱いになる、などというように、選手の持つ障がいに応じて若干のルール変更が加えられています。
また、競技は障がいの種類によってクラス分けがされており、そのクラスは車いす(wheelchair)、立位、知的障がいの3つに大きく分けられます。その中でも障がいの程度によって細かく分かれており、クラスの総数は11となっています。また、卓球は知的障害を持つ人が参加できる数少ない競技の一つとなっています。
種目は男女別に戦う個人戦と、同じクラスの選手同士で2~4人の団体を組んで戦う団体戦があります。クラスが同じであれば、異なる障がいを持った選手同士が試合を行うこともあります。試合形態には、一般的な卓球と同じく1対1で試合を行うシングルス(singles match)と、2人ペアで試合をおこなうダブルス(doubles match)とがあります。
試合の見どころ
パラリンピックにおける卓球の見どころは、選手自身の障がいに応じたプレースタイルです。パラリンピックの卓球では、選手それぞれが自らの障がいに応じたパワフルなプレーを繰り広げています。義足や杖、車椅子などといった補助具を用いる選手もいれば、ラケットを口にくわえてプレーをする選手もいるなどプレースタイルも十人十色です。
また、サーブ(serve)についても一般的なルールでは、相手に見えるような形でボールを手のひらにおいて構え、16cm以上トス(toss)をあげなければならないというルールが存在する一方で、パラリンピックの卓球では肘にボールを乗せてトスをする等といった工夫をすることが認められており、サーブ一つをとってもその選手の個性が強く出ています。
そして、個性的なプレースタイルから繰り広げられるプレーは非常に強力です。体全体を使ったトリッキーなプレーや、凄まじい速さのスマッシュ(smash)、激しいレシーブ(receive)の応酬などは目を見張るものがあります。また、時には相手の身体的な弱点をついて攻撃を仕掛けることもあり、スーパープレーの連続で会場は熱狂に包まれます。
卓球用語を英語で【ルール】
サーブ “serve”
サーブは英語で “serve” と表します。サーブは2点ごとに交替です。
サーブをする人は、”server” といいます。
レシーブ “receive”
レシーブは英語で “receive” といいます。レシーブをする人は、”receiver” です。
ラリー “rally”
連続してボールを打ち合うことを英語でラリー “rally” と呼びます。”rally”という言葉は。「集める」などといった別の意味で用いられる場合もあるので注意が必要です。
シングルス “singles”
一対一で行う試合のことを シングルス “singles” といいます。
ダブルス “doubles”
二人一組となり、二人対二人で行う試合の事をダブルス “doubles” といいます。
カウント “count”
点数のカウントのことを 英語で “count” といいます。
卓球の点数は、正式には英語で読み上げてカウントします。卓球の点数は、英語でカウント0は “ラブ” といいます。
試合の開始の合図は、審判の「ラブ・オール」という宣言です。
ラブゲーム “love game”
ラブゲーム(love game)とは、卓球用語の一つで、11対0のように、相手に1点も与えずに終わる試合のことを指します。「love」は、フランス語で「卵」という意味の「l’oeuf(ルフ)」という言葉が由来になっていると言われています。卵の形が数字の0に似ていることから、このような呼ばれ方をするようになったそうです。
デュース “deuce”
最終得点前に同点(10-10)になった状態のことを「デュース」”deuce” といいます。デュースになってからはサーブは1本ずつ交代し、連続して得点を得た(2点差がつく)方がそのゲームに勝利することになります。
チェンジコート “change end”
卓球においてコートを交換することをチェンジエンド “change end”といいます。
チェンジエンドは1ゲームごとに行われます。最終ゲームでは、どちらかの選手が5点に達した時点でチェンジエンドをします。
インプレー “in play”
インプレーとは、ボールがサービス開始直前に手のひらで静止した最後の瞬間からラリーがレットまたはポイントになるまでの間を指す言葉です。
オブストラクション “obstruction”
「オブストラクション」とは、ボールの進路を妨害することを意味します。
レット “let”
サーブがネットに触れて相手コートに入った時、レシーバーが準備していない時にサービスが出されレシーバー側がボールを打とうとしなかった時などに、レット “let” と判定されて、サーブのやり直しになります。
ネットイン “net in”
打球がネットに触れてから相手コートに入ることを指します。サーブの場合はレットでやり直しますが、それ以外のラリーでは「ネットイン」”net in” として点が入ります。
ネットタッチ “touched net”
「ネットタッチ」とは、競技中にプレーヤーの体または所持・着用物がネットに触れることを意味し、相手に1ポイントが与えられます。
正式なルール用語は、”touched net” です。
サポートイン “support in”
サポート(ネットの支柱)に触れて入った打球のことを「サポートイン」”support in”といいます。サポートはテーブルに取り付けるための締め具の部分も含めてネットと同様の扱いで、ラリーの打球が直接サポートに触れて相手コートに入った場合は有効打となります。
フォールト “fault”
サービスの失敗のことを「フォールト」”fault” といいます。テニスでも、サービスの失敗は同じように呼ばれます。
エッジボール “edge ball”
卓球台のエッジに触れて入った打球のことを「エッジボール」 “edge ball” といいます。正規のリターンとみなされます。
サイド “side”
卓球台の天板の垂直な側面、またはそこに触れた打球のことを「サイド」”side” といいます。サイドに触れた打球は正規のリターンではなく打った競技者の失点となる。
卓球用語を英語で【ラリー】
フォアハンド “forehand”
卓球において、ラケットを持った手の方向にボールを打つことを「フォアハンド」といいます。また、フォアハンドで打つサーブのことを「フォアサーブ」 “forehand serve” と呼びます。
バックハンド “backhand”
フォアハンドとは反対に、利き腕の反対側に飛んできたボールを打つことを「バックハンド」といいます。また、同様にバックハンドで打つサーブのことを「バックサーブ」 “backhand serve”と呼びます。
スマッシュ “smash”
高めに浮いたボールに対して、回転をあまりかけないフラットな打法で相手のコートに最速のボールを打ち込むことを「スマッシュ」”smash”といいます。
ドライブ “drive/loop”
ドライブとは、卓球でトップスピン技術を指す言葉です。英語では、下回転に対するドライブは “loop”で、下回転に対するドライブは “drive”といいます。
卓球用語を英語で【回転とサーブ】
ナックル “knuckle”
卓球において、「ナックル」”knuckle” とはあえて回転をかけない、かかっていてもごくわずかの回転をかけるボールのことをいいます。
ハーフロング “half-long”
相手コートに2バウンドするかしないかの、ギリギリのラインに出すサーブのことを ハーフロング “half-long” といいます。
ヤングジェネレーションサービス “Young Generation service”
ヤングジェネレーションサービスは、フォアハンドで打つ逆横回転サーブのことを言います。”Young Generation”の部分を略してYGサービスと呼ばれることもあります。90年代ごろの若いヨーロッパの選手が好んで使っていたことから、この名前がつきました。
卓球用語を英語で【レシーブ】
ツッツキ “push”
「ツッツキ」のことを 英語では “push” といいます。
チキータ “chiquita flick”
チキータは打法の一種で、手首のひねりを利用して横回転をかけレシーブすることを指し、英語では “chiquita flick”といいます。
逆チキータ “strawberry flick”
「逆チキータ」とは、右利きの競技者の場合、チキータ(chiquita flick)が右回転の台上横回転バックハンドドライブであるのに対して、左横回転をかけて相手のショートサービスやストップを攻撃的に返す技のことを言います。英語では、”strawberry flick” といいます。
卓球用語を英語で【ラバー】
ラバー “rubber”
ラケットの面に貼り付けるゴム製のシートのことをラバー(rubber)といいます。ラバーは物によって回転が良くかかるもの、スマッシュが打ちやすくなるものなど様々な種類があります。中には非常に高価なものもあり、ラバー1枚で10000円を超えるものも存在します。
表ソフトラバー “pimples-out lubber”
表ソフトラバーとは、粒を外側に向けたラバーシートとスポンジからなるサンドイッチラバーのことで、英語では “pimples-out lubber”といいます。
裏ソフトラバー “pimples-in lubber”
「裏ソフトラバー」とは、粒を内側に向けたラバーシートとスポンジからなるサンドイッチラバーのことで、英語では “pimples-in lubber” といいます。
摩擦力や反発力に優れ、一番多く使用されているラバーです。
卓球のことについて英語で表現しよう
ここまで、卓球用語を英語で確認してきました。ここからは卓球に関する例文をいくつか紹介していきます。
It is surprising that a rally is still continuing.
訳)ラリーがまだ続いているのは驚きだ。
I bought this racket for 10000 yen.
訳)私はこのラケットを1万円で買いました。
It is my turn to serve.
訳)サーブは私の番です。
I couldn’t receive a serve.
訳)私はサーブを返すことができなかった。
The table tennis matches at the Tokyo Paralympics is held at Tokyo Metropolitan Gymnasium.
訳)東京パラリンピックの試合は東京体育館で実施されます。
卓球で英語を学ぶということ
イギリス発祥のスポーツというだけあって、卓球において用いられる単語には英語が由来となっているものが非常に多いです。それゆえ、卓球の単語を学んでおくことが英語力を向上させることに直結します。
また、”rally” や “serve” 等のような、卓球用語以外の意味を持ついわゆる「同音異義語」については、別の意味も合わせておさえておくことも大切です。