今回のテーマは「曖昧」です。英語で曖昧を表現する際は、主に4つの単語が使われますが、1つひとつ表すニュアンスが違っています。この記事では、それぞれの違いについて、語源などを踏まえながら詳しく解説していきます。
また、記事の後半では、「~っぽい」と物事を曖昧に表現する際に便利な言い方もご紹介します。覚えておくと日常会話で何かと便利なので、この機会にぜひマスターしてみてください。
それでは、早速始めていきましょう!
「曖昧」は英語で何て言う?
「曖昧」は英語で “vague”、”obscure”、”ambiguous”、”indistinct” などで表現されます。
ただ、一括りに曖昧といっても、ニュアンスによって適する表現が変わってくるので、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
4種類の表現が表す曖昧さの違いについて、以下で詳しく確認していきましょう。
「曖昧」の英語①:vague
情報などが不確かで曖昧な様子は、英語で “vague” と表現します。発音記号は【véɪg】で、カタカナだと「ヴェイグ」と聞こえます。
vague の語源を遡ると、ラテン語で「放浪する、さすらう」を意味していた vagus に行き着きます。行き所なくふらふらと放浪している様子から、捉えどころのない曖昧さを表現するようになりました。
vague のイメージは、与えられる情報などがあやふやで、全容が上手く掴めないような曖昧さです。
Excuse me, what kind of person is my soulmate?
訳)占い師さん、私の運命の人はどんな人ですか?
Your soulmate is someone with glasses and naturally curly hair.
訳)あなたの運命の人は、メガネをかけて天然パーマの人ですよ。
Isn’t that information too vague? There are tens of thousands of people like that.
訳)情報が曖昧過ぎません?そんな人五万といますよ。
「曖昧」の英語②:obscure
情報が理解しにくく曖昧な様子を表すのが “obscure” です。発音記号は【əbˈskjʊə】で、カタカナだと「オブスキュア」となります。
obscure は「ob(~に対して)scure(覆われた)」という意味構成になっていて、光に乏しく物が見にくい様子を表します。そのため、曖昧という意味のほか、「暗い、ぼんやりした」などの意味でも使われます。
先述の vague の曖昧さの原因が「情報の不足」にあったのに対し、obscure は「情報の質」に原因があるニュアンスがあります。
How was that detective novel?
訳)その推理小説、どうだった?
It was not interesting at all. The culprit is revealed in the end, but the clues were too obscure, so I couldn’t understand the meaning at all.
訳)全然面白くなかったよ。最後に犯人が明かされるんだけど、伏線が曖昧過ぎて、全然意味がわからなかった。
「曖昧」の英語③:ambiguous
色々な解釈ができて曖昧な様子を表すのが “ambiguous” です。発音記号は【æmbígjuəs】、カタカナだと「アンビギュアス」と聞こえます。
ambiguous の語源は、ラテン語で「言い争う、討論する」を意味していた ambigere という単語です。そこから、複数の意味を持ち、表すことが1つに定まらないような曖昧さを表して使われるようになりました。
情報が足りない曖昧さは vague、理解しにくい場合は obscure、情報の受け取り方が複数ある場合は ambiguous といった違いです。
Japanese is often said to be a very ambiguous language.
訳)日本語ってとても曖昧な言葉だって言われるよね。
Indeed. For example, when someone says “daijoubu” in Japanese, it’s often unclear whether it means “yes” or “no”.
訳)確かに。たとえば日本語で「大丈夫」って言われると、それが「はい」なのか「いいえ」なのか分からないことがよくあるよ。
「曖昧」の英語④:indistinct
境界がはっきりしない曖昧さを表すのが “indistinct” です。発音記号は【ˌɪndɪˈstɪŋkt】、カタカナだと「インディスティンクト」となります。
distinct が「分けること」を意味し、in がそれを否定するので、indistinct を直訳すると「分けられないこと」となります。そこから、線がぼやけているなどして見にくいものを形容して使われるようになりました。
indistinct は先述の obscure と似ていますが、obscure が「暗くて見にくい」イメージなのに対して、indistinct は「境界が不確かで見にくい」イメージになります。感覚としては、サングラスをかけた視界が obscure、視力が低い人の視界が indistinct といった感じでしょう。
Can you see this?
訳)はーい、これは見えますかー?
It’s a bit indistinct, but probably on the right.
訳)ちょっと曖昧ですが、たぶん右です。
Oh, you have quite low eyesight, so it’s better to buy glasses soon.
訳)はい、あなたはだいぶ視力が低いので、すぐにメガネを買った方がいいですね。
はっきりしない曖昧さを表すときに便利な英語スラング
英語を話していて、「~っぽい」や「~くらい」などと、はっきりしない曖昧さを表現したいときがありますよね。そのようなときに便利なのが、”ish” という接尾辞です。
-ish はもともと stylish(おしゃれな)や boyish(男の子っぽい)などに使われる接尾辞ですが、その他の単語と組み合わせることで、「○○っぽい」ことをスラング的に表現できます。
たとえばどこかを歩いていて京都のような街並みを見かけたら “Kyoto-ish(京都っぽい)” と言えば、そのイメージを相手に伝えられます。
The streets around here are very Kyoto-ish.
訳)この辺りの街並みはとても京都っぽいです。
また、時間や年齢などの数字を表す際に “six-ish(6時くらい)” や “thirty-ish(30歳くらい)” と言えば、断言しない曖昧さを表現できます。
About what time do you think you’ll finish work?
訳)何時くらいに仕事終わりそう?
Hmm, I guess six-ish.
訳)うーん、6時くらいかな。
それに加え、最近では応答の際に明言を避けて “Yes-ish” と言ったり、単に “ish” とだけ答えたりすることもあります。
Is work going well?
訳)仕事は順調?
Yes-ish.
訳)ぼちぼちかな。
ただし、-ish を使った表現はいずれの場合も、非常にスラングっぽい響きになるので、フォーマルな場面では使わないようにしましょう。
まとめ
今回は「曖昧」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
英語で曖昧さを表現する際は “vague”、”obscure”、”ambiguous”、”indistinct” が使われますが、それぞれにニュアンスが異なります。そのうち、最も多く使われるのは vague なので、迷ったら vague を使っておくと間違いないでしょう。
また、スラング的ではありますが、単語の末尾に “-sh” を付けると「~っぽい」という曖昧さを表現できます。日常会話で使える便利な言い方なので、ぜひ覚えておきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!