spoilには「甘やかす」や「だめにする」などの意味があり、ネイティブによく使われる表現です。
例えば、イギリスでは誕生日のメッセージにも使われますが、どのようなフレーズにするか知っていますか?
この記事では、spoilの持ついろいろな意味や使い方を例文で紹介します。日常会話にspoilを使えるような機会にしましょう。
「甘やかす」の英語
日本語に多くあるカタカナ語、「スポイル」もそのひとつでしょう。スポイルする人やモノをスポイラーなんて呼ぶこともあります。
このスポイルは英語spoilからきていますが、だめにするといったネガティブなニュアンスで使われることが多いのでしょうか?
spoilで「甘やかす」
本記事ひとつ目の英語spoilは、まず「甘やかす」を紹介します。甘やかすとは、特に厳しくせずわがままにさせておくことです。人を甘やかしたり、誰かを甘やかすとき両方にspoilが使われます。
spoilの定義は、非常に寛大で誰かをとてもよく、ときには過剰に扱うことです。さっそく、「甘やかす」の例文を紹介しましょう。
When I’m feeling miserable I go shopping and spoil myself – a couple of new dresses always makes me feel better.
訳)憂鬱な気分なときは、買い物に出かけて自分を甘やかすの。新しいドレスを何着か買うといつも気分が良くなるし。
惨めな気持ちになって憂鬱になれば、spoil myselfのとおり、自分を少し甘やかしてもいいかもしれません。例文のように、好きな買い物をするのも甘やかす一つの手段です。
子どもを甘やかすのであればspoil my son/daughter、恋愛中の彼や彼女を甘やかすときはspoil my boyfriend/girlfriendで表現しましょう。
引用:Cambridge Dictionary “spoil”
スポイルの他の意味3つ
ここでは、スポイルの「甘やかす」以外の意味についてもみていきましょう。
spoilは、戦利品・略奪品、餌食・獲物、利益・特権といった名詞の意味がありますが、これは奪い取ることを意味するラテン語spoiloが語源であることからも納得できます。
ここでは、英会話に使える動詞の意味3選を紹介します。
台無しにする・だめにする
日本語スポイルでも「台無しにする・だめにする」の意味で使われますね。例えば、サプライズで準備したのに弟がうっかりバラしてスポイルされた~などです。
このように、何かの喜び、興味や美しさを台無しにしたりダメにすることをspoilが表します。
What he said about me at the dinner table spoilt our time together.
訳)夕食の席で彼が私について言ったことが、私たちの一緒の時間を台無しにしちゃったんだ。
spoiltはspoilの過去形です。
それまでハッピーに過ごしていたのに、何か不穏な雰囲気になってしまった=台無しになった・だめになったことをspoilで表しています。
似た表現ruinとspoilの違い
spoilはそれ以前と比べてよくない、だめな状態になることを意味します。似た表現ruinがあり、こちらにも「台無しにする・損なう」の意味があります。
spoilとruinの違いですが、ruinのほうは可能な限りひどい状態で直せないほど完全に台無しにする点です。
腐らせる
次のspoilは「腐らせる」です。食べ物が腐ってしまったり、食べるには良い状態でないことを表現します。
If you buy that many ingredients, some will be spoilt before you eat them. You should keep some in the freezer.
訳)そんなにたくさんの食材を買うと、食べる前に腐ってしまうものがあるよ。冷凍庫に少し入れておくといいわ。
ネタバレ
ネタバレにもspoilです。話題の映画やドラマについて、観た人がまだ観ていない人にストーリーや結末を知らせてしまうことですね。このような人をspoiler(スポイラー)と呼びます。spoilerにはネタバレをする人の他、「ぶち壊し屋」、人の成功を「妨害する人」、有力候補者を「妨害する候補者」など、強烈でネガティブな意味があります。
Please don’t spoil the film! I’ll watch it this weekend!
訳)映画のネタバレしないでね!今週末、その映画見に行くんだから!
こんな会話ってよくありますね。我が家では、ネタをバラすなー!とイギリス人夫が息子に言うことも(笑)
spoiledの意味 – スラング
spoilを形容詞spoiledの形にしてみましょう。
spoiledにするとネイティブがよく使うスラングになります。
人の性格を表すspoiled
spoiledは「人が甘やかされて育った」という性格を表現したり、「駄々をこねる」という意味で使われます。例えば、a spoiled childにすると「甘やかされた子ども」です。spoilを考えれば、甘やかしすぎてダメになってしまったというニュアンスで理解できます。
She is a spoiled person, self-centred and with immature behaviour.
訳)彼女って甘やかされて育って、ジコチュウだし大人げない振る舞いをするよ。
The signs of a spoiled child are things like regular tantrums and bad behaviour. But you can still discipline a spoiled child.
訳)甘やかされた子どもの兆候は、定期的な癇癪や悪い態度のようなものである。しかし、甘やかされた子どもを躾けることはできる。
甘やかされて育った人には特徴的なサインがあります。
immature(大人げない)やbehaviour(態度・振る舞い)、躾けるdisciplineなどはこの機会にセットで覚えることをおすすめします。
spoilt or spoiled?
ご存知のとおり、イギリス英語とアメリカ英語には表現そのもの、またsとzのスペリングなど多くの違いあります。
「甘やかされる」の英語は受け身の形にするため、過去分詞の形を覚えましょう。ここで、イギリス英語とアメリカ英語の違いに注目します。
現在形spoilはイギリスもアメリカも同じですが、過去形と過去分詞になると以下の違いがあります。どちらも間違いではなく、より一般的に使用されるという捉え方です。
イギリス英語 – spoilt
アメリカ英語 – spoiled
このことから、甘やかされて育ったというときにもa spoilt childとa spoiled childの違いがあります。
spoil me.の意味 – スラング
続けて、もうひとつspoil関連のスラング”spoil me”を紹介しましょう。
spoil me
ここまでspoilについて学んできた皆さんであれば、spoil meの意味は簡単に分かるでしょう。ズバリ「私を甘やかす」、否定形にしてDon’t spoil meなら「私を甘やかさないで」ですね。
甘やかすというとどうしてもネガティブな印象があります。しかし、ネイティブのspoilの使い方には良い意味のスポイルがあります。
My boyfriend spoils me like a princess.
訳)彼はプリンセスのように私のことを甘やかします。
この例文の場合、彼による待遇や態度が素晴らしいことを表しています。決して、甘やかしてダメにするという意味ではなく、逆に、この彼女は幸せを噛み締めているんですね。
イギリスの定番誕生日メッセージ
ポジティブな意味のspoil関連で、イギリスで誕生日や記念日によく使われるメッセージを紹介しましょう。
Happy birthday! I hope Chris spoils you!
訳)お誕生日おめでとう!クリスが甘やかしてくれるといいね!
Happy belated birthday! Hope you’ve been spoilt today.
訳)遅ればせながらお誕生日おめでとう!今日、甘やかしてもらったかな。
特別な日である誕生日の主人公は、どんどんもてなしてもらいましょう。このようなspoilの使い方もできるようになるといいですね。
ご褒美の英語 – スラング
最後に、ご褒美の意味で使える表現treatを紹介します。
そうです、ハロウィンのtrick or treatで登場するtreatです。
my treat
treatには「待遇する」「おごる・ご馳走する」などの意味があります。誰かへご褒美として食事などをおごるときの定番フレーズにIt’s my treatがあります。
Thank you for your time today. The dinner was delicious, and I’m so excited to share with you about my award for being a volunteer.
訳)今日はお時間ありがとう。ディナーは美味しかったし、ボランティアとして受賞したことをシェアできて嬉しいです。
Well done, it’s my treat tonight.
訳)よくやったね、今夜は私のおごりだよ。
my treatはカジュアルな表現です。普段頑張ってきたことへのご褒美、やはり嬉しいですね。
まとめ
spoilは「甘やかす」や「だめにする」に加え、「腐らせる」やネタバレまで様々な意味を持ち、ネイティブによく使われる表現です。本記事では、イギリスでよく使われる誕生日メッセージも紹介しました。
この機会に、英会話のなかにspoilを意識して取り入れてみましょう。