「ワインリストからシャルドネをピックアップしようかな」
このように使うことのあるpick upは、英語学習者にとってわりと親しみのあるフレーズかもしれません。
このピックアップですが、実は日本人とネイティブでは違う意味で使われていることを知っていますか?

記事ではネイティブがよく使う英語フレーズpick upが持つそれぞれの意味、その正しい使い方を例文とともに解説します。
この機会に、pick upをネイティブのように使えるように学びましょう。

ピックアップの意味

ピックアップの意味

ピックアップの意味は、「選ぶ」「選出する」や「選び出す」で使われています。例えば、数枚あるシャツのなかから1枚を選ぶ、選び出す、こんなときにシャツを1枚、ピックアップしてね、のように言います。
しかし、ピックアップの英語には「選ぶ」の意味はありません。

ピックアップは和製英語

普段使っているピックアップが和製英語、と聞いて驚く人がいるかもしれません。
仕事などのシーンでも日本人が使う「選ぶ・選び出す」に当たるフレーズはpick upではありません。pick upは、基本「拾う」の意味になるからです。拾うという言葉を展開していくと「拾い上げる」や「持ち上げる」になります。

では、日本語ピックアップに当たるフレーズは?というと、それはpick upではなくpick outになります。

Aさん
She helped me to pick out a gift for my friend.
訳)友人へのプレゼントを選ぶのを彼女が手伝ってくれたんだ。

ここでpick upを使うと、ネイティブはプレゼントを拾ったの?と不自然に感じてしまうのです。

pick upの正しい意味

ピックアップを英語にすると”pick up”です。
冒頭で英語pick upには日本語で使うピックアップ以上に様々な意味があると触れました。

それがどのようなことなのか、ここで正しい意味を紹介しましょう。pick upには本当にいろいろな意味があるので面白いフレーズですよ。

【拾う】
→手を使って人やモノを持ち上げること。

【引き取る・受け取る】
→何かを取りに行ったり集めること。

【習得する・身につける・覚える】
→新しいスキルや言語を教えられるのではなく、練習することによって学ぶこと。

【買う】
→何かを安く買うこと。

【獲得する】
→勝利したり、賞品を獲得したりすること。

【(病気に)かかる・感染する】
→誰か、または何かからの病気に感染すること。

【再び始める】
→中断後に何かを再開すること。

【逮捕する・連行する】
→尋問や逮捕のために誰かを呼び止め、警察署に連行すること。

【ナンパする・引っかける】
→知らない誰かと話し親切にし、性的またはロマンチックな関係を始めること。

【強くなる・勢いを増す】
→風やスピードなどが勢いを増したり、キャリアなどが軌道に乗り始めるときなど。

【電話に出る】

【片付ける・整頓する】

【次第に回復・好転する】
→病気や景気などが改善すること。

【車で拾う・迎えに行く】

拾うという意味から買い物や病気、さらにナンパにまで使えるのがpick upを面白いフレーズだと述べた理由です。あるところから何かを取り出すというニュアンスで捉えると理解しやすいですね。

日本語のビジネスの場面などで「選ぶ」という意味で使われるピックアップにしても、複数あるグループから拾い上げる作業=選ぶ、と考えましょう。

ピックアップの言い換え表現3選

ここでは、pick upがどのような表現に言い換えられるのかについてみていきます。上で紹介したようにpick upは多くの意味を持ちますので、日常英会話に使える3つに絞ってみましょう。

lift/持ち上げる

物などを低い位置から高い位置に移動させ、持ち上げるときにliftが使えます。イギリスではエレベーターもliftと呼ばれます。

Aさん
The mother lifted her baby as he was crying.
訳)その母親は赤ちゃんが泣いていたので抱き上げた。

泣いている赤ちゃんをベッドからか寝ている場所から手を使って持ち上げる=pick upがその動きです。

collect/引き取る・受け取る

受け取る、また人を迎えに行くという意味を持つcollectも、何かを取りに行ったり集めること、または車で拾う・迎えに行くというpick upに置き換えられる単語です。

Aさん
I’ll collect my friend from Japan tomorrow at the airport.
訳)明日、日本からの友達を空港に迎えに行きます。

learn/身につける・学ぶ

練習することによって学ぶこともpick upでした。learnには経験の結果として~を学ぶ、という意味がありpick upに置き換えられます。

Aさん
My son repeatedly tried to ride his bicycle, and he has learned how to ride it.
訳)息子は何度も自転車に乗って、乗り方を学んだんですよ。

レッスンに通わなくても何度も挑戦することでできるようになる例ですね。

ピックアップの使い方

ピックアップの使い方

ここでは、pick upの使い方について具体的にみていきましょう。

句動詞のpick up

句動詞はphrasal verbsといい、動詞+前置詞、動詞+副詞、動詞+副詞+前置詞といったパターンで成り立つ熟語です。pick upも句動詞であり、目的語の入る位置を使い分けられるようになると英語力アップにつながります。

pick up ◯◯かpick ◯◯ upか?

pick up itかpick it upなのか、目的語の入る位置で悩んだりしませんか?しかし、簡単な法則を知ればこの迷いはなくなります。

Aさん
Are you picking up Chris from the station?
訳)クリスを駅まで迎えに行くの?
Bさん
Yes I’ll pick him up.
訳)うん、彼を迎えに行くよ。

picking up Chris、その後でpick him upとなっています。違いは何でしょう?

この違いは代名詞であるかないか、です。代名詞は一度登場した名詞の繰り返しを避けるために代わりに使われる言葉です。クリスに対する「彼」が代名詞ですね。この場合”pick him up””pick you up”のように、pickとupの間に入れて使うというルールがあるのです。

pick upの例文

続いて、pick upの例文をもっとみていきましょう。
「迎えに行く」はすでに説明していますので、普段の会話に使えそうなpick upの他の意味とその使い方を2つ紹介します。

買う

「買う」の英語と言えば、英語初心者の方にとっても”buy”が親しみがあるでしょう。
pick upを「買う」の意味で使うときには、何かのついでにものを買うとき、またわりと気軽に安く手に入れられるものが対象でカジュアルな表現になります。このため、家や車といった高額なものには使いません。その時はbuyまたはpurchaseになります。

Aさん
Are you going to the cafe? Can you pick up a latte for me?
訳)カフェ行くの?私にもラテ、買ってきてくれる?

友人がカフェに行くついでにちょこっとしたお願いができるほどの金額のラテを買って欲しいと言っています。サクッと気軽に買えるものということでpick upが使われています。

病気にかかる

病気にかかるというと、動詞にはgetやcatchを使うイメージがあります。例えば「風邪をひく」なら、get a cold/catch a coldです。
そしてもうひとつ、誰か、または何かからの病気に感染する場合にpick upで表現できます。

Aさん
It’s very cold today. Don’t pick up a cold from someone.
訳)今日はすごく寒いね。誰かから風邪もらわないように。

風邪ひきの誰かから風邪を拾う=風邪をもらうのニュアンスでpick upが使われます。

pick upの意味 スラング2選

ネイティブの使うpick upのなか、スラングとして使われるパターンも紹介しましょう。それが「ナンパする」と「元気にしてくれるもの」という使い方です。

ナンパする

見ず知らずの人に声をかけて口説いたり、連絡先を交換することをナンパと言います。硬派に対する軟派がカタカナ語になってナンパと呼ばれるようになりました。
道端やクラブなどにいる異性を拾うというニュアンスからpick upがナンパに当たるスラングになります。

Aさん
He picked up a girl at the ski resort.
訳)彼、スキー場で女の子ナンパしたんだよ。
Aさん
I’m too shy to pick up a girl on a street.
訳)シャイすぎて街で女の子をナンパできません。

元気にしてくれるもの

pick-me-upはアメリカ英語のスラングで、より多くのエネルギーを与えたり、気分をよくしたりするもののインフォーマルな表現になります。多くの場合は食べ物や飲み物です。

Aさん
I need a pick-me-up as I’m so tired, maybe a cake!
訳)とっても疲れているので元気にしてくれるものが必要、たぶんケーキ!

まとめ

すでに知っているpick upは日本語の意味を考えると和製英語だったこと、選ぶと言いたいときには”pick out”を使うべきだということを紹介しました。

一方、pick upは基本は「拾う」のニュアンスを持つフレーズです。様々な意味を持つため、すでに知っているこの英語表現を使いこなせるようにするとお得ですし、ネイティブに近づけるのではないでしょうか?!